職業、仕立屋。淡々と、VRMMO実況。【ラノベ感想】

2024年2月25日

職業、仕立屋。淡々と、VRMMO実況。
著:わだくちろ
イラスト:日下コウ
出版:TOブックス

  職業、仕立屋。淡々と、VRMMO実況。

アマゾンのあらすじより

「可愛い子に可愛い服を着せたいな~」そんな願望から、気ままにクラフトを楽しむVRMMO『きまくら。』で仕立屋になった少女・ビビア。仲良しな子の服の作成やアイテム採集など、ゆるゆる服作りをエンジョイ中。図らずも革命イベントを発生させて一躍注目と賛否を集めると、お店は大繁盛&大炎上! まあ匿名世界だし、あんま気にしなくていっか、と叩いてくるアンチは全て無視、大荒れ掲示板も一切興味なし。だけど、作った服に特殊スキルが付与されるからか、注文は止まらない……。ただ楽しみたいだけの彼女は、やがて全プレーヤーを揺るがす存在となっていき――?世知辛い世界をのんびり楽しみ尽くす、ほのぼのクラフトファンタジー!

感想

VRMMOのプレイ風景をテーマにした作品です。生産特化プレイで戦闘と無縁なのは新鮮で面白かったです。

 

プレイするVRMMOは、”きまくらゆーとぴあ。”
通称『きまくら。』 、『気まま暮らしてで気ままにクラフト』をコンセプトにしたゲームです。
(ちなみに『。』が重要です。つけわすれると「きまくら。警察」がやってきます。)

 

主人公が操るキャラはビビア。仕立屋の女の子です。

いわゆるエンジョイ勢で基本攻略サイトは見ない。ゲームだから楽しく自分がやりたいことをやるってプレイスタイルです。
そしてこういう作品のお決まりで効率度外視で自由にプレイしたら、新発見を連発して騒動の中心になっていく展開です。でもこの主人公、まぁいっかとうるさいメッセージをブロックして、淡々とクラフトにいそしむんですよね。ハートが強い娘です。

 

しかも主人公のビビアときたらトッププレイヤーになれる素養があるのに我関せずなんですよ。強くなろう!稼ぎまくろう!!という考えが薄くて、淡々とクラフトをしまくるプレイスタイルが面白いです。主人公の興味は自分好みな衣装をクラフトとすることと、NPCと仲良くなってコーデしてもらうことと全力で楽しむスタイルなんですよ。そんなゆるい雰囲気がたまりません。

 

1巻目でビビアの発見としては、クラフトアイテムにスキルが付与された国宝級の装備を安定して生産したり、ゲーム開始以来誰も攻略できなかったシエルシャンタとデートフラグを立てたりしてます。
そうでした『きまくら。』はデートシステムもあるVRMMOでした。これは一定期間でNPCの好感度を最も高かった人が、NPCとデートできるというシステムです。面白いですね。

NPCの熱狂的なファンだと課金アイテムで殴り合うデート権を奪い合うって、なかなかにエグいシステムです。

そういうシステムがあるのでNPCとはリアルなやりとりを楽しめます。そしてビビアの職業は仕立屋。ということは自分でNPCにぴったりな衣装をクラフトできるんですから、もうビビアの創作意欲は止まりません。
NPCにお気に入りのコスをさせて、一緒にきゃっきゃウフフできるとか『きまくら。』は神ゲーかも?

 

2巻目の感想

強メンタルと思われた主人公にプレイ継続の危機がやってきてしまいました。

その理由は1巻目から何度もでてきていた「きまくら。」は、脱落したプレイヤー多数のあれです。ついにビビアもその洗礼をくらっちゃったんですよ。
最初期のMMOだと風物詩みたいなものとはいえ、クラフ目的のエンジョイプレイを期待していたらきっついだろうなあ……

 

この危機を救ってくれたのは、まさかのゾエ。キモムーブだらけの彼もここまで突き抜けるとカッコいいと錯覚する不思議です。
どこまでも自分の欲望に忠実なゾエ、シエルシャンタ推しのためにそこまでやるのか…… やっちゃったんだなぁ……
MMOものだと濃いプレイヤーがそろいがちな中でもゾエのやらかし度合いは限界突破でした。

 

また2巻目では生産だけでなく戦闘をこなしてメインストーリーを進行しています。主人公の素直な行動がシナリオを動かして、大規模イベントへ繋がっていく流れなんですね。ビビアさんはあいかわらず歩く特異点と化してます。

 

それでいて面白いなぁと思うのが、主人公はいまだにソロプレイ中心なところです。ゲーム内の有名人と繋がりができても一緒にプレイすることは稀で、基本的にソロできままにクラフトしてメインシナリオ進行なんです。MMOものの作品でここまでソロに徹するのは珍しい気がします。
ゲーム内のみんなは主人公のことを知りだしても、お構いなしにソロを貫くあたり強メンタルさんですね。

 

 

我が道を行くプレイスタイルのビビアと、新発見に荒れまくるネット掲示板との温度差が面白かったです。なんというか大きく盛り上がるという感じじゃないんですよ。でも淡々と続きが気になる、そんな作品です。

 

同レーベルの感想も読んでみる

 

TOブックスの感想

 

Visited 55 times, 1 visit(s) today

TOブックス

Posted by kyoikyoi