異世界転生ダンジョンマスター【ラノベ感想】
異世界転生ダンジョンマスター 温泉ダンジョンを作る
著:天原
イラスト:じゅん
出版:富士見ファンタジア文庫

アマゾンのあらすじより
『異種族レビュアーズ』天原が贈る、現代温泉知識で反則級のダンジョン経営
「あなたは、ウチのダンジョンマスターとして転生したのです」
異世界に転生し、ダンジョン経営を任された俺。
ダンジョンを大きくするのに必要なのは貴重な宝物? 強いモンスター?
なんだか違うな。要は大勢の客が駆けつけてくればいいんだろ。「よし……温泉ダンジョンを作るぞ」
美肌の湯に若返りの湯。日本の温泉文化にかかればホスピタリティも完璧だ。
温泉ダンジョンはすぐに噂を呼び、美容を求めて女騎士や貴族令嬢が殺到。
女王様までもが目の色を変えて飛び込んでくる。
さらに、国家レベルの経済や外交に至るまで、温泉ダンジョンは異世界に予想外の大変革をもたらし――!?
感想
天原さんのラノベ作品です。アイデアや世界設定の鬼才だと、私は思っている作者さんでマンガ同様にラノベも面白かったです。
設定が最高でごもっとも!と受け入れてしまう納得の世界観でした。
異世界転生してダンジョンマスターとなり、ダンジョンの訪問者を増やしてダンジョンをランクアップさせていく展開は、こすり倒されたテンプレ設定ですよね。それなのに楽しくて読む手が止まらないのが、本作がもつアイデアの巧みさだと思っています。
主人公が目指すのは、温泉ダンジョンです。
ドロップアイテムや宝箱での訪問者稼ぎじゃないんです。
単純にダンジョンを深くして、高ランクの報酬を出したって一握りの冒険者しか残りませんよね。それじゃあダンジョン経営は頭打ちじゃないですか。
だったらより多くの訪問者を誘導するしかけをしましょう、ってのが主人公の作戦です。
そこで物理的にもち肌になったり、若返ったりする美容温泉をダンジョンに設置して、美のためならお金に糸目を付けなだろう貴族令嬢ホイホイなダンジョンを運営しちゃうんです。
ダンジョン経営として上手すぎますし、たしかに貴族だったら殺到しそうな仕掛けですよね。
しかもダンジョン深層の温泉であればあるほど、美の効果が高い。だからこぞって深いダンジョンへ女性陣が殺到するんだ、と人間の欲を知り尽くしたダンジョン構造が秀逸すぎると思います。
美しくありたい。
若々しくありたい。
この欲求はまちがいなく強烈ですね。
そこで美への追究から女性騎士団を巻き込んでのダンジョン遠征や、深層に潜るため筋トレにいそしむ貴族令嬢だとか、愉快な現象をこれでもかって巻き起こしてくれます。とても読みやすくて楽しい作品ですよ。
普段ライトノベルをあまり読まない方でも、この作品なら手に取りやすいんじゃないかと思います。
あとは天原さんの作品といえばで、しっかりと癖を詰め込んでくれています。
主人公とタッグを組む相方は、なんとダンジョンコア。ダンジョンを成長させるのが生きがいであり、存在意義というキャラです。
名前はペタちゃん。
三白眼でつり目、つるペタ貧乳で発育不良な成人女性な見た目のこです。もうどんだけの癖を詰め込んでいるのよと。
主人公が人間の欲を刺激して、ダンジョンを見事に運営していくとペタちゃんは、あっさりとデレます。
デレてからは人間の料理に目覚めて、なんともチョロかわいいヒロインなんですよ。ダンジョンコアが人間くさくなっているのは面白いですね。
また突然現れた温泉ダンジョンは、人間の側からしてみたら天からの恵みです。うれしい悲鳴続きで、思わず過労死しちゃそうなぐらい人間側にも恩恵たっぷりで、お互いにwin-winな関係なのもみていて爽快です。
基本的にお気の毒さまな真面目ポジの犠牲者以外は、みんな幸せな世界なのは素晴らしいですね。
2巻目の感想
他ダンジョンのコアと交流できるのは新鮮でした。宝石コアのタニアと武器ダンジョンのブグくんと情報交換して、ダンジョンの繋がりが見えてきて面白いですね。
主人公がやってくる前に人間と組んだダンジョンコアは、宝石コアのタニアだったんですね。たしかに人間の欲をかき立てるのに宝石は最適です。ペタちゃんがやったダンジョンより洗練されているのは確かに。
そのうちダンジョン同士でコラボして人間の欲を刺激しそうですね。ブグくんのダンジョンから既に高レベル装備を入手していますし。
そしてタニアとブグくんと比べると………ペタちゃんのポンコツぶりが際立ちます。主人公と出会わなかったらきっと詰んでいたでしょうね。
現代のチョコレートとかお酒みたいに洗練した食品は、現代人じゃないと思いつかないのはそのとおりだと感じます。それにドロップ品の順番をちゃんと考えて、目玉のドロップ品は深層じゃないとダメだからカレーは出さない計算は、主人公がいてこそだと思います。
美の追求は狙い通りの効果を発揮して、凄い騒動ですね。他国の王妃が権力でゴリ押してくるのは、やっぱりなあの展開でした。
それ以上に人間の欲ってのは……と思ったのは庶民と石けんのところです。
宣伝用に一般人でも入りやすい美肌の湯へ潜るため、町娘やおばさまが槍をもってダンジョンに並ぶのは笑いました。きっちりとモンスターを蹴散らせるぐらい強くもなっていますし。そこまでして美しくなりたいんだよねえ。
それから石けんです。
泡のお風呂を見たいという自然かつ叡智な発想で、泡のお風呂が登場となりました。ダンジョンの壁一面が石けん泡で覆われたフロアです。
泡は魔法の効果ないけど普通の石けんとして持ち帰れるサービスをつけたら、持ち帰って宣伝してくれるだろうは分かります。実際にその通りになりました。
でも鉱石を掘り起こすみたいに石けんの壁を削って、バケツリレーは予想できませんよ。そこまでするかあ。
しっかもツルハシかついでマッパで石けん掘りとかさあ! そういう特殊ニーズ向けの映像を見たんじゃないんだよ。あの世界の女性騎士ときたら…………。
しっかりと読者としては釣られてしまいましたね。
それから欲といえばダンジョン研究にとりつかれたアウフです。
彼女も紙一重の天才で欲に忠実でした。なんとついに彼女がダンジョン産のアイテムを研究する地位を手にしました。
さーてどうなりますかね。結果的に国益に直結する成果をだしちゃってましたが、行動原理は私利私欲。ただ研究したいだけときています。
いまは主人公の狙いとアウフの暴走は、いい具合にかみあっている気がします。いつかアウフの発想が主人公の狙いを飛び越えるときがくるのか? 次なるカオス展開が楽しみです。
楽しい騒動がテンポよく巻き起こって、とっても楽しかったです。続きを楽しみにしています。
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