悪役公爵の妹姫【ラノベ感想】

悪役公爵の妹姫
著:染井 由乃
イラスト:桧森 ユハラ
出版:e-ブラン

  悪役公爵の妹姫

アマゾンのあらすじより

前世で読んでいた小説「ミアの初恋」の世界に転生したことに気付いたフェリシア。
しかも転生先は好きなキャラである悪役ユリエルの妹?!

ユリエルは主人公のミアに歪んだ愛情を抱いた結果、処刑されてしまう結末の悪役ヤンデレキャラだ。
原作と同じ展開を回避するためフェリシアは原作と違う行動に出ることに。
まずはユリエルがヤンデレにならないよう優しく接していたつもりだったが……

ユリエルの執着の対象が主人公のミアではなく私になってませんか!?

感想

染井さん、一段と破壊力があるヤンデレをぶっこんでくれましたね。
愛の重いキャラを好きな主人公が作品世界に転生して、好みだったヤンデレキャラとのハッピーエンドを目指すお話です。

信頼の染井さんです。お兄さまレンのヤンデレ描写は最高も最高でした。
「君がいてくれたらほかに何もいらない」とお兄さまは、世界は主人公を中心にまわっているし、なんなら世界 = 主人公なんですよ。

そこまで主人公を盲進する理由は、レンお兄さまって平民の身代わりだったのが関係します。実のお兄さまは事故死して家督を維持するためそっくりな平民をレンお兄さまに仕立て上げた経緯があります。
だから差別と虐待が当たり前な中、主人公は一人の人間として接して愛を与えてくれたから女神様なんですね。

 

とまあこんな背景だったらお馴染みかもしれません。本作の没入感はこの先です。

 

 

なんと主人公もリアルお兄さまに虐待されていたんです。しかも虐待の理由は主人公の悲鳴は美しく、苦痛に歪む表情が至上とリアルお兄さまの愛情表現はぶっ壊れておりました。愛していたのは間違いないけれど、愛の形は最悪でしたよ。

このような過去のため主人公の体には、消えない傷跡がたくさん残っています。背中があいたドレスなんて一生着られないんです。
レンお兄さまからしてみれば、主人公は救いの女神であり自分と似た境遇をもつ理解者だったんです。

同時にレンお兄さまも主人公の辛さに共感でき、似たもの同士の2人です。

どんどんと共感しあって共依存の沼に堕ちていく手遅れな様子を、全力で応援しながら一気読みしてしまいました。

 

もちろん主人公とレンお兄さま以外のお話もとっても面白くて、リアルお兄さまはドン引きな性癖を見せつけてくれましたし、レンお兄さまの出生にからんだエピソードは、救いを感じさせてくれる癒やし要素で楽しかったです。

 

そしてラストの演出です。これは声が出そうになるほどの衝撃でした。
この世界は主人公とレンお兄さまだけで、他のことは一切関係ないというのを分からせる描写なんですよ。あの衝撃をもって幸福といえるのがヤンデレ世界だからなんでしょうね。

 

これはすごいです。ヤンデレ好きなら必読です。

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