“世界最後の魔境”群馬県から来た少女【ラノベ感想】

2023年1月10日

“世界最後の魔境” 群馬県から来た少女
著:日下 一郎
イラスト:6U
協力:群馬県
出版:スマッシュ文庫

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アマゾンのあらすじより

世界最後の魔境、群馬県から東京にやってきた少女コヨトル。平和な学園に突如として現れた彼女の目的は、世間に田舎だ、秘境だと言われ続けている群馬による世界支配だという。「世界中が群馬になっちゃえ!」――いやいや、絶対無理だと思うのだが、コヨトルは故郷群馬のために決心を変えず、さまざまな世界支配計画を開始し、それが次々に騒動を巻き起こす……。そんなとき、かつて世界を破滅させた恐怖の邪神「群馬王」が復活! さらに「群馬王」の大いなる力を悪用し、自らのものにしようとする悪の組織も現れ、事態は混戦模様に。そして、いよいよ明らかになる「群馬王」の正体とは……!?県庁協力のもと、群馬県の「あるあるネタ」をこれでもかと盛り込んだご当地ライトノベルが誕生!

感想

群馬は秘境とネット上でネタにされるグンマーネタに全力で乗っかって、あまつさえ群馬県までもが後押しについた結果とんでもない奇書が誕生しました。県の協力を得ているのに9割5分、群馬に関する内容は誹謗中傷・偏見・デッチあげ・ネタになるならウソも辞さないといった、数々の群馬サゲによって成り立っています。
それでいて群馬の名所・名物・県民でないと一生縁がないであろうご当地ネタは、具体的で無駄に正確な情報を届けてくれます。ふざけまくっているのに、読み終わると群馬県のコトは知ってしまう奇跡のようなバランスの本です。
 
この本、根っこのところはしっかりしていて、繰り返しの笑いエスカレートする笑いなどくっだらないのに読みやすくて笑えるんです。まぁ群馬県にゆかりがある方にとっては、どうか分かりませんが。
そんな本作ですけど特徴的なのが、圧倒的なツッコミ不足です。例えば群馬県を世界最後の魔境っていうのは、登場人物全員の常識です。こんなところでツッコんでいたら全く前に進まないくらいの量でネタと悪ふざけにまみれています。もう読みながら心の中でツッコミを入れてください。
また2014年刊行のくせに昭和何年生まれを対象にしたのか、非常に疑問なネタも散らばってます。はだしのゲンからのネタで、「ギギギ……違う、これはただのビタミン剤じゃ……!」ってセリフをナスビというキャラに言わせまくってます。もちろんツッコミはなしで、ついてこられない読者は置いてけぼりです。グンマーネタ以外も結構ありましたが、概ねディスりで全方位にケンカをうった感じです。よくPHPは出版のGOをかけたと思います。
 
読み終わって一番に感じるのが、これをゆるしてしまう群馬の器の大きさですね。思わず高崎から奥の群馬にもちょっと行ってみたくなりました。
 
 
 

 

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