ティアムーン帝国物語 【ラノベ感想】

2024年11月11日

ティアムーン帝国物語 ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~
著:餅月望
イラスト:Gilse
出版:TOブックス
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アマゾンのあらすじより

崩壊したティアムーン帝国で、わがまま姫と蔑まれた皇女ミーアは処刑された。―はずが、目覚めた彼女は12歳に逆戻り??第二の人生でギロチンを回避するため、前世の日記帳を手に帝政の建て直しを決意する。手始めに忠義に厚い下っ端メイドと、左遷されたが優秀な文官を味方につけ、失敗した過去をやり直す日々が始まった。だが、ミーアの本音は「我が身の安全第一」。仇敵を遠ざけ、人脈作りに励むうちに、なぜか周囲の忖度で次々と奇跡が実現!やがて、身勝手なはずの行動は大陸全土の未来を大きく変えていくのだった…。保身上等!自己中最強!小心者の元(?)ポンコツ姫が、前世の記憶を武器に運命に抗う、一世一代の歴史改変ファンタジー!一万字超の書き下ろし新章&巻末おまけ「ミーアの日記帳」収録!

感想

ジャンルとしては悪役令嬢ものでしょうか。冒頭はギロチンで処刑されるバッドエンドからはじまります。身から出た錆で処刑されてしまう人生で終えるはずだったのが、何故か12歳の頃からやり直すことになります。処刑される未来から逃れるために悪戦苦闘するのが本筋です。
 
見所は主人公ミーアの性根の悪さです。たいていこの手の転生や蘇りストーリーでは、心を入れ替えてやり直すのに、ミーアは打算的で取り繕いまくります。例えば、困っている人を助けるのは、自分を信頼するメイドの期待を裏切らないため…とか、将来革命が起きたときに助けてもらうため…とかゲスいです。
 
本作でミーアのダメっぷりは、あちこちでいじられ「なんちゃって聖女」「残念皇女」「どこまでも打算的なミーア」と地の文で、散々にツッコまれます。ご都合で話が良い方に進むと、すかさずツッコみが入り上げ下げのバランスが面白いです。普通なら主人公は美少女なのに本作では、絶対評価「かろうじて美少女」と厳しめの評価です。
一方ミーアの周囲のキャラ達は、みな曇りある眼でミーアの性根が分からないので、ミーアさんSUGEEを全力でやってくれます。ミーアの少ない良心として、1回目の人生で最後まで尽くしてくれたメイドなどの忠臣たちに接する態度を改めると、斜め上の勢いで忠誠心が上がっていきます。勝手に勘違いしてミーアを祭り上げていってしまいます。
 
そんな周囲の都合の良い勘違いで、ミーアにプラスになる要素と、ミーアの性根の悪さでにじみ出るダメ行動と地の文のツッコみによるマイナスが、読んでいて心地よいバランスなのが本作の魅力のような気がします。
残念ヒロイン系のラノベが好きならば、オススメします。
 

4巻目の感想

一番印象に残っているのは、学園長候補の勧誘をする説得シーンです。見事に登場する優秀なキャラは、曇りまくった眼でミーアを過大評価してくれます。相変わらずお嬢様はゲスです。
その他、改心しなかったミーアと同じ将来をたどりそうな友人のシーンも出てきます。物語的には寄り道感がでてきてました。
 

5巻目の感想

無人島漂流編が終わって、もうひとつ平和的な学園イベントがある巻です。無人島ではミーアがやっぱりゲスなので、アベルのイケメン力が光ります。5巻目屈指の癒やしシーンがありました。
またストーリー展開的にも重要な巻となっていて、帝国の結構な秘密が明らかになります。ミーアの未来がこれからどう変化していくのか、とっても気になりました。
巻末のマンガもあいかわらず面白いです。イラストの良さをフル活用していますね。
 

6巻目の感想

6巻目のイベントは秋のキノコ狩りです。ミーアが過去に何度も手を出そうとするキノコのイベントです。今回もまた欲望に忠実にミーアが突っ走り、節穴アイぞろいのお仲間が勘違いをしまくる恒例の展開です。ティアムーンではもうお決まりの展開ですね。
また危機に巻きまれた時の身の危険っぷりは、これまでで1番かもしれません。ものすごくファンタジーラノベっぽいバトルシーンもある巻です。展開の型が定まってきたような気がするので。次巻あたりたりでサプライズな展開でも起きないかと楽しみにしてます。
 

