女騎士、経理になる。【ラノベ感想】
女騎士、経理になる。
著:Rootport
イラスト:こちも
出版:幻冬舎
アマゾンのあらすじより
女騎士「くっ…殺せ!!」 オーク「ガハハ!! そうはいくか!! 今日から貴様はウチの会社の経理のお姉さんだ!!」 女騎士「経理のお姉さん」 人間国と魔国との100年を越える戦争が続く世界。魔族たちが暮らす、成熟した国家・魔国に対し、絶対王政ながら制度も国家も未熟な人間国。もはや戦争をすることでしか経済破綻を免れなくなった人間国を、「正しい帳簿」で救うことが出来るのか…!? それは女騎士・シルヴィアと、その友人・ダークエルフのルカの手にかかっていた…!! 異世界×ミクロ経済×女騎士! 特殊スキル「簿記」を
感想
帯に「異世界×ミクロ経済×女騎士! 異能のスキル「簿記」を武器に滅びゆく世界を救え!」とあって、貴重な経済をテーマにしたラノベだったので衝動買いしました。
色んな意味で予想外な作品でした。
経理の内容が思いのほかタップリ入っていて、経理入門のマンガをラノベに置き換えたみたいな作風です。
真面目な解説イラスト付きでお勉強にもなりますよ。
「ズレが9の倍数の時は、どこかで数字をあべこべに入力」とか「ズレた金額に0.08で割って探せ※消費税8%の時」とか、経理あるあるなんですかね。お仕事で経理に関係しているラノベ読みなら、よりいっそう楽しめるんじゃないかと思います。
で簿記でどうやって世界を救うかというと、複式簿記を導入して魔法とかファンタジー能力で攻める魔王国。それに対して単式簿記のままだけど工業化して、銃と鉄で攻める人間国の構図です。
そして主人公である女騎士は、魔王国に捕まって経理をやらされて経理の知識を仕込まれるんですよ。こうやって身につけた知識を人間国に持ち込んでいくお話ですね。
あと主人公は脳筋気味な女騎士なので、覚えた経理知識は初心者さんレベルにすぎません。
そこで表紙の後ろにいるダークエルフが、ビシバシとツッコミながら経理的指導をやっていく展開です。
テンポよく分かりやすくお話で私は好きなんですけど、かなり人を選ぶ作品構造となっています。
それはTRPGのリプレイ小説みたいにセリフで進行していくんです。第一章の冒頭を引用します。
女騎士「みてくれ!ようやく簿記2級に合格したのだ!」
オーク「ああそうかい」
女騎士「これで原価計算も決算業務も怖くないぞ!」
オーク「そりゃよかった」
女騎士「なんだ、気もそぞろな返事だな。何かあったのか?」
なんと全編これです。それで随所に経理業務の貸借対照表の読み方とか、手形の割引とかが図解されてきます。登場キャラに固有名詞はありません。役職とか種族といった記号的な表現です。
女騎士は主人公だというのに、2巻のラストになっても氏名不明のままでした。
ライトノベルを期待する方には、あんまりオススメしません。
面白ければ何でもありという方向けかなぁと思います。なんとも意欲的な作品でした。
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