千夜千食物語 【ラノベ感想】
千夜千食物語 敗国の姫ですが氷の皇子殿下がどうも溺愛してくれています
著:枝豆ずんだ
イラスト:鴉羽凛燈
出版: アース・スター ルナ
アマゾンのあらすじより
母の身分が娼婦だったため、王族なのに虐げられて生きてきたエレンディラ。敵国アグドニグルに攻め入れられ、皇帝に「有益か、無益か」問われた彼女は咄嗟に「陛下、プリンを召し上がりませんか!?」と提案。前世日本人の知識を生かし、千夜、毎夜新しいメニューを献上することを条件に、王族として自国の民を救う選択をするが……
感想
表紙はプリンを両手で持った幼女です。そしてタイトルに千夜千食です。
こちらは亡国の王女が千夜、皇帝を喜ばせるような食べことがないメニューを献上することで自国民を救おうとするお話です。
主人公はおなじみの転生者です。前世知識の料理がキーとなります。そしてプリンに代表されるような現代の庶民的な料理が出てきて、食べたみんなが笑顔になる作品ですよ。
でも可愛らしい幼女とグルメ、ほっこり癒される作品……かと思いきやあっさりキャラが、退場してしまったり悲壮な過去話が出てきたりと急にハードモードになる作品でもあります。
「ハートフルボッコ」な作品だと事前に聞いていた通りでした。ハートフル(な展開で急に登場キャラに)ボッコ(ボコになる過去が掘り起こされる)でしたねぇ。
わがままな神様が出たときに急にぶち込まれてきた信者とのエピソードとか、超絶権力者な顔だった皇帝の経験していた悲しいエピソードとか、ゆるふわな雰囲気から急に落としにかかってくるのでインパクト特大です。
皇帝が主人公に対して優しい目を向ける時があるのは、そのせいなのかなぁと思わず想像をしてしまいました。
お話の緩急が大きくて面白かったです。
基本はハートフルなグルメものです。主人公のがんばりが、どうにか報われて欲しいと思わず応援したくなる展開です。
ではあるんですが、落差の大きなキャラエピソードもあってその内容は、結構キツめです。主人公ですら娼婦の子だったからと壮絶な虐待を受けていたりします。そういうツラ目なエピソードは苦手…という方は、ちょっと厳しいかもしれません。
2巻目
面白いんですよ。ほっこり癒やしなんですよ?
でもやっぱり「ハートフルボッコ」でどんな顔して読めばいいか、相変わらずわかんない2巻目でした。
王子から一方通行なLOVE感情が、幼女主人公に向けられて初々しい感じとか微笑ましいんですよ。でもこのちょっと前に王子のせいで主人公は比喩抜きで死にかけてますし、皇帝は簡単に処そうとしたりするし、読んでいるときの感情の振れ幅がすごかったです。
そして王子だけじゃなく皇帝と主人公の距離も急接近しました。エレンディアを滅ぼした皇帝と共犯になった感じですね。それにしてもマヨネーズに生野菜をつけて食べるのを知ってたり、天津飯の名前を最初から知っていたり、皇帝ってなにものなんだろうなーー。
ゆるふわパートも面白くて挿絵で主人公のグルグル目とか困り顔とか、インパクト大なとんでもシーンだらけで楽しかったです。
唐突に炒飯調理大会なんて始まったら、きっとあんな顔になっちゃうでしょうね。
堅物イブラヒムが恋愛沼に落ちたシーンでの、シェラの表情筋が固まった表情なんかも笑いました。あの二人の絶妙な温度差は必見ですよ。
ゆるふわファンタジーなイラストでありながらハード目なファンタジーが、好きな方に合うんじゃないかと思う作品です。
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