7巻目の感想

7巻までくるとルードヴィッヒの両目は、ミーアが全くの別人に映っています。過大評価と斜め上の忖度で、もう交換したらどうですかというくらい暴走してます。ミーアと側近が別方向に向けて暴走しているが面白いですね。
あと文章がコミカルさを保ち続けているのも嬉しいです。なんだかんだとミーアの改革って実を結んできていて、ガチでミーアは賞賛されていても不思議じゃないんです。でもことあるごとにギリギリ美少女とか、FNYるとか1上げたら1しっかり下げるノリがとっても楽しいです。いつのまにかマンガ版のギロチンくんが作中のイラストに出張しだしてきていますし、ほどよいカオスさもたまりません。
 

8巻目の感想

シオンのサンクランド王国までお出かけの回です。今回も物語の緩急にミーアを上げて即落とすノリとか、テンポ良く一気読みです。中でも四大侯爵のシュトリナとエメラルダのシーンがお気に入りです。これまでぼっちだったシュトリナが、友達との外出にワクワクなところなんてほっこりしました。
エメラルダはある意味8巻目の中心キャラで、しっかりお姉さんの一面を見せるシーンは挿絵も素敵でよいですね。あとエメラルダはミーアとおなじく珍しいイジられポジションなんです。「面食いエメラルダと大食いミーア」と2人そろってイジられるシーンに笑ってしまいました。

序盤にあるペルージャンでの舞のシーンもダンス(だけ)は、得意なミーア姫の面目躍如ってシーンで印象的です。あと賢い系キャラによるミーア持ち上げが、異次元突破しつつあります。ミーアの言動をななめもななめ上によんでミーア様の叡智に驚いてます。真面目そうなさし絵とのギャップが面白かったです。

 

9巻目の感想

サンクランド王国でミーアの叡智(他称)が炸裂します。敵対する場面はありつつもよっぽどの相手以外には、反省とやり直しの機会を与えられるのが本作の好きなところです。ミーアのやり直しとダブらせて、サンクランド編のキャラに光があたる場面は良かったです。
あとストーリーが進み常連キャラの動きも印象的な回でした。やり直した後の未来を描いたシーンも出ています。アベルとティオーナの名シーンをお楽しみに!

 

10巻目の感想

ついに節目とも言える10巻目で騎馬王国編の上巻にあたります。これまで頼れる兄貴ポジだった馬龍先輩が、この巻でいっぱいしゃべります。遠乗りシーンなんて一段とかっこいいこと!
馬龍先輩は、貴重なミーアを注意できるお兄さんですからね。これまでと違った魅せ場が、面白かったです。

後は新キャラは、騎馬王国版ミーア姫みたいな子も参加です。なんともチョろ…純粋で次巻での活躍が楽しみなキャラですね。

また地の文のミーアディスりも一段と鋭さを増したような気がします。ちょっと引用するとこんな感じです。

間違いなくミーアである。ミーア以外のなにものでもない! FNY(QED!)
まあ、それはさておき

  ※FNY : おなかや二の腕を摘まんだときの効果音

キッレキレであいかわらずの楽しさでした。

 

11巻目の感想

騎馬王国編 下巻にあたります。そしてついに蛇との戦いに決着を迎える、区切りの巻でもあります。

まず馬合わせは恒例の忖度祭りですね。本作お決まりの流れで、みんなしてミーアを過剰評価です。ただ1-2巻目に比べるとミーアも成長したのか、地の文によるツッコみは少し優しかったような気がします。姫様成長しています!

蛇との決戦シーンは、平和な決着が多い本作だと「えっ」な展開で驚きました。これまでの雰囲気と違うので戸惑う人もいるかも……
個人的には過去・未来のつながりを考えるとこういう形も、あるんじゃないかなぁと思います。
その際のアベルとのシーンは、11巻で必見かなと感じます。

若干ネタバレですけど面白いなと思ったのが、ディオンは本作最強なんだなぁってことです。一般的なファンタジーラノベだと最強って出てきても、巻が進むともっと強い敵が出てきたり、相性が悪い敵が出てくるのが普通じゃないかと思います。でも本作は終始ディオンが最強です。
彼がいないところをどうするかってスタンスです。キャラの初期イメージを貫いているのは、改めて良いなと感じました。

 

ここまでは良かったところとして……あのラストは何でしょか??
まとまったーと思わせてからのアレは……。なんとも判断しにくいラストでした。

 

12巻目の感想

前巻のラストに出てきたパティは、そういう役回りだったんですね。まだまだ謎の多いキャラでした。
これから展開していくか未知数です。個人的にはパティと海賊の子の友情が気になりますね。段々打ち解けていくのが楽しみです。

読んで気づいたのは、12巻も続いたからミーア様ってけっこう成長されたかも?です。
ラフィーナ様の前なんかで綱渡りトークなんかをミーアが、しているところでもしっかりとしたこと言ってます。ちゃんと考えてそうな筋道なんですよね。曇った眼じゃなくってもそこそこ通じそうな賢さでした。FNY以外でも成長してますね。

