森の端っこのちび魔女さん【ラノベ感想】

2025年6月14日

森の端っこのちび魔女さん
著:夜凪
イラスト:緋原ヨウ
出版:TOブックス

  森の端っこのちび魔女さん

アマゾンのあらすじより

「ミーシャ、君は幻の『森の民』なんだよ」
私が医師にも勝る伝説の薬師!? 初めて一人で治療をしたら、みんなが大騒ぎなの。翠の目と白金の髪なら間違いないとか、貴族も隣の王族も探してるとか。なのに頼りの母さんが事故で亡くなっちゃった……もうひとりぼっち。ううん、いつまでもくよくよしてちゃダメだよね。王様の召集に乗っかって、おっきい図書館のある隣国に遊学しよう! って、このご婦人の顔色、すごく悪い。紫のあざにこの匂い……毒だ。症状は治せるけどちゃんと理由を調べなくちゃね? 小さな森を駆け抜け、新しい知識と師を探してーー幼くても腕は一流の薬師の少女が世界へ羽ばたくロード・ストーリー。

感想

見てくださいよ、この可愛らしいイラスト。
美しいイラストにこれぞ魔女ってかっこうの美少女ですよ。立ち寄った土地の人々と交流し、悩み事を解決しながらミーシャも成長していくロード・ストーリーです。面白かったです。

 

そうなんです。
中盤以降は、あらすじ通りのお話なんです。図書館がある隣国へ勉強しに行く途中であっちに寄り、こっちに寄りと旅物になっています。

 

ただそこに至るまでのエピソードが悲しい限りだったりします。あらすじにある「頼りの母さんの事故」は、過去のお話じゃなくてミーシャがリアルタイムで経験するのを、我々は目にすることになります。かなり衝撃的で悲しいお話です。

中盤以降のエピソードにでてくるミーシャの行動指針とか、チグハグとしてしまう薬師としての振る舞いとか、重要なエピソードなのはよく分かります。ただイラストとあらすじで、身構えていなかった展開だったので衝撃がすごかったです。

 

母と別れてから小さいのに誰かのためになろうと、奮闘するミーシャには元気をもらえます。辛い思いをしただけに幸せになってほしいですね。

 

2巻目の感想

ようやく王都に到着しました。
2巻目でもミーシャのママのことは、結構出てきましたね。悲しい別れでしたが、ミーシャがまだ一人前じゃなくてちび魔女だっていう点で大事なお話だったんでしょうね。いつの日かミーシャが思い出へと変えられる日が来たらいいなぁと感じます。

今回でてきた病気がちな王妹ラライア。彼女の生活改善をして健康を取り戻させていく課程は、とてもよかったです。ミーシャと年齢が近いから、小さくても医師として責任ある行動をとるミーシャの姿を見ていたから、だからラライアはちゃんということを聞いたんでしょうし、心を開いてくれたと思うんですよね。

謎の少年キャロとの出会いと交流も、これぞミーシャ流のやさしさって感じで素敵な雰囲気です。

森をでてミーシャの世界も広がっていていくのを感じる2巻目でした。

 

3巻目の感想

ミーシャが一人前の薬師として成長する重要なエピソードだと思いますよ。それにしたって現実が厳しすぎやしませんかね。
ねえミーシャはまだ子どもなんです。

子どもだけども母がいない以上、王都で病に苦しむ人々を助ける知識をもっているのもミーシャだけなんですよね。

それだったらたとえ子どもの身でも助けたいと、体が動いてしまうのがミーシャなんでしょうね。

 

容赦のない現実でなんとも辛い展開でした。リアルなコロナ禍を経験してきたので病への恐怖・パニック感や、治療のために奮闘してくれた方々の苦労など、解像度高く読むことができました。病は脅威ですね。ミーシャとってもがんばりました。

 

4巻目の感想

またもミーシが成長の物語でした。

これまでのミーシャは薬師として、診断・調薬・投薬で病から人々を救っていました。母譲りの方法ですし、まさに森の薬師って方法ですよね。

そこから一歩進んでミーシャは、外科手術まで経験することになりました。これまでは薬と人間の快復力で治すのに比べ、人体を切って縫って直す考えです。新技術に向きあって成長していくミーシャの姿は力強さを感じました。

