コロウの空戦日記【ラノベ感想】
アマゾンのあらすじより
「死はわたしの望むところだ。私は“死にたがり"なのだから」あまりにも無為な戦争の、絶望的な敗勢の中で、とある事情から「死ぬため」に戦闘機乗りになった少女コロウ。配属されたのは、「死なさずの男」カノーが率いる国内随一の精鋭部隊だった。圧倒的な戦力差で襲いくる敵爆撃機。危険を顧みない飛び方を繰り返すコロウを、仲間たちは「生」につなぎとめる。彼らの技術を吸収し、パイロットとして成長していく彼女はいつしか“大空の君"として祭り上げられるほどに――あるべき“終わり"のために戦う戦闘機乗りたちを書き記す、空戦ファンタジー開幕!
感想
空戦日記って言葉とつくぐさんのクールなイラストで気になっていた作品です。ラノベ界隈だと下火なミリタリー路線+航空機のテーマにもかかわらず、好評な感想を多く目にしていたため読んでみました。
そしたら嬉しくなるくらい思いっきりミリタリーでした。そして主人公の波瀾万丈な人生もあって思いっきりラノベでした。戦闘機にのって爆撃機を迎撃。しかも戦況劣勢で空は常に敵の方が多い状態。非常に燃える状況です。
コロウ着任時から敗北が見えていて、基本の流れは滅びの美学ですね。義理や人情・意地で勝ち目がない戦いに身を投じる熱い展開になっています。
ストーリー構成も凝っていてコロウが、書いた日記形式となっています。一人称の視点・語り口調で文章はつづられています。日記として最初に日付が、明記されているのも面白い演出です。このおかげで時系列上、いつのお話であるかが分かりやすくなっています。日付の飛び具合で間に何が起きていたか空想するのも良いかなぁと思います。
まず読み始めた瞬間から色んな疑問が湧きます。コロウはなぜ女性でありながら操縦者になったのか? なぜ本職以上の整備技術があるのか? なんで命を捨てるような戦い方ばかりするのか? それらの疑問は日記という形が、コロウの過去を明らかにしてくれます。読みやすくて分かりやすかったです。
空戦シーンはミリオタもニヤっとする描写たくさんで面白かったです。これってB24爆撃機とドイツ空軍の防空戦闘なのかなぁとか、日本軍が使ったあの爆弾かなぁとたっぷり深読みして楽しんでしまいました。ミリタリ用語に馴染みが薄い方向けにまず最初に説明をしてからなど、丁寧な内容となっていて誰しものが楽しめるように書かれているのも嬉しいところです。ラノベ読者にもおすすめです。
あと本作で好きなところとして隊長をはじめ同僚のベテランたちが、みな信念を持っていてかっこいいんですよ。中でも部下のために率先して体を張る隊長は、おもわず惚れてしまいます。コロウと並んで飛ぶ仲間たちも素敵でした。
日記の形式となっていて小説形式にくらべてあっさりしているって声もありますが、私はこういうのもありだと感じています。リアルな戦記物の回顧録とか自叙伝だと感情はあまり込めずに、淡々とまとめた作品も見かけたりするので日記らしさを追求しているんだなと私は読みました。単巻の面白い作品を探している方に紹介したい作品です。
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