これが異世界のお約束です!【ラノベ感想】

2023年1月10日

これが異世界のお約束です!
著:鹿角フェフ
イラスト: むうりあん
出版:ぽにきゃんBOOKS
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アマゾンのあらすじより

異世界ファンタジーのお約束、ちゃんと守ってますか?
ここは剣と魔法のファンタジー世界。
数々の勇者さんたちが俺ツエーを体現し、そののちハーレムを築こうとする世界。
しかしそんな異世界には、必ず守らなければいけない『お約束』があった!
「チート主人公」「ロリ魔王」「ハーレム」「転生者」「ギルド」「アテクシ」
「はいてない」「エタる」「チョロイン」「殺す覚悟」「奴隷」「スリーサイズ」
などなど、異世界の『お約束』フラグをすべて回収!
『お約束』に振り回されてはボケとツッコミを繰り返す、
とある冒険者達のおかしな日常をご覧あれ!

感想

あらすじの内容どおりのギャグ時空な全4巻でした。異世界ラノベを読んでいれば、きっと見かけたことがある「チート主人公」「ハーレム」等に対して、これは「お約束」だからこうしないとね、と徹底的にネタにしてイジリ倒しています。雰囲気的には、「あ~ハイハイ。これはテンプレねテンプレ」ってナナめから切り込む感じです。かなり癖があるの受け付けないという方と、大喜びして楽しむ方に大きく分かれるんじゃないかと思います。もちろん私は後者です。
 
イジりの1例として「殺す覚悟」に触れると、異世界転生者は最初の戦いで殺すことにためらうポーズをするのがお約束だからと、とってつけたような「殺したくないのに…」ってセリフを主人公が言います。それに飽き足らずに、「殺す覚悟」を一度終えたらその後は一切気にせずに殺しまくるんだよね、と追い打ちでイジります。終始こんな感じでブレーキがぶっ壊れてます。
登場するキャラもしっかりハーレム要員のお約束を押さえて、肌色成分が多め、サービスマシマシです。
むうりあんさんのイラストを楽しみに読むのも、アリなんじゃないかと思います。
 
ネタをいじるのが本作の目的になっているので、イジりのためならば背景や設定などギャグ時空で全部吹き飛ばします。打ち切りネタや完結からの唐突の再開ネタとか、まず他のラノベではお目にかかれないネタの宝庫です。しまいにはweb投稿サイトの闇的なものまで扱うので怖いものなしです。いくらギャグとはいえ、こうも全方位に火をつけるような作品をぽにきゃんBOOKSは許してくれたものです。刊行当時のザワツキ具合を知れないのが、ちょっと残念なくらい破壊力のある作品でした。
 
 
一見、お約束=テンプレって扱いで作中ではイジってネタにしています。でも裏を返せばお約束=王道、みんなが喜ぶ内容で人気作が押さえている内容でもあるんですよね。1巻目では読者へ状況を伝えるために、キャラがわざと質問をして説明する手法とか文章のテクニックなんかもあったりします。これから作品を書こうと考えている方には、案外いいかもしれませんよ。売れた作品の要素がいっぱい出てきます。
打ち切りといじられながらも、2年半後に大判になって帰ってきました。切れ味は更にまして、全方位に火をつけるスタイルは変わらずです。一段と過激になっての帰還です。
 

異世界のあるあるを拾っていじるスタイルから、ラノベの流行や出版の事情などラノベ全体をネタに扱っています。これまでの文庫から大判でに変わったことをネタに、値段が高いから儲けがでかいとか、本屋さんの棚に置いてもらったときの話しとか、これまで以上にネタが生臭いです。しまいには打ち切り回避のために書店で予約してくれなど怖い物なしです。
ブラック企業VS労騎のお話なども、ブラックユーモアたっぷりで堪能しました。そろそろパーティー追放や不遇職、年上ヒロインラブコメあたりをまたネタに、燃料を投下してくれませんかねぇ。

[まとめ買い] これが異世界のお約束です!

 
RE:これが異世界のお約束です! (ぽにきゃんBOOKS)
鹿角フェフ
ポニーキャニオン
2017-07-17
 

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