まさか初めての外科手術立ち会いでミーシャがケロッとしていた理由が、病理解剖した経験からきていたのには驚きました。そう考えるとミーシャってベテラン医師も真っ青な経験を積んでいるんですねえ。

治療や看護の手順なんて本格的なんですよね。経験栄養の手順なんて描写が細かくて、作者さんの医療ものとしてキッチリ書きたいんだって思いを感じました。

そして最後に触れないとならないのが、4巻目もまたミーシャには辛いものがたりでした。
作中のイベントがちょいちょいと母を失ったトラウマを刺激してくるんです。

これってごく当たり前のことだと思います。自分が救った親子をみて母のことを思い出す ―― そりゃあミーシャぐらいの子供なら当然ですよね。実際は簡単に割り切れるもんじゃないとおもいます。

そうなんです。
この作品は繰り返しミーシャの辛さ、寂しさを何度もぶつけてくるんです。理性ではなくミーシャの感情をぶつけてくるんです。きっとまだまだ母の死を乗り越えることはできないだろうと思います。
でもこんな小さい子供なんです。それでいいんじゃないかと思います。
ミーシャが心から乗り越えられるところまでお話を読んでいきたいです。

 

5巻目の感想

引き続き船上ではじまる5巻目です。

大海原を航海しながら釣り糸を垂らす、これは帆船の旅といったら憧れのシーンです。やはり大海原で釣る!のイベントは欠かせませんよね。
イルカとの併走とか船客や船乗りの一同から、ミーシャがみんなの娘みたいに大事にされているの癒やされました。やさしき世界よき。

 

そういっていると急にシビアな展開に切り替わるのも、本作のおもしろいところです。船だからその展開はあるかもって思っていましたが、ミーシャ単独での総合力を求める、あの流れは想定外でした。航海中のシーンはしっかりと伏線になっていたんですね。

あー心配です。まだ人の悪意にそんなミーシャは離れていませんからね。トラブルから無事に脱出できるのか気になります。

もうミーシャが外の世界ならベテランをしのぐ薬師だっては、数々の活躍で分かりました。子どもだったのがけが人・病人を前にすると、一気にプロへと変わるのはグッときますね。
だけとまだまだ無邪気でいていい年頃なんだものなあ。彼女には穏やかに、幸せになって欲しいものです。

 

6巻目の感想

海巫女編はまだまだ続きます。

保護者と離れてもケガ人・病人を前にするとミーシャは、一気に薬師モードに切り替わるのがやっぱり魅力的ですね。

本当にミーシャの心構えはプロですよね。ただ命を救いたい、直せる病で苦しんでいる人を救いたい一心です。

これまだって全力を尽くしても、救えなく心ない言葉を投げかけられたってのに退かないんですよ。
直すことで迷信で成り立った風習をブチこわすことに繋がるのに、それでも退かないんです。

これって生半可な覚悟じゃできませんよね。

幸いなことに海巫女の里にも迷信なんてぶっ飛ばせと、ミーシャと同じ思いの仲間はいます。彼らと協力して人々を救えることを願います。

 

それにしても5巻目だとノアら海巫女を理不尽な迷信から救おうとするのは、子どもしかいませんでした。しかし他にも海巫女を救いたいと考えているが分かったのは救いでもあり、悲しみでもありました。
海巫女を救おうとした過去話ときたら……、悲しかったですね。その時の海巫女との友情をみせてからの独白です。
決して全てを救えないのは、本作らしい正直さかなと思います。

 

時間あたりでそろそろラインと合流ですかね?
どうしてもミーシャは危なっかしいので、ラインとレンとは早く合流して欲しいです。

 

ちび魔女さんが一生懸命人助けをする作品を読みたいなら、ドンピシャな作品です。
ミーシャの今後の成長がとても楽しみです。見守りたいです。

 

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Posted by kyoikyoi