マスカレイド・ナルキッソス【ラノベ感想】

マスカレイド・ナルキッソス
著:栗木下
イラスト:大空 若葉
出版:ブシロードノベル

  masquerade

アマゾンのあらすじより

友のため、己をさらけ出し戦え――男子高校生が変身すると絶世の痴女に!?

己をさらけ出し、戦え。
大切な人のため、譲れない想いのために。

〈決闘者〉。それは魔力を糧に己の望む力を手に入れられる〈マスカレイド〉という技術を以て戦う者たち。
時には国の利権を賭け、時には戦う術を持たない者の代理人として、そして時には己の信念と名誉のために。
毎年多くの若者が決闘者になることを夢見て、『国立決闘学園』の門戸を叩く。
新入生の中で最大の魔力量判定を受けた翠川鳴輝(みどりかわなるき)は、入学式当日のお披露目会にて、人生初のマスカレイドを発動するのだが――。
「俺の美しい体を観客に見せつければいいんだな!」
「マスカレイドを解除しろって言っているんだよ! この痴女がぁ!!」
全裸の美女になっていた。

決闘者の頂を目指す少年少女たちの学園生活が幕を開ける!!

感想

生来の超絶魔力に恵まれた主人公が、決闘者として無双するお話……なんでしょうけど、オレツエェェと無双するような爽快さを感じる作品じゃありませんね。
主人公が自分に適度な枷をかけたりで、決闘しても負ける気はしないんですよ。でもあっさりと勝てない理由もあって、駆け引きがあるバトルになっているのが面白かったです。

 

ですので1巻目の展開は学園バトルです。たぶん次巻以降で各国の決闘者と、バトルを繰り広げるんじゃないかと私は予想してます。
ある意味、すっごく王道の展開です。

 

それで本作を魅力に感じたのは、主人公の性格です。主人公は翠川鳴輝(みどりかわなるき)、表紙中央の黒髪キャラです。
彼の自己肯定感はバランスくるっています。まず生まれつき異常な魔力をもっています。そのため決闘学園に首席入学、授業も個別レッスンの特別扱いです。しかも決闘してみたら最初からハチャメチャに強いです。

それなのに自分は最強!とか選民思想は持っていません。バトル面でオレツエェェェとか、ちまたにあふれる何かやっちゃいましたかムーブもありません。
魔力は優れるけれど新米との意識で学園生活を過ごすんです。ものすごく優等生です。

 

そう魔力面に関しては。

 

魔力に対する自己肯定感は低空飛行なくせに、自分の容姿への好感度はありえないくらい振り切っているのが問題なんですよ。
まず冒頭の自己紹介で優れているのは、容姿だけって自分からいっていますからね。そしてちゃんとセルフケアもしています。学園ものの男性主人公で容姿への肯定感が高いキャラって珍しいですよね。

この容姿・外見への自己肯定感とこだわりが、作中に巻き起こる騒動の原因です。なかなかに愉快でした。
タイトルがナルキッソスなのも、ここがからんでいます。

 

どういう騒動かというと……全裸ストリーキングです。
口絵1枚目からやらかしてくれます。

 

ただしご安心ください。男子学生の全裸じゃありません。
ふくらはぎまである銀髪ロングの究極美少女によるストリーキングです。

 

これが何かというとマスカレイドの設定で、決闘者は魔力によって変身します。するとその人のイメージにちかい仮面体を身にまとった姿になるんです。
この時、主人公は自分の中にある「究極の美」を仮面体してイメージしました。そこで誕生したのが銀髪ロングの美少女というわけです。

しかもマスカレイドで仮面体となると気分が高揚する副作用もあり、主人公のただでさえ高い自己肯定感が天井超えします。
その結果たどりついちゃったのが、全裸だからってエロスじゃない、これこそ「究極の美」なんだからもっと鑑賞してもらうべき、っと現代設定ではアウトすぎる思考でした。

 

現代だからカメラやスマホがあります。こんな歩く公然わいせつキャラを決闘に出すことは許されません。強いけど社会的にアウトと愉快すぎる主人公です。
学園側の大人は相当にあつかいにくいでしょうね。こんな思考の主人公でも魔力は主席なんですから。

 

そんなこんなで決闘者として鍛錬をしながら、クラスメートと交流し成長していくバトルコメディ作品です。
ヤンデレ仕草を隠さない幼馴染みヒロインもいて、いろんな要素が楽しいです。バトルもきっちりとした駆け引きがあって面白かったです。

 

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