JKでエロラノベ作家ですが何か?【ラノベ感想】

2023年1月10日

JKでエロラノベ作家ですが何か?
著:わかつきひかる
イラスト:Kou
出版:講談社ラノベ文庫
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アマゾンのあらすじより

「JP文庫iのリニューアル第一弾のうちの一冊を美月トオルの萌え系にすること。それが君への命令です」官能小説大手イタリア書院に勤める23歳契約社員・鈴木遼平は、上司命令により鬼畜系ポルノ作家・美月トオルに萌え系学園ラブコメを依頼することに。――だが美月トオルの正体は、なんと17歳の女子高生だった! なんとか萌え作品を書かせようと奮闘する遼平。しかし美月は編集者に何かトラウマがあるようで――?

感想

大人が主人公でノベルゼロの作品を久しぶりに読んだ気分になりました。女子高生とサラリーマンのラブコメでひかれ合う恋心的なところは健全に、でも扱う題材は官能小説作家で非健全。タイトルで期待させるラブコメ部分がスムーズに頭に入ってきました。
 
ベテランの巧みさで主人公とヒロインなんかは深みのあるキャラとしつつ、脇役はあえてステレオタイプになっています。1巻の中で色んな話があっても、ストーリーがすごくスッキリしています。またヒロインの行動についてや、挿入される小説シーンなどもれなく伏線になってます。ページ数をフル活用してすっごいです。上手で面白くて一気に読んでしまいました。
 
本筋以外にも出版系ネタやポルノ小説の書き方講座的な内容もおもしろかったです。後述しますが、出版系のネタはそれっぽくてどこまでがホントかと思うほどです。書き方のところは読者目線で「はい、そうよんでます」的なとこが多いので、面白い作品はそうやって計算されているんだと興味深いです。小説を書く人の参考になるかも。
 

【抜粋】
・読者が違和感を覚えない程度のリアル差は必要だ。夢というのは現実の裏打ちがあってこそ、深みを増すのである。
・鬼畜物を好む読者は、S役の男ではなく、調教される女の側に感情移入して読むという。
・鬼畜物は、ヒロインのかわいさや魅力を前面に押し出し、ヒロインが調教者に従属していく課程を丁寧に書いてこそ、抜ける小説になるというのに。
 ・ポルノ小説は、天井が低いが爆死もないと言われる。書院文庫なら発売日に全冊買うというような、熱心な読者に支えられているからだ。
・官能小説のビジネスモデルは、消化率七割以上の小説を安定して供給し、手堅く儲けを得ることだ。数打ちゃ当たるのではなく、打った球が全部が当たらなくてはならないのだ。
・背表紙の色を統一するのは、書店の棚確保が一番の目的

 
あとがきでエロラノベ業界ものは自分にしか書けないと断言されてますが、それも納得の面白さと説得力の作品でした。
 
 
 
 

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