おひとり様には慣れましたので。 婚約者放置中! 【ラノベ感想】

おひとり様には慣れましたので。 婚約者放置中!
著:荒瀬ヤヒロ
イラスト:晴田巡
出版:一迅社ノベルス

  singleperson

アマゾンのあらすじより

伯爵令嬢ニコルの婚約者である侯爵令息ケイオスは
いつも幼馴染の王女キャロラインのことばかり。

手紙の返事は来ない、お茶の時間はすっぽかされ……
ケイオスから放置されることに慣れてしまった彼女は、
「向こうが好きにしているのだから、こちらも好きにすればいいんだわ!」と思いたつ。

自分のやりたいことをして時間を使える。
一人で行動することの快適さに気づいたニコルは、
すっかりおひとり様に目覚めてしまい――!?

実は両片想いをこじらせているおひとり様令嬢×ノンデリ婚約者のドタバタすれ違いラブコメディ開幕!

感想

とってもよかったです。スレ違いでドタバタしたコメディが楽しい前半と、ニコルが自身の気持ちに気づいてから始まるラブコメのどちらも面白かったです。

あらすじに”ドタバタすれ違いラブコメディ開幕!”とあったので注目していました。なにしろ思いっきり笑わせてもらった『軍人令嬢は年下幼馴染♂が可愛すぎて今日も瀕死です!』と同じ作者です。きっと楽しいコメディーなんだと確信してよみました。
するとコメディ全振りじゃなく、もだもだラブコメも素敵な作品でした。

 

お話はというと、婚約者のケイオスときたら幼馴染みの王女キャロラインといつも一緒にいて、ケイオスと二人きりの会話の話題も王女のことばかり。そこで主人公のニコルはこう考えました。

ケイオスは王女のことが好きなんだ、だから自分は気ままなおひとり様でいよう! でもさすがに婚約破棄すると次の相手は見つからないだろうから、ケイオスと白い結婚をして形だけの夫婦になれたらいいなと。

ところがケイオスは王女に対して家族・親友のような愛情をもっているだけで、浮気心は全くありませんでした。だからニコルから白い結婚を持ちかけられ、さあ大変。
婚約者の気持ちが冷めた途端にがんばりだしたケイオスと、おひとり様を堪能するニコルとのスレ違いが、学園をまきこんだ騒動に発展するお話となっています。

 

騒ぎの元凶はケイオスです。圧倒的に悪いのはケイオスです。

しかしケイオスをダメだったけど許してやるか、って感じさせてくれる描き方になっているんですよね。とんでもなく鈍感でデリカシーがありません。だけどニコルは自分の婚約者だと思っていますし、王女とばっかりいた過去の自分がいけなかったと気づかされたあとは、しっかりと反省するんです。
だから憎めないのですよ。

特定の悪役は不在の作品で、とても心地よく読むことができました。

 

あと学園なので登場キャラが色々いて、みんな仲がいいのも楽しいところでした。

反省したケイオスに対してクラスメートが具体的なダメ出しをしたり、王女様など恋愛弱者たちが集まってニコルとヨリをもどす対策会議をしてみたり仲間がいます。
ニコルにもケイオスからの扱いを聴いて、心配して相談相手となり護ってくれるクラスメートがいます。

みんな善意から動いてくれているんですよ。だからよみやすかったですねえ。
ケイオスはニコルの友人達からちょいちょい制裁をうけますが、カラっとした雰囲気で笑えるお仕置きでした。

 

ちなみにおひとり様となったニコルは、おひとり様の生涯設計とばかりに隣国への留学まで考えるようになります。ふとしたきっかけで隣国に興味をもって、人生を切り開いていこうとするお話も素敵でした。
強い女性ヒロインものが好きな方へもオススメしたいですね。

 

最後に本作で確かにそうだと感じたのが、「なんでいまさら?」のところです。

ニコルからしてみればケイオスから返事をずっと待っていたんですよね。お互いのことをずっと語りたかったんです。
でもそれは無理で諦めたら急に寄ってくるなんて、嬉しいよりも怒りの気持ちのが強くなるのは納得です。

 

そしてニコルのスッキリとしない気持ちをスッキリさせるために、彼女がケイオスにつきつけた言葉と要求が最高でした。あの言葉をみて私の中にあった「なんでいまさら?」のモヤモヤは解消しました。そのとおりだと思います。
あの「謝って」はとても響くこと言葉でした。

 

ラブコメが好きな方へは強くオススメします。おもしろかったです。

 

同レーベルの感想も読んでみる

 

一迅社ノベルスの感想

 

 

Visited 28 times, 3 visit(s) today