王女カリーナの初恋【ラノベ感想】

王女カリーナの初恋
著:新道 梨果子
イラスト:藤ヶ咲
出版:PASH!ブックス

  王女カリーナの初恋

アマゾンのあらすじより

もうすぐ十八歳になる王女・カリーナと、十歳の王子・ジュリアンの政略結婚が決まり、ジュリアンがカリーナの国へやってきた。

母国とはまったく違う文化や風習に戸惑うばかりのジュリアン。
カリーナもまた、年下とは思えないジュリアンの言動に翻弄される日々だった。

しかし、ともに過ごす時間を重ねていくうちに、二人はお互いの魅力に惹かれ、不器用ながらも距離を縮めていく。

感情表現は苦手だけれど、少しばかり天然なカリーナと、幼いながら“大人”にならなければいけなかったジュリアンの、成長と約束に満ちた、恋物語。

感想

18歳の王女カリーナと10歳のジュリアン、これはよい年の差婚ものでした。

イラストが大人っぽいからカリーナは、20代かなと思ったら18歳だったんですね。かえって18歳と若いからジュリアンとの8歳の差が響きました。
これが20歳と28歳なら実際にもありそうな政略婚ですし、絶妙なラインの年の差です。

 

まず年のカップルで読みたいシーンはバッチリです。
最初は小さな子どもだと思っていた10歳の王子が、一気に一人の男性に変わっているんですよ。まだ子どもだってのにカリーナを意識して、カリーナを誰かに渡したくないと対等な恋人としてふるまうんです。もういじらしくて愛らしいですね。

国へやって来たときは猟に目を輝かせていて、子どもらしかったジュリアンが恋をしってああも変わるとは。

 

そして恋をしって変わっていくのはカリーナも同様です。
彼女もだいぶ変わっていてドレスで着飾ることはしませんし、むしろ弓をとって獲物を持ち帰る名手なんです。乗馬だって騎士と遜色ないくらい乗りこなせてしまいます。
宝塚の男役を素でできそうなくらいカッコよい女性なのがカリーナです。

その反面、サバサバしすぎていて恋愛面ではからっきしってのは彼女の弱点で、作中でも度々、恋心へのニブさをみせてくれます。

 

いい設定ですよね。

ジュリアンからすると自分の妻は、年上でしかもカッコいいときたもんですから。
これは並び立とうと思ったら夫として強い男になるしかありませんものね。ジュリアンの心情を思うだけでテンションが高くなります。

 

そしてカリーナとジュリアンの結婚に大きく影響するのが、祖国の力関係です。

カリーナは小国の長女、それに対してジュリアンは大国の末子です。この2人の関係には嫌でも国力の差が関係してきます。
中盤以降の大国の政治に翻弄されるカリーナとジュリアンの波乱は、特にドラマ性を感じました。

 

だからこそのラストシーンは、これまでの我慢が一気にむくわれて嬉しいラストだったといえますね。

 

表紙の美しさが気になった方、年の差カップルものが大好きな方へはオススメします。

 

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