竜と華【ライト文芸感想】

竜と華 弱虫姫に氷剣の忠誠
著:浅名 ゆうな
イラスト:SNC
出版:富士見L文庫

  竜と華

アマゾンのあらすじより

臆病で半人前の“妖精姫”と氷の騎士が綴る伝説の物語

竜に守られた国、シュティアーツ王国。栄えある聖竜騎士団の総団長に就任したのは、従軍経験のない十七歳のエレノア姫だった。
通称「妖精姫」。人形めいた容姿で変わり者と揶揄される11番目の王女だ。王国の歴史上初の初ドラゴンのパートナーを持たない総団長に、団員たちは反発した。
けれど針のむしろのエレノアに、「氷剣」と呼ばれる副団長のアドルファスは忠誠を誓う。エレノアにも総団長にならなければならない理由があって――
「ありのままのあなたのお側にいたい」臆病な姫将軍の伝説が、ここから始まる!

感想

タイトルに”弱虫姫”とあり帯で”史上最弱姫将軍の伝説”とあります。作者の浅名さんが前作に書かれた『死の森の魔女は愛を知らない』では、コミュ障な女性主人公ものでした。こちらを好きだった方なら期待通りの楽しさを届けてくれる作品だと思います。面白かったですよ。

なんといっても自信なく卑屈なエレノアが、一生懸命頑張っていく姿が良かったですね。思わず護りたくなる愛らしさでした。気弱なんだけど誰かを頼るんじゃなく、自分の手で未来を切り開いていくんですよ。やっぱりこういうお話は良いです。

本作は竜騎士の総団長に抜擢される冒頭から始まります。でも17歳の少女で武に優れたわけじゃありませんし、相棒となる竜すら持っていません。そして王族にもかかわらず後ろ盾がないから総団長といっても綺麗なお飾りあつかいです。完全に逆境からのスタートとなっています。

でもって部下ときたら厄介払いされてきたような癖強人材で、直轄の調査隊を組織しようにも……当然のように上手くなんていかないんですよね。そこで姫なのに自ら厩舎を掃除までして隊員と打ち解けようと一生懸命に飛び込む姿に「がんばれー」と応援を送りながら読みました。
戦闘狂な問題児にも体当たりで接してエレノアは、本当によくやってましたね。

 

また作中に何度も登場する「妖精姫」ってフレーズです。これが後半で非常にエレノアの特異性を際立たせてくれました。ファンタジーでの伝説って言葉に対して期待する楽しさを120%で返してくれる展開ですよ。
妖精に愛されるが故の生きにくさもあるんですね。

 

そして本作での最重要キャラであるアドルファスです。
『氷剣のアドルファス』の異名を持ち頭一つ抜けた騎士様です。調査隊の問題児に睨みをきかせられる凄腕です。彼がエレノアの副官として配されています。

そんなアドルファスが、エレノアに完全な忠誠を捧げて傍らから護るんですよね。これぞ騎士道の体現という尽くしっぷりなんです。ある種、行き過ぎなまでの過保護感かも?
その反面にアドルファスは、寡黙で内心をあんまり語ってくれません。物語終盤でやっと明らかになりますが、それまでは何でエレノアにそこまで尽くしてくれるの?とずっと気になり通しでした。

 

もし続くならアドルファスの心中をもうすこし読んで探ってみたいです。
あと続くなら追加イラストもお願いしたいんですね。町娘に扮したエレノアのイラストと悪人にしか見えない格好をしたときのアドルファスのイラスト。このあたりは追加でどうか出してもらえませんかね?

 

気弱な少女とクールで謎な護衛騎士の関係性。それに主人公ががんばって未来を切り開いていく展開です。こういうのが好きな方にオススメで面白かったです。
ラストシーンの後日談が、長めだったのも嬉しかったです。この伝説をもうちょっと読んでみたいです。

レーベルの感想も読んでみる

 

富士見L文庫の感想

 

Visited 37 times, 1 visit(s) today

富士見L文庫

Posted by kyoikyoi