血翼王亡命譚【ラノベ感想】
アマゾンのあらすじより
[私は駄目な王女だからね。自分のために命を使いたいの] ──この日、赤燕の国(レポルガ)の国史には第百三十二代王位継承者アルナリス=カイ=ベルヘスと、その護舞官ユウファ=ガルーテンが失踪したと記された。だが、それは嘘だと俺は知っている。太陽を祀る五日間、彼女は王族の在り方に抗い、その想いを尽くしただけだった……。 突如国を追われた王女アルナ、刀を振るうしか能のない護衛剣士ユウファ、猫の血を身に宿した放浪娘イルナ、人語を解する燕のスゥと軍犬のベオル。森と獣に彩られた「赤燕の国」を、奇妙な顔ぶれで旅することになった一行。予期せぬ策謀と逃走の果て、国を揺るがす真実を前にして彼らが胸に宿した祈りとは――。 これは歴史の影に消えた、儚き恋の亡命譚。
感想
2016年第22回電撃小説大賞銀賞、新 八角先生のデビュー作です。こんなハードな作品もあったのかと1巻目を読んで驚きました。新先生の作品だから設定が重厚で骨太のファンタジーを想像していたんです。その想像を上回ってくる、まさに私が期待して読みたかったファンタジーでした。気合いを入れ集中して読む超本格的ファンタジーです。
文句なしに面白いのですが、ライトで読みやすい作品が好みだと厳しいかもしれません。古い新書のファンタジーの雰囲気をまとった本物感があって面白かったです。
あらすじに赤燕の国とか護舞官とかあるように作品オリジナルの用語が大量でてきます。2巻目からは用語集がつくくらいオリジナル要素満載です。ユウファがくりひろげる剣舞一つとっても「舞」の意味にいくつもの設定がされていて、作中の色々なところにその要素が反映されています。まぁ非常に緻密なんです。それなので濃くて重厚な作品ファンタジーが好きな方にはバッチリはまると思います。反面あまり慣れていないと1巻目は結構ついていくの大変かもしれません。
そしてページ分量は2巻目、3巻目とドンドン増えていきます。それでも作品の世界観を一度理解すると読みやすくかった気がします。基本的に1巻目だけでもきれいにまとまっている作品になっていて、2巻目以降はこれまで語りきれなかった作品世界の謎や、登場した設定をふくらませて少し雰囲気が違った展開になっています。豊富な設定と1巻目の話しの繋がりが網のように繋がっていて非常に素敵です。何度も描かれている主人公が王女を思う気持ちはグッと来るものがありました。
ある程度読み手は限られるような気がしてますが、歯ごたえのあるファンタジーを探している方は是非読んでみてください。これはスゴい作品です。
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