巡幸の半女神【ラノベ感想】
巡幸の半女神
著:新井円侍
イラスト:こにしひろし
出版:講談社ラノベ文庫
アマゾンのあらすじより
未来。それは明日か数百年後かわからない未来。神の尖兵である巨大昆虫・マンハンターにより人類の文明は崩壊し、分断された未来。主人公・レウレッドは敗残兵であった。人類最後の希望であった鎧巨人に乗り込み、仲間とともに世界を希望の光に導く勇者だった。仲間を失い、生きる希望を失ったレウウッドの前に神と人類の子・エウトリーネが手を差し伸べる。彼女は人類の光なのか―――
感想
タイトルとカバーラストからファンタジーを想像していたところ、巨大ロボが神とバトルするSFでした。何百もの都市を巨大昆虫に破壊されて、23世紀の人類は滅亡寸前な世界の物語です。1対100、1対1000、それ以上の絶望的な戦力差に巨大ロボで立ち向かう濃厚描写が面白かったです。基本的に主人公は常に不利。逆境の中で必死に抗うので、どうやって危機を脱するのか常にワクワクしましたよ!
新井さんの前作、『シュガーダーク』にあった独特の文章使いは健在です。古典名作や海外翻訳作品のような文語的な言い回しと、ラノベ的な文章の区切り方、改行を駆使して足音を表して段々と近づく様子を表現したりと非常に意欲的です。特に1巻目の序盤はかなりラノベっぽくない重々しい文章を散りばめてきています。自然とじっくりと読んでしまうので序盤で、人類絶滅の危機な世界観に引き込まれてしまいました。
登場するメインキャラは、主人公・レウレッドと半女神・エウトリーネです。レウレッドはロボット乗りの軍人で、戦友を戦いで失った悲しみに苛まされ続けています。洋画の主人公にいそうなベテランの軍人っぽいです。タイトルやあらすじにも半女神とあるエウトリーネは、神と人類のハーフです。神との戦いで戦友を失ったレウレッドと、敵である神であり守るべき人間であるエウトリーネとの二人三脚が良かったですねぇ。
2巻目の感想
2巻まで読むとこの世界がどうしてそうなったのか、何故レウレッドは生き残ることができたのかなどの謎も分かります。絶望的な世界でどうやって生き抜くのか……というこれから、というあたりで2巻目が終わります。というかボス戦的な盛り上がりの真っ最中で終わってます。しかも後書きで続刊はないと明言されているので未完です。
ロボはラノベ的に売れにくいとありましたし、主人公は大人ですし、美少女もほとんど出てこない。商業的には厳しかったんでしょうね……。面白くて続きを読みたかったのに残念です。続いていれば文句なしのオススメでした。
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