江戸の花魁と入れ替わったので、花街の頂点を目指してみる【ライト文芸感想】
アマゾンのあらすじより
歴史好きなキャバ嬢として活躍していた杏奈(あんな)は、ある日目覚めると花魁・山吹(やまぶき)に成り代わっていた!現代に戻れないと覚悟した杏奈は、知恵と気っ風の良さで江戸の憧れである花魁の頂点になることを決心する。しかし直後に、人気を競う花魁に、客から贈られた大切な着物を汚される事件が起こる。その馴染み客は数刻後には来楼予定。汚された着物を着れば機嫌を損ね、言い訳すれば格を落とす。"山吹"の危機に、杏奈は古典から学んだ教養と接客の機転で応じ……?山吹花魁の伝説、ここに開幕!
感想
花魁言葉は当然として、江戸の文化背景が濃厚に描写されています。七沢先生が江戸の話を書きたくて書きたくて、本作を書き上げたのを感じられました。忠勝様のくだりなど歴女的愛が溢れていて面白かったです。熱い思いが伝わる作品って大好きです。
気がついたら江戸の遊女になっていたので、現代日本での知識と培った歴女とヤンキーとキャバ嬢の経験値を生かして大暴れ。本作は大きな枠組みでいるとそんな感じで異世界ものです。それでいながらその中身は半分以上、時代小説です。江戸の頃の言い回しや遊郭の常識などが、大量に出てきてページの左端に注釈があるくらいです。私は江戸の知識を持ち合わせていなかったので、時々ググりながら描写の深さを知りました。物語を読みながらちょっとしたお勉強まで出来ちゃいました。
さてカクヨムweb小説コンテストの受賞作で、富士見L文庫の中でも異色な作品ではないかと思います。作者がノリノリで書きたいことを書いて、それが書籍となって手に取れるのは実にありがたいです。ちなみにコンテスト受賞時のタイトルは、「ナンバーワンキャバ嬢、江戸時代の花魁と体が入れ替わったので、江戸でもナンバーワンを目指してみる ~歴女で元ヤンは無敵です~」です。書籍化でコンパクトなタイトルになっています。
本文中や注釈に七沢先生の思いが溢れていて、こちらまで楽しくなります。主人公の活躍がかっこよくて、楽しい作品でした。
2巻目の感想
山吹の活躍が帰ってきましたよ。 続きは難しそうなテーマだと思っていっていたので嬉しいです!!
火かき棒の鉄火山吹として有名になった後のお話です。同僚花魁の桔梗と友情ともライバル心とも見える絆は良いですね。山吹がしでかしたことに慌てふためくお内儀さんとか、何度も胃を押さえる料理番とかコミカルなどもあってラノベのように読みやすいです。
2巻では南蛮人や上様まで登場して、山吹信者がさらに追加されます。南蛮人のストレートな口説きシーンがお気に入りです。そして土浦藩のお殿様、土屋様との風流なロマンスは必見のシーンですよ!
3巻目の感想
遂に完結です。
表紙で半ばネタバレですが、結婚エピソードありです。ただし表紙の白無垢姿は、山吹ではありません。別の花魁なんです。
鉄火山吹のイメージから見事に化けたなぁとおもったら別人でした。
なお山吹本人のお話も、後半でちゃんとあります。
何といっても山吹は、度胸があって筋を通すのがかっこいいキャラでしたね。彼女のハートを射止めた彼は果報者です。
江戸時代に転生してしまった理由もついに明らかになって、とても充実した3巻目でした。ラストの幸せそうな様子は、特に印象的でした。
強くてかっこいい女性主人公ものが好きで、江戸をベースのお話が読みたい方にうってつけな作品です。
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