水無月家の許嫁 十六歳の誕生日、本家の当主が迎えに来ました。【ライト文芸感想】

2022年12月18日

水無月家の許嫁 十六歳の誕生日、本家の当主が迎えに来ました。
著:友麻 碧
イラスト:豊田和嘉
出版:講談社タイガ

 

アマゾンのあらすじより

高校一年生の水無月六花は、最愛の父が死の間際に残したひと言によって生きる理由を見失う。
だが十六歳の誕生日、本家当主と名乗る青年が現れ、“許嫁”の六花を迎えに来たと告げた。
「僕はこんな血の因縁でがんじがらめの婚姻であっても、恋はできると思っています」。
彼の言葉に六花はかすかな希望を見出すーー。
天女の末裔・水無月家。特殊な一族の宿命を背負い、二人は本当の恋を始める。

友麻さんの新シリーズです。講談社タイガからの刊行で初めて買うレーベルです。
現代を舞台とした和風ファンタジーで面白かったーー。
会ったこともない一族から「あなたは、本家の血統です。私の許嫁です」と急に告げられるんです。その時からあやかしに呪いといった非日常が、主人公にとっての日常へと一変します

主人公の血と能力は、重要視されるシーンは多いです。ストーリーの根幹です。それだけに悲しい過去を背負った主人公の扱いが、物みたいに扱われてとても気がかりになりました。そう感じていた時に許嫁の文也が、立花を一人の人間として手を差しのばしてくれるんですよ。ナイスタイミング!と、とても素敵な描写でした。立花も文也も感情表現は、大人しめな2人です。まだまだ遠慮を感じる距離感が、どう近づいていくか気になります。

そうなんです。主人公の立花は、かなり大人しめです。父を失った悲しみでもうどうなってもいいや、と流れに乗ってしまい自己評価も低いと内気な主人公像です。私がこれまで読んだ友間さんの作品とは、一風変わった主人公です。そんな彼女の成長もまた今後の楽しみの一つです。

ファンタジーで定番な王の血筋とか貴族といったしがらみを、現代日本で考えてみると旧家のイメージは、とても理解しやすかったです。本家・分家・相続問題といかにも今後揉めごとになりそうな気がしますね。気になります。
旧家らしく京都が舞台なのも趣があります。嵐山・伏見と聖地巡礼もいつか行ってみたいです。

挿絵は入っていないレーベルです。だから立花と文也以外の面々とかあやかしが、どんなイメージなのか2巻目でイラストがあったら嬉しいです。月鞠河童って愛らしいカッパも出てきました。手鞠河童の変種で私の脳内は、『かくりよの宿飯』にでてきた手鞠河童のチビそのままです。どんな姿の子なんでしょうね?

 
 
 

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