手札が多めのビクトリア【ラノベ感想】

2024年3月22日

手札が多めのビクトリア
著:守雨
イラスト:藤実なんな
出版:MFブックス

  手札が多めのビクトリア

アマゾンのあらすじより

各国で工作員が暗躍する時代、とある国――ハグル王国の工作員クロエは、類まれなる変装技術と体術で、難しい任務さえも次々と完遂する日々を送っていた。
しかし、上司の裏切りをきっかけに彼女は組織から忽然と姿を消してしまう。なぜならクロエは、隣国アシュベリー王国の一般市民ビクトリアとして、夢に見ていた「普通(しあわせ)」な人生をやり直す計画を立てていたのだ。
そんなビクトリアはセカンドライフ初日にとある少女を保護したことで、想定外だが幸せなスタートを切り、多くの人々と関わっていく。 
新天地で彼女は歴史学者の助手・語学の先生・凶悪犯の脱獄補助と、工作員時代に培った経験と才能を活かして大活躍!!
一方でビクトリアの強さに興味を持つ第二王子や組織の追っ手など、手札が多い彼女に対して迫る影も多く――!?
アクションと心あたたまるビクトリアの人生修復物語、ここに開幕!!

感想

表紙のイラストに引きつけられました。イラストは藤実さんですね。
『サイレント・ウィッチ』での数々の素晴らしいイラストを描かかれていて、わたしが好きなイラストレーターの1人です。
イラストはもちろん素晴らしかったです。そしてストーリーの方も、いろんなパターンの話しを楽しめて面白かったです。

 

主人公のビクトリアは、工作員です。幼少期に見込まれて、工作員の英才教育をうけたエースです。
それが組織の不義理をきっかけに、工作員から足抜けして人生やり直しストーリーです。工作員だったビクトリアが、人間らしさを取り戻していく展開です。とても癒やされました。

感情を顔に出さない工作員らしく、ビクトリアって無表情なんですよね。表紙にあるあんな表情です。
でも人生を再スタートしてノンナという少女と行動を共してから、彼女に表情が増えていくんです。クールなビクトリアがふと見せる表情は、とても良いものでした。

 

そしてビクトリアは工作員として身につけたスキルで、ハウスキーパーから教授の助手まで何でも完璧にこなせてしまいます。主人公が大活躍する爽快感も味わえますね。
また活躍する時などにタイトルを反映して、「手札が多い」ってフレーズが繰り返し出てくるのもタイトルを意識させてくれて、私も好きなスタイルです。決めセリフがある作品っていいなと思います。

 

あと本作で欠かせないのが、ノンナという少女です。彼女は気の毒な捨て子で、ビクトリアが保護者となります。
ビクトリア27才、ノンナ6才。親子や年の離れた姉妹みたいな繋がりとなっていってやはり癒やされました。実の家族のようにお互いを大切にするシーンも良かったです。

さらっと書かれる描写の数々がいいですよねぇ。ノンナが楽しみにしているシーンで、「あのね、あのね、ヒミツなんだよ!」と囁いて走って逃げる謎の行動のところとか、にやにやしっぱなしです。

 

そのほかの登場人物も良いキャラぞろいでした。ビクトリアの周囲には善人があつまっていて、ビクトリアの人生が修復されていく感じに癒やされました。
一方で逃げ出した工作員として、追いかけられた際はアクションもありますよ。ページ分量に対してのイベントがつまっていて、体感1.5倍ぐらいの読み応えがあった気がします。

 

ビクトリアと第二王子の関係や、思った以上に優秀で超人に育ちそうなノンナとか気になる要素がいっぱいです。
1巻目のラストはきれいにまとまっていますが、ここでおわらずに是非続いて欲しいです。オススメです。

 

2巻目の感想

めでたく2巻目が出ました。時がたって5年後のお話です。30歳を超えてもビクトリアの手札の多さは健在でした。そして1巻目の楽しさは、そのままに新たな楽しさも加わっています。

それは12歳に成長したノンナと18歳とすっかり大人になったリチャードです。2人とも手札多めに育ちノンナに至っては、1巻を読んだ時の想像通りに超人への道を歩みつつありました。
規格外なノンナは愛らしいですね。まだまだ遊びたい盛りなノンナを見守るジェフリーとビクトリアの姿に心温まりました。2人とも愛をもってノンナを育てているのが、本当に良かったです。

またバーナードさんからビクトリアにあった最良の伴侶についてのお話は、おもわず感動の部分でした。ビクトリアたちと重なるような夫婦愛のエピソードもまた素敵ですよ。
それを受けてか2巻目のイラストにあるビクトリアの表情が、1巻目の表紙より柔らかくなっているんですよね。こういう丁寧な描きわけも嬉しいです。

それにしてもノンナの成長っぷりには驚きました。これはモテ美少女の予感です。
さぁリチャードは、どんな手札を見せてくれるか楽しみです。

 

3巻目の感想

ビクトリアがお仕事復帰で、王太子妃の影武者役を務めることになりました。

ちょっと会っただけの王太子妃の口調や仕草を一瞬で観察して、完璧に影武者としてなりきる彼女の優秀さが光りますね。それでもお仕事復帰で家族に迷惑をかけないように気づかいの数々で、もう昔のビクトリアじゃないんだなってのがよく分かります。たぶん彼女のこころはジェフリーやノンナによってだいぶ癒やされたのかな?

それに対して3巻目ではノンナの暴走にハラハラさせられっぱなしでした。

たしかにノンナは強いです。並大抵の大人じゃ歯が立たないくらい強くなっていて、戦闘面は問題ないのかもしれません。
けどノンナはまだまだ子供ですからね。物騒な実戦なんてさせたくないのは、ジェフリーとビクトリアの心からの思いだと思います。
それに元工作員であったビクトリアだから分かる心配もありