機巧姫流離譚【ラノベ感想】
アマゾンのあらすじより
ゲームクリエイター・不吹清正(ふぶき・きよまさ)は自分の作ったゲームとよく似た世界に転移してしまう。そこは戦乱の火種が燻り続ける和風ファンタジーの世界だった。この世界では『機巧姫(からくりひめ)』という和の色名をつけられた人形と共感し、巨大な鎧武者姿となって戦うことができる。清正は見目麗しい最高品質の『葵の君』をパートナーとして、戦乱に終止符を打つべく立ち上がる。耳の先端が尖り人を癒す力を持つ少女や額に角を持つ鬼の青年、ケモノ耳とフサフサの尻尾を有する人狼姉妹など、ゲームにはいなかった存在と出会い清正は興味を覚える。ここは自分が作ったゲームの世界なのか。何故、彼らのような存在がいるのか。清正は数多の謎を解き明かすためこの地で暮らす決意をする。
感想
ゲーム世界への転移作品です。飛んだ先が純和風世界で人物・地名から用語に至るまで、徹底的に和で統一されています。世界観が和になるだけでゲーム世界への転移が、ものすごく新鮮に読めてしまえました。武具の説明は調べないと分からないぐらい凝っていて、ゲームシナリオも手がける作者ならではのこだわりかと感じました。
色んなところが丁寧な作品です。タイトルの機巧姫ってのは、女性型のからくり人形のことを指します。勾玉をセットすると自立するようになり、勾玉との相性が会った人物がパートナーになれます。そしてパートナーと同調すると4メーター級のからくり武者となってロボ戦闘要素もあります。しかも古代の機巧姫であればあるほど優秀で、優秀だとまるで人間と見分けがつかないと設定がだいぶ作りこまれています。
ページ数を使って世界説明や登場順物とのふれあいを表現している作品です。そのためキャラクターの動きで説明不足感を感じることはありません。人捜しの時も状況証拠だけで結論・説明を終えず、「で物証は?」とちゃんと見直す場面があります。丁寧な作品です。
でてくるキャラはパートナーになる葵の君のほか、同僚ポジの女の子にケモ耳姉妹、主人公を兄貴と慕うオニなどがメインです。仕える主人はシブくて優秀なおじさまです。登場キャラとの日常シーンなどを通じてのふれあいが多くなっていて、関係性をじっくり説明してくれます。そのためか葵の君とのシーンは少なめです。恋愛要素もあんまり感じさせない1巻目でした。
少し変わった作風でありながら丁寧な描写となっていえ、いかにも社会人をターゲットにした単行本向きの作品かなと思います。良い要素は多いのですがスローペースでもあります。2巻目が出ていれば丁寧に説明した内容が生きてくると思えるだけに…そこらが気の毒なところです。
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