給食のおばちゃん異世界を行く【ラノベ感想】

2024年4月22日

給食のおばちゃん異世界を行く
著:豆田麦
イラスト:しろ46
出版:アース・スター ルナ

  給食のおばちゃん異世界を行く

アマゾンのあらすじより

ごくごく普通の主婦として暮らす和葉(カズハ)はある日突然「勇者召喚」され、異世界へ。
45歳のおばちゃんじゃ戦えないし、と思いきや、14歳の姿(しかもジャージ)に若返っていた!?
しかもカズハが武器として顕現させたのは「あのハンマー」だったが、持ち上げることすらできぬ始末。
他メンバーが次々と訓練で実力を上げていく中、食堂で働くことに居場所を見出そうとしてしまう。
しかし、魔族の襲撃がきっかけで戦闘の才能を開花。
オムライスやプリン、から揚げを作りながら勇者として成長していくおばちゃんから目が離せない!

感想

45歳、子もちの主婦が召喚されて異世界を生き抜くお話です。事故や病気で転生じゃなくて、生きたまま召喚されるのって最近だと珍しいかな?
 
 
インパクトを感じたのが召喚によって主人公のカズハは、45歳から14歳へと若返っているところですね。しかも童顔なせいで、異世界では子供にしかみえないんです。だから最終的に勇者として戦うにしても、最初は思いっきり子供扱いされてましたよ。
この中身(45歳)と外見(14歳)のギャップというのが、とても面白かったです。
 
ちなみに元の年齢と違うというのは、カズハ以外にも起きていて同時に召喚されたキャラたちもそうだったりするんです。実際の年齢とは違うのに外見年齢に合わせて、キャラ作りをして無理をしちゃうキャラがいましてね、そのキャラの葛藤なんてグッとくるものがありました。
 
そしてそれが理由でそのキャラは、カズハ大好きになってます。この大好きな感じもまたほっこりとして、よいんですよ。庇護欲をかき立てられる感じです。
 
 
本作は基本的に主人公のカズハが、おばちゃん力でもって異世界をたくましく生きていくお話です。美味しいご飯に戦闘と異世界ライフを満喫するタイプです。
 
ここに関係してくるのが絶望です。
 
どうも異世界召喚の対象者は、何らかの絶望を抱えていたっぽいんです。1巻目ではカズハの絶望が明かされてます。
その中身は子供ができて、仕事も趣味も諦めた。よい母になるしかなかった。そうなるしかなかった人生を歩まされたんだという慟哭でです。
 
絶望に触れているシーンはなかなかにヘビーでした。
だからこそ異世界で若返って、諦めてしまった踊りの楽しさを思い出すシーンが、とても美しくて印象的に見たような気がします。
 
他のキャラが召喚前にどんな生き方をしていたのか気になります。
 
 

2巻目の感想

主人公のカズハもレイくんも登場人物はみな、異世界へくる前は辛い思いをして苦しんでいたんですね。
ということは異世界でやりたいことをしたり、元の世界では満たせなかった夢を体験する場なのかな? まあそれにしたら魔物がいてハードな世界ではありますが。
 
一見するとカズハは自由奔放に動きまくるし、とっても自由人としか思えない行動をしてますけど、唐突にやってくる元の世界で我慢した思いが激重なんですよね。母親を演じるために自分の人生を捧げてしまった……やりたいことがある人にとっては重いテーマです。
レイくんの背景も激重ですし、異世界での楽しい様子と急に差し込まれる重さの緩急は容赦ありませんでした。
 
カズハが一番強い自分が率先してなんでもしようとしたり、レイくんを護ろうとするあたりをみると、自由にしているようでカズハは大人として振る舞っているのかもしれませんね……
 
それに対して2巻目で大活躍するザギルは、カズハの外見から保護者ポジをとってくれていて、暴走し倒れる寸前なところを助けてくれています。
 
がんばれザギル!
きっと3巻目もザギルはカズハに振り回されるんでしょうね。
 
外見と精神年齢が一致しないとカズハとザギルが繰り返すじゃれ合いも面白かったです。この2人で……甘い展開なんてのはあるんだろうか?
 
 
 

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