転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す【ラノベ感想】

2024年6月30日

転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す
著:十夜
イラスト:chibi
出版:アース・スターノベル

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アマゾンのあらすじより

騎士家の娘として騎士を目指していたフィーアは、死にかけた際に「大聖女」だった前世を思い出す。えっ、これって今ではおとぎ話と化した「失われた魔法」!?しかも最強の魔物・黒竜が私の従魔に!!?でも前世で「聖女として生まれ変わったら殺す」って魔王の右腕に脅されたんだっけ。こんな力使ったら、一発で聖女ってバレて、殺されるんじゃないかしら。…ってことで、正体隠して初志貫徹で騎士になります!書き下ろしはフィーアの聖女の力検証。…のはずが、同行した冒険者たちがワケありすぎ!?

感想

転生したら過去の技術や英知が失われていて、転生能力で最強無双するのは、異世界なろうのテンプレです。その差別化として本作では、大聖女の力を持って転生したことが分かると殺されてしまう、というところです。そこで死の恐怖から力を聖女の力を使わないよう、主人公は用心して過ごそうとします。
でも、常識が大聖女時代で止まっているので、案の定やらかしまくります。
 
死の恐怖で必死に隠そうとしたかと思うと、考えなしに力や知識を使ったりで主人公は完全なトラブルメーカーです。しかも明後日の方向に理解するので、周囲が苦労します。また本作だと主人公以外は、概ね常識人で勘違いからの、理不尽な主人公アゲをしないのが良いです。優秀なイケメン達が振り回されて苦労する様が、読んでいて面白いです。
 

2巻目の感想

2巻目は表紙にいる従魔の黒龍がストーリーの中心となります。また主人公の異常さが騎士団の中で広まっていき、彼女扱いがちょっとづつ変化してきます。もちろん主人公の暴走は一段とパワーアップして、優秀な上司達は悩まされることになります。
 

3巻目の感想

今度は大聖女時代の行動と、それが歴史となった現在との影響が語られます。これまで迂闊な行動ばかり取る主人公に、そんなに良い印象を感じていませんでしたが、その印象を変えてくれる大聖女と称えられた理由が分かるエピソードがあります。良い内容でした。
 

4巻目の感想

3巻の延長線上でエリアルの騎士が中心のストーリーでした。どれだけエリアルが騎士や離島の民から愛されているのかが語られてます。もう心酔・熱狂のレベルで神格化されてしまっているのに、エリアルは軽く受け止めてあさっての理解をしだすので、ギャップが生まれて面白いですね。もちろんちゃんと美しいエピソードもあるので安定の面白さです。
 
なお、なろう初の小説でありがちな構成として、コロコロとストーリーの一人称視点が変わります。簡単にキャラの内面や感情を示せるので、読み手に分かりやすい利点があるのでしょうが、メインストーリーが進むテンポが悪くなるかと感じます。面白いのに良いところで話が進まないというのは、ちょっともったいないところです。
 
 

5巻目の感想

視点がコロコロかわるのが……と書いてました。それが5巻だとサイドストーリー系が巻末に集中して、ストーリーに没入しやすくなりました。やったぁ!
帝国勢との再会だけでなく、ザビリアと再開や大聖女時代の今まで明かされなかった過去が明らかりなったりと盛りだくさんの巻です。この後の展開に影響しそうなネタ満載ですよ。一方フィーアの残念っぷりも加速がかってますね。護衛騎士のみなさんガンバレ!

6巻目の感想

これまで避けていた魔人との対決シーンが、ついに登場しました。主人公をつけねらう魔人には、まだ勝てそうな戦力じゃないですけどこっから新メンバー加入とか動き出すのでしょうか? 続きが楽しみです。
本編が短かったかわりに6巻目は、各キャラのサイドストーリーが大量です。人気キャラ投票の上位6キャラのお話があり、全部で100ページ超のボリュームです。直近だと出番の少ないキャラが中心のお話が読めて楽しかったです。

 

