百花宮のお掃除係【ラノベ感想】
百花宮のお掃除係 転生した新米宮女、後宮のお悩み解決します。
著:黒辺あゆみ
イラスト:しのとうこ
出版:カドカワBOOKS
アマゾンのあらすじより
看護師だった前世の記憶をもったまま中華風の異世界に転生した雨妹。
貧しい田舎暮らしをしていたが、後宮へ宮仕えする機会が舞い込み、「中華ドラマで見たあの煌びやかで泥沼な世界が体験できる!」と期待に胸を膨らませて辿り着いた後宮では、お掃除係として大奮闘!?
そんな後宮では、とある噂が飛び交っており……。
感想
生前にナースだったり、中華ドラマにドハまりした記憶を引き継いで、中華風異世界でフリーダムに第二の人生を過ごしてます。とっても楽しい作品でした。
中国語読みのフレーズがいっぱいでてきたり、後宮の序列(皇后・四夫人・九婿など)を取り入れていたりで、中華ファンタジーの空気に思う存分ひたれます。ラノベ系のレーベルだとこういう中華風って最近みかけないので、貴重な作品だと感じます。主人公の雨妹は、生前華流ドラマにドップリはまって中国宮廷に詳しいので、作中の説明も踏み込んでいてちょいちょい中国文化に触れられます。漢字で用語を伝えてくれるのでイメージも分かりやすいです。
メインとなる宮廷お悩み解決は、現代の知識と感性をもって解決していきます。ナースの知識がある雨妹からみたら迷信何それ? タダの病気でしょ?? と思い切りがとても良いです。リアル知識を生かすフィクションと物語的なノンフィクションのバランスが良いですよ! テンポ良く読みすすめられる文章も魅力の一つです。キャラも生き生きとしていて楽しいですね。後宮の迷信や権力闘争なんかを雨妹が吹き飛ばす様子はとってもスッキリです!
雨妹のキャラとして面白いなぁと感じたところで、前世は天寿を全うしちゃっているあたりです。ナースとして勤めあげて子育てまで終えたんだから、次の人生ではやりたいことをやってのんびり生きると達観しちゃってます。そして出世や色恋はそっちのけで、食に生きているところです。作中で実に美味しそうに食べているんです。糕とか豆花とか豆沙包とかとか、読んでいるとつい中華街へ行って食べたくなります。気になった方はお取り寄せしてみてください!
雨妹をおやつとか食で釣るのは、作品内の定番になっていて後援者の太子殿下なんて「好きそうなおやつを見繕うのが好きになってきた」とキャラ紹介に書かれるほどです。食に対する熱い思いも見逃せないところです。
1-2巻目は後宮内の人物関係や雨妹の過去などが段々と分かっていき、面白さの足場固めな段階かなぁと感じます。雨妹が後宮内で変わり者だけど優秀な女官って、本人の意思に反してドンドン有名人になっています!
3-4巻目の感想
3-4巻目は早くも後宮を離れての新展開になりました。外の領地に出かけて雨妹の医療チート(?)が大暴れです。ついついフリーダムに行動してしまう雨妹が、何だかんだで可愛らしいですね。立彬の気持ちがこちらにも伝わります。個人的には3巻目247ページの転生して初めての海にたどり着き、海の幸に舞い踊っているあたりが雨妹らしなぁと思えて一番のお気に入りです。
5巻目の感想
5巻目を読みました。雨妹の生い立ちは、かなり明らかになって序盤での何故がスッキリしてきました。それはそれとして、5巻目は雨妹らしさがタップリでした。食い意地が張っていて美味しいご飯が、大好きなシーンが随所に挟み込まれてます。兵舎での肉々しいご飯にかぶりつく姿は、実に楽しそうでした。
看護師の知識を生かして患者を助けつつ、美味しそうに雨妹が食べる本シリーズで私が好きなシーン豊富でした。今回も面白かったです。
6巻目の感想
口絵1枚目のイラストから探偵姿の雨妹になっていたのは、思わず笑ってしまいました。6巻目に入るとみんな慣れたもので雨妹が、騒動に首を突っ込むのが当たり前になってますね。探偵よろしく調査だぁっ!と雨妹のテンションは、楽しかったです。
今回の騒動は、薬物がらみと物騒な流れがきています。果たして誰が、何のために持ち込んだのか? 雨妹の看護師知識から手がかりを見つけての謎解き展開です。
そして私が毎回楽しみにしている食い気に向かって猛突進な雨妹のシーンもバッチリです。牡蠣のシーンは、思わずこちらまで食べたくなってくる描写でした。
曲を弾けなくなった楽師を救えるのか? 3-4巻目で出てきた利民と繋がる姉御肌な夫人は、どう物語と絡むのか??
7巻目の感想
後半にあった許子さんが奏でる渾身の琵琶の音が、とにかく印象的で6巻からの続きを待っていた甲斐がありました。
まさに身を焦がすように情熱的なお話でした。主人公の雨妹と恋愛は、全くもって縁がないですから中華後宮作の恋愛成分を補給できました。
薬物騒動がひと段落して見えてきたのは、東国の影。何を狙ってしかけてきたのかは謎です。どうやら宮中の騒動はまだまだ病みそうにありませんね。
また7巻目でもしのとうこさんのイラストは素晴らしかったです。私が一番すきだったのは、雨妹が立彬に「ゴマ団子を1個たべます?」と差し出すシーンのイラストところです。その時の未練を断ち切るように涙目なのが、いかにも食べるの大好きな雨妹らしいなと感じるシーンでした。
8巻目の感想
何度もちょっかいをかけてきた隣国の野心が、あらわになってきました。それにより東国から逃げてきた静が、百花宮に潜りこんできて雨妹の後輩になる8巻目です。そうなんですよ。これまで百花宮でみんなの小妹だった雨妹に後輩がついたんですよ。
それでトラブルに発展するのかな?と思わせておいて、雨妹がきっちり先輩をやっているのは嬉しかったです。雨妹の前世は大ベテランのナースだったんですからね。やる時はしっかりきめるかっこよさでした。
あと前半にあった雨妹、鈴鈴、美蘭の3人でトタバタとしたお猫様探しも楽しかったですね。賑やかに宮中のトラブルを解決するこういうお話、やっぱり面白いです。百花宮らしいエピソードを読めて大満足です。
9巻目の感想
雨妹の後輩となった静。彼女の宛州での暮らしぶりが分かりました。
かわいそうすぎますよ。世が世ならお嬢様だってのに、雨妹の田舎暮らしより貧しいとは。食べられたら十分な食生活なんて、雨妹なら数日で逃げ出しちゃうでしょうね。
中身おばちゃんの雨妹が、静に美味しいものを食べさせたくなる気持ち分かるわぁ。
そして今まできっとただもんじゃないオーラ全開だった全が、やっとお話に絡んでくれました。案の定、とんでも過去話を披露してくれましたよ。全からお茶を習うシーンも楽しかったです。教わったお茶を明賢にふるまって、さぁどうだって表情の美蘭のシーンは特に好きなシーンです。
あとは宛州に残った宇が不気味でしたね。まだ子供なのに妹の静を護るために一人送り出すとか、彼も普通じゃありません。帯で「宛州大公の少年は、もう一人の転生者!?」とぶっちゃけが出てますし濃いキャラがまた一人です。
10巻目の感想
東国をめぐる一連のお話はこれで一区切りです。
静と宇につきしたがっていた護衛は、ただ者じゃないんだろうとは思っていましたが、思った以上に過酷な過去を背負った異国人でした。こういうのが当たり前に出てくるので百花宮がある世界で生きていくのは大変ですね……。雨妹が明るいのでつい忘れがちになってしまいますが。
まあ身の危険にあうよりもご飯を食べ損なったことを悔やんで、助かったときも饅頭を食べられることに大喜びするのが雨妹ですものね。
東国編のラストということでイベント盛りだくさんです。そんな中で雨妹が一番テンション高かったのは、カレーとの出会いでした。10巻目にしてやっとの出会いですけどね、あの感じがいかにも雨妹らしかったです。
宇も相当にクセがつよいキャラで次巻以降、渦中の人物になりそうな予感です。
11巻目の感想
宇が渦中の人物になると思ったら違いました。静と宇とは別れて雨妹たちは友仁と、宮廷を離れての幡の地へ遠征回でした。
皇子さまとして勉強中の友仁が精一杯がんばろうとする姿は癒やされます。お子ちゃまなところも年相応で、これが当たり前なんですよね。宇みたいな子どもの方が特殊すぎるんですよ。
宮廷を離れたのは正解だったようですね。食の楽しみを友仁も分かるようになって、同世代の子どもとの交流も貴重な体験だったにちがいないと思います。
だって口絵からして友仁は楽しそうなんですもの。お忍びで市場に繰り出して、串焼きを楽しんでいます。
もちろん雨妹も初めてみる料理を全力で楽しんでいます。食の楽しさがすごく伝わってきました。
そのかわり立勇には……自由すぎる人が増えて心配の種が2倍になったのかも。
そして11巻目もう一人の主役といえる沈です。大公領に乗り込んで苦労の一面が明らかになりました。
にしても苦労の度合いがきつすぎませんか? 雨妹もよく無事でって心配する修羅場をくぐり抜けてました。
中央に非協力的で内輪もめばかりしている土地に中央から乗り込んで、居場所を創り上げるなんてただものじゃありません。
そして内輪もめばかりしているとなれば、隣国からの干渉を受けてしまうものです。幡へきても陰謀から離れて旅を満喫とはなりません。
さてさてやっかいな土地での騒動をどうやって解決するか次巻が楽しみです。
小説を読むのは時間が……という方には、マンガも出てます。まずそちらから触れてみるってのもオススメですよ
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