死霊魔術の容疑者【ラノベ感想】
死霊魔術の容疑者
著:駄犬
イラスト:遠田志帆
出版:GCノベルズ
アマゾンのあらすじより
「永遠の命はほしい?」
巨大な版図を誇るラーマ国。
しかし、一代で大国を築き上げた「武王」が病を得たことで各地で反乱が勃発し、王国に滅亡の危機が訪れる。
だが突如、アンデッドの軍団が反乱軍を襲い次々と鎮圧。禁忌とされる死霊魔術を一体誰が使ったのか。
謎の死霊魔術師の行方を追う王国の騎士・コンラートは、ある村で怪しげな屋敷に出入りする一人の少女・ルナに出会う。
赤い瞳、白い肌、金色の髪――少女は一体何者なのか?
屋敷の主は死霊魔術師なのか?
デビュー作が驚異的売上を記録した最注目の新人作家が贈る、読む者に命の価値を問う珠玉のファンタジック・サスペンス。
感想
ファンタジック・サスペンスと銘打たれていて、タイトルは『死霊術士の容疑者』です。どんなお話かと思ったら死霊術士を追う騎士のお話でした。
章によって一人称が替わる構成で、視点が異なるのを生かす仕掛けに思わず「おっ」ってなりました。面白かったです。
そういう構成だから一番最初は、人買いに売られる少女ルナの過去からスタートしてたんですね。
そしてルナの物語から展開されるいくので、私は自然とルナは幸せになって欲しい感じて読み進めました。だって親も分からず人買いに売られる境遇で、その時に自分についか価値は金貨100枚。高価なものは大切に扱われるから自らの価値を高めてやろう、価値があることが自らのアイデンティティだと少女なんて……さみしくてかわいそうじゃありませんか。
彼女の未来が気になって一気によみ終えてしまいました。
読み進めるうちにルナを中心に周囲の大人たちが動くお話が、後半になるとルナが中心となって動いていくように変わっていたのも楽しかったですね。
見事にお話の後半でこれまでルナが結んできた人との縁は、無駄じゃなくて繋がっているんだと思える展開も面白かったです。王子との絆によって生まれたあのシーンは、涙なくしてよめませんよ。
物語が面白いのはもちろんとして、この作品もまた構成が素晴らしいと思ってます。
例えば賢くて周囲の人を大切にするルナなのに、なんでこんな言動をなんだろう?ってシーンがチラホラあります。明らかにひっかかるんですよね。これらは最後まで読むと理由は分かるようになっていて、そういう丁寧なしかけが嬉しかったです。じっくり読んでみて欲しい作品です。
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