あまがみエメンタール【ラノベ感想】

2024年3月4日

あまがみエメンタール
著:瑞智士記
イラスト:鍋島テツヒロ
出版:一迅社文庫

  あまがみエメンタール

アマゾンのあらすじより

全寮制の小中高一貫校、青嵐女学院。外界から完全に隔離された少女たちの園で、ロリータファッションに身を包む少女・橘地莉子は今日も、ルームメイトである渡会心音の肌に歯を立てる。それは、何年にもわたって続く、二人だけの秘密の「儀式」。奇妙な絆で結ばれた少女たちの向かう果ては……?

感想

百合ラノベのおススメにあがっていて読みました。すごい!すごいです。一迅社の本気をみせつけられた気持ちです。
全寮制、小中高一貫、外出禁止の隔離された世界、学院内は女性のみ。学園百合なんですけど衝撃的な絆の深さです。大変にいいものでした。

 

莉子ちゃんは「あたし中毒」だ。だけどあたしもまた、「莉子ちゃん中毒」なのだ。

挿絵にある一文です。

これです。この関係性なんです。
2人の間には誰も立ち入れない、2人だけの世界なんです。百合系作品での精神的な繋がりに極振りしたような濃厚さです。

お互いに中毒ということは、完全な共依存ですね。しかも深い絆で歪んだ愛の重さがたまりませんでした。

 

 

お話は表紙右側の主人公「渡会心音」とその左、「橘地莉子」の関係性が中心です。

作中で目立つのは莉子です。小柄で可愛らしいのに加え、ロリータファッションに身を包みお人形みたいなお姫様です。いっぱい愛されて育ってきたんでしょうね。お姫様であり暴君なんです。

というのも小学校入学早々、母と会えない寂しさから莉子はクラスで大暴れしてしまったんです。机をけるわ、椅子を投げ飛ばすわ、先生にドロップキックをかますわ、文字通りの大暴れだったんです。

 

そしてその大暴れを心音は受け止めてしまったんです。

この時に跡が残るくらいの怪我を負ってたというのにですよ、それでも莉子に必要とされているんだ、と心音は満足感を得ているというね……。
小学1年生にして心音も普通じゃなく2人は強く結ばれてしまったんです。

こんなふうに入学早々に莉子が大暴れをしたため、猛獣の莉子と猛獣使いの心音というポジションで高校までのエピソードがつながっています。

 

 

また莉子は肉食獣というのもポイントですね。なんと彼女、噛み癖があります。寂しくなってきたり、感情が揺れ動いてくると心音のことを嚙むんです。
しかも「あまがみ」じゃなくでガチです。時に出血して心音の肌に跡が残るほどの強さです。

でもって噛みつかれる痛み、異常さを心音は全肯定です。
なんなら次第に嬉しさまで感じてます。莉子に噛まれた跡を写真に撮って、アルバムに残すまでしちゃってます。

この歪んだ愛、インモラルさは衝撃的でした。作中で「恋人同士の関係以上の繋がり」って指摘の通りで、2人だけの世界。お互いに求めあう共依存みを強く感じました。

 

莉子は母に会えない寂しさから代償行為として心音を噛み始めたんでしょうけど、互いの感情が時間とともに深く濃くなっていくのが読めて最高でした。

 

そして莉子が彼女が抱える母への過度な依存に向き合い、莉子の止まっていた時間が流れ出した後のお話もよかったですね。現代舞台な百合もののラストは色んな宗派があると思いますが、本作のラストは私はとても良かったと思います。

 

この華麗なイラストからこんな濃いお話を読めるとは思いませんでした。特にラスト部分の衝撃がすごかったです。
心音のヤバさを徹底的に再確認させられました。

 

そうそうエメンタールって言葉を読了後に調べたら、あんまりな内容にまたもゾクっとしてしまいました。みなさんも良かったら読了後に調べてみてください。

それにしてもすごい百合作品でした。

 

 

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