 

そしてアベルからミーアに告げたベスト10。番外編で良いので続きのシーンをお願いします。

 

13巻目の感想

ついに小麦が……。ミーア様の英知がついに! ここに至るまで十数巻の長きにわたる道のりで感慨深いです。
パティの正体も明確になって今後は、パティ育成計画の本格始動です。育成の目的をパティに知られないよう誤魔化しながらって、捻りを加えてくるあたりが本作らしくて好きです。

その一方でミーア様は相変わらずミーア様で安心安定ですね。蛇の陰謀への対抗に負けないぐらいサンドイッチづくりが、一大イベントになるのも面白かったです。
がんばれキースウッド、敵はより強力になって挑んでくるぞ! 馬パンとキノコからみんなを護るんだ!!

 

14巻目の感想

ようやく乗馬大会開催です。このシーンはイラスト多めなのが嬉しかったです。

ホースダンスなる馬術+ダンスのお披露目シーンです。そうですダンスです。
ミーア様が特技と誇るダンスですから、ミーア様が忖度抜きでカッコよかったですよ。凜々しいミーア様の乗馬イラストは、是非カラーでも見てみたいです。

 

後半は蛇の陰謀。そしてまたもキースウッドが、暴走するミーア様の料理会を平穏に終わらせる無茶ゲーの開催です。キノコ大好きミーア様が楽しそうでこれも面白かったです。

あとはレッドムーン家のルヴィとプリンセスガードのバノスさんの恋の行方も面白かったですね。身分違いの恋と本作では、希少枠な恋模様です。これもまた良きです。

 

15巻目の感想

パティの正体が明らかになって、彼女とミーア様たちの関係性が中心になった15巻目でした。

ベルとはまた違ってどう繋がっていくの?ギロチンくんカムバック展開があり得るのかなど今回も楽しかったです。
あまり出番がなかったミーアパパ、国王様のシーンが多めだったのも面白かったです。父親だからミーア様の信奉者無くて、純粋に愛してデレデレって他のキャラたちと立ち位置が違うんですよね。親子の語らいは暑苦しかったけど楽しかったです。

それから序盤にでてきたキャラの立ち位置はすっかり固まり、ラフィーナ様もずいぶんと面倒くさい親友ポジにおさまりましたね。
四大公爵なんかはミーア様大好きって全力PRしてくるのに、素直にいえなくて嫉妬するラフィーナ様は実に面倒くさいです。こじらせた感じで暖かく愛でたくなります。

この次はガヌドス港湾国のお話ですね。ミーア様の神采配( )が楽しみです。

 

短編集の感想

電子書籍や公式ショップ特典などのショートストーリーを集めた短編集です。

といってもストーリーごとの分量があったので、そのまま載っけたのでなくショートストーリーを元にした短編なんじゃないかと思います。

このところ本編だとシリアス展開な時がありますが、短編集は初期の頃のゆるい雰囲気で楽しかったです。
キースウッド抜きでミーアのお料理イベント開催とか、裏方が死屍累々になる未来しか想像できず、この危機はいったいどう回避するんでしょう? かなりの難易度です。

と思ったらミーアパパの皇帝視点によるしんみりとしたお話もあって、とっても満足な短編集でした。

 

それにしてもミュージカル実施時にも特典ショートストーリーが出ていたんですね。なかなか読むことができないので、こうやって短編集にしてくれたのはありがたいかぎりです。

 

16巻目の感想

今度は船に乗ってちゃんと目的地にたどり着きました。
やっぱり自分ファーストな一瞬があるにしても、誰かのことを心配して破滅から救ってあげようと思うミーア様さすがです。しっかりと成長しているんですよね、

さてこのままいくとミーアみたいにギロチンくんコースとなってしまうオウラニア姫を破滅の運命から救う展開です。ミーアが自分の過去を振り返って、救おうと思う展開は新しいですね。16巻のオウラニアの様子だと……光るミーア灯台の建設は不可避かな。

 

あと今回は友達としてのあつかいしてもらったラフィーナもよかったですね。いつもは聖女様あつかいされてものたりないと未練たらたらだったから、久しぶりに嬉しそうなラフィーナをみられて楽しかったです。
ミーアとかベルあたりとバカなことをやって盛り上がりたいけど、聖女だからって踏み出せないラフィーナは大好きなキャラです。

そしてパティは……トラブルにあっていたけどきっと大丈夫でしょうね。ミーアとかベルがトラブルにあうと心配でしかありませんが、パティなら自力でなんとかしてくれそうな信頼感があります。パティなら切り抜けられると思います。

 

 

 

 

 
 
 

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