死の森の魔女は愛を知らない【ライト文芸感想】
アマゾンのあらすじより
欲深で冷酷と噂の「死の森の魔女」。正体は祖母の後を継いだ年若き魔女のリコリスだ。ある日森で暮らす彼女のもとに、毒薬を求めて王弟がやってくる。断った彼女だけれど王弟はリコリスを気に入って……?
「偽悪的でお人好し。引きこもり魔女をめぐる恋と秘薬の物語」 ― 帯からも引用です。
主人公の魔女リコリスは年若いのと、人見知りでいわゆる魔女っぽい老獪さがなくて、情についついながされちゃうタイプです。でも本人はできたら引きこもって誰にも会いたくないって性格なのと、魔女のイメージを護ろうとして先代の魔女っぽい振る舞いで外部に接しています。本当は引きこもりなのに無理して「~~からじゃ」とか「~~ろうに」とか、無理している感じが愛らしいです。
使い魔やふとした出会いをした王弟と接しているときに見せる少女らしいリコリスの姿と、仮面を被って外部と接しているときのギャップがとても面白かったです。リコリスと王弟の付き合いがどうなっていくか楽しみです。
背景世界はけっこうリアル中世を思い起こさせる重々しさがあります。村の住人は明るくて陽気なのに、倫理的にはかるく一線を越える行為があったりといったぐあいです。明るく読みやすい雰囲気と思わせて、実はドロドロがあったりでやはりギャップに引き込まれます。
一貫して森の魔女らしい描写が多いのも良かったですね。魔女の秘薬やまじないの材料に、西洋に実在するハーブ、たとえばフェンネルとかタイムとかを調合したり身につけたりとの説明が、物語の雰囲気を強めてくれてグッっとイメージが深まりました。
魔女が出てくる作品が好きな方は、是非この作品も読んでみてください。
2巻目の感想
魔女リコリスの人となりと愛されっぷりが、なんとも良くわかるお話でした。今回のお仕事は、鉱山での行方不明者捜しです。気まぐれな妖精との交渉とか、魔法のお話とかとってもファンタジーです。
それからリコリスを慕って集まってくる面々は、有力者だったり実力者だったりくせ者そろいとなっています。彼女を敵視する魔女からは、平凡な顔立ち+昼間から酒を飲むぐうたら+などなど酷いいわれようをするくらいで強力な魔女ではなかったりします。でも2巻を読むとリコリスが何故そこまで愛されるのかが、良く分かわかります。とってもファンタジーを堪能するエピソードでした。
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