後宮見鬼の嫁入り【ライト文芸感想】

後宮見鬼の嫁入り

著:夢見里龍
イラスト:NiKrome
出版:TOブックス

  後宮見鬼の嫁入り

アマゾンのあらすじより

「お前を、千年待っていた」

不遇な少女と冷酷非道な神。
時を超えて孤独な魂が繋がる、奇跡の後宮シンデレラストーリー!

とある時代の〈奉〉。異能一族の名家に生まれた令冥(レイメイ)は、能力をもたないことで母から虐げられて育った。ある日、生贄として嫁入りを命じられる。無情にも相手は、国を滅ぼす霊力をもつ冷酷非道な神・神喰(カミジキ)。だが──「お前を、千年待っていた」。なぜか、抱き締められ…? その夜、母が殺され、令冥に死者の記憶がみえる〈見鬼〉の異能が覚醒する。そんな彼女の力を見込んだ皇帝から依頼が舞いこむが……。事件の真相を見るため、神と共に呪われた後宮へ。全ての謎を解き明かす時、千年の時を超えて孤独な魂が繋がる──。

感想

神様と人間の愛で、愛情の重さが最高によかったですね。
しかも登場人物のほとんどに何かしかの強い感情がありましてね、深いストーリーを堪能できました。面白かったです。

 

主人公の令冥はさ迷う死者の記憶を見ることができる異能力者です。そこで令冥は死者が巻きおこす怪現象の解決に奔走と、夢見里さんの他作品みたいにミステリーのような謎解きの展開をしていきます。

死者の記憶を令冥は「視る」ことができ、現世に執着する死者を成仏させてやれるんですよ。

だから大きな流れは後宮にひそむ闇に段々と近づいていく謎解きものです。死者の視点を生かした謎解きは面白かったです。
そしてそれ以上に私の印象に強く残ったのが愛です。

 

まず神様からの愛が非常に重くて、とっても好みな溺愛です。

序盤から令冥が怪我をした箇所に口づけして、舐めて直そうとするとかさあ!一枚イラストで是非みたいぐらいです。

神様だから人間の感覚と違って、愛が重くてなにがいけないの?って人間には理解できない感性なのがよいです!よいです!
愛するあまりとり殺してしまうのも愛しているなら普通じゃない?って神様感覚がたまりません。

だってカバーを見てみてくださいよ、イラストの過保護者な神様の感じ満載ですよね。

 

 

で神様の重い愛に対して、ちゃんと令冥も受けいれているのもうれしいところです。お話のラストで愛を受け入れる作品が多い中、本作は最初っから神様の愛を令冥は受け入れているんです。
だから令冥と神様の深い繋がりを終始感じさせてくれて、みている私の心に語りかけてくれました。

 

この作品って色んなところで感情が重いんですよ。令冥と神様だけじゃなく登場人物の大半は何らかの重たい感情を抱いています。それだけの感情があるからこそ死者も現世に執着して縛りつけられていたんじゃないかと感じます。死者の心と向きあう令冥が感動的で泣けるシーンの連続でした。

 

あと泣けるというと令冥の生いたちですね。

一族の後継者として生まれながら能力に目覚めなかったためにしいたげられて、愛に渇望していたシーンはかわいそうで泣けてしまいます。愛を求めて言葉だけもいいからと愛を求める令冥は不憫でなりませんでした。

 

令冥が求めていた愛とは別の形ですが、神様から無償といってもいい愛を与えてもらえて本当によかった。愛のあり方が素晴らしいです。

愛は重ければ重い方がよいの主義の方はどうぞ読んでください。夢見里さんの作品のではトップクラスに愛が重くて堪能できますよ。

 

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Posted by kyoikyoi