蜘蛛と制服【ラノベ感想】
蜘蛛と制服
著:入江 君人
イラスト:茨乃
出版:富士見ファンタジア文庫
アマゾンのあらすじより
三匹の蜘蛛と、虫愛ずる少女の物語。「神ない」コンビ最新作。
異世界に転移した女子高生・琥珀は、3匹の人食い蜘蛛を助け、彼らとともに迷宮を旅することになった。「私は”化け物(バーシャ)”、あなたの敵よ」
出会った冒険者を倒したり、蜘蛛の糸で綺麗な服を作ったり、一緒に食料を探したり。
虫が好きなことを隠さなきゃいけない前世よりよっぽどあたたかい、蜘蛛3匹と過ごす毎日。「わたくしは、魔道士協会に籍を置く大天才魔女――」
しかし、一番小さいヒメちゃんが、しゃべり始めただけでなく自分のことを魔王の娘と名乗って――!?
入江君人×茨乃の神ないタッグが生と死を描く、珠玉のファンタジーのはじまり。
感想
異世界転移した女子高生と人喰い蜘蛛が迷宮を旅するお話、とあらすじで知って読んでみました。富士見ファンタジアにしては、なかなかにダークで歪んだ世界観のお話です。個性的で面白かったです。
てっきり蜘蛛を使役するのかと思ったら逆の立場でした。蜘蛛の餌となる人間の立ち位置です。
なにしろ最初っから主人公、命の危機から始まっていてビックリの関係性でした。
では餌である主人公と蜘蛛の旅にどうやって繋がっていくのかというと、そこは主人公、琥珀の異常性からです。
彼女はどうせ死ぬなら食べられて自然に還りたい。むしろ大好きな虫に食べられて死にたいと願っている大変に歪んだ娘なんです。
だから冒頭では、喜んで餌になろうと常軌を逸した行動をとっています。その時点でこの作品、ヤベえなって強烈に発してきてましたね。
蜘蛛に体をかじられて幸せに感じる琥珀です。どうみてもヤバい子です。
元の世界では許されなかった行為を実現できて、心底嬉しそうなんですよ。
とはいえ親が悲しむから元の世界にいたころは、タブーなことだと抑えるぐらいの理性はある娘なんです。
1巻目だと元の世界の感性が、若干残っていているようで壊れかけな琥珀です。完全に向こう側へ踏み込んでなくて、不安定でとても気になりますね。人間としての幸せな世界に戻ってこられるか……
人喰い蜘蛛と餌の人間が、共生する非常にダークなファンタジーです。
琥珀が愛情を注ぐ蜘蛛とは、良好な関係ではあります。でも最終的には、琥珀が非常食です。しかも琥珀本人は、喜んで体を捧げようとする始末……。どんでもない関係性の作品を読むことができました。
私は楽しく読むことができました。でも感想で書いたように個性的でかなりダークなファンタジーです。
特に最初の50ページ過ぎぐらいまでは、虫が苦手な方にはキツい展開となっています。不安を感じた方は、試し読みをしてみるのをオススメします。まぁ序盤を乗り越えられたらあとは大丈夫だと思います。
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