7巻目の感想

帯に「ゲーム対決!!!!!」とある第7巻目です。ビックイベントはフィーアと国王の面談です。
そりゃぁフィーアとの面談ですからね。みなさんの想像通り斜め上なフィーアですよ。それを見守る団長は、胃がキリキリとなるお馴染みの展開です。

もうね、フィーアはホントは分かっているんじゃないの?ってぐらいの自己解釈なんですよね。人生2度目なのに巻を増すほどにアホの子になっているような気がします。黒竜ザビリアからのツッコミに共感しまくりです。
それに振り回されて周囲はドタバタで、今回も面白かったです。

 

なんあとメインイベントの「国王面談」と【挿話】「騎士団長会議」の長さが同じになっていました。
騎士団長会議イコール、フィーアに振り回される被害者の会(カノープス以外)みたいなもんです。これまでにあったフィーアのやらかしが、団長達に共有されて非常にドッタバタな会議でした。こんなのを大量に聞かされたら、ツッコミ役も過労でダウンでしょうね。

 

8巻目の感想

「国王面談」で宮廷の道化師と出会い、彼らと一緒になって街に繰り出す騒動です。その時に真っ赤なドレスを着て聖女の扮装をして外出するんですね。まぁフィーアだからケガや病で困っている人を見かけたら大人しくするわけもなく……。
またも奇跡のバーゲンセールをしてしまうフィーアのやらかし回です。道化師の胃にまでストレスをかけてしまうフィーアのやらかしをご覧ください。

けっこう聖女の力をふるってしまってますが、いい加減に魔王の右腕に見つからないか気になってきますね。

また書下ろしの「クェンティンが「母親」になる話」は、大爆笑なお話でした。母のように幸せそうな顔で大きくなったお腹のクエンティン団長のイラストは、必見です。あれはインパクトすごかった。

 

9巻目の感想

前世でも今世でもフィーアの無自覚たらしっぷりは健在ですね。

サヴィス総長に向かって、「聖女は騎士の盾」「本当の聖女をみせてあげる」といってしまうんですよ、フィーアは……。
今は聖女の力が過去とは比べものにならないぐらい低くなっている自覚が、いまだにないんですね。こりゃあザビリアや団長たちが苦労するわけです。

総長に希望を抱かせてしまって、またも無自覚にたらしこんでます。

 

これまではフィーアがやらかして周囲の人々がアワアワって流れ続きだったところ、9巻目のラストは新鮮でした。なんと国王からのフィーアへの無茶ぶりです。

前振りなしの無茶ぶりで読者もビックリですよ。今回もとても気になるところで次巻へ続くです。

 

それから9巻目はページの半分が、人気投票上位キャラのサイドストーリーです。
幼い聖女シャーロットは、本シリーズ最大の癒やしです。がんばって成長しているし、フィーアを見習いすぎずこのまま真っ直ぐ育って欲しいです。

フィーアのサイドストーリーもあり、ザビリアを黒竜の姿のまま連れ歩いたってお話です。実質、ザビリアのサイドストーリーともいえます。私はザビリア最推しでして大満足です。

 

10巻目の感想

フィーアが聖女とおおっぴらに付き合うのはマズいんですよね。フィーアがあまりにも暴走しするせいで麻痺してきちゃってますけれど、彼女を追いつかけて滅ぼそうとしている魔族がいますから。精霊の力を隠していても、強力な聖女がいると知れわたれば身の危険……

10巻目は騎士のフィーアが大聖女選定に参加します。騎士なのになんで?とツッコミどころしかありませんよ。
護衛騎士のみなさんの苦労がしのばれます。
それに聖女認定のため治癒魔法を使えってなったら、試験そっちのけで病人を癒やしちゃう展開は決まりですよ。どんな決着となるやら。

 

また選定を通じて現代の聖女の力は、300年前に比べて相当劣っているのが明らかになりました。シリル団長がわがままな聖女を苦手に思っていたのは、こういう聖女と会っていたからだったんですね。たしかにこれじゃ距離をおきたくもなります。
薬草を使った治癒の知識まで失われてしますし、300年の間にいったい何があったんでしょうか?

 

 

 

 
 
 
 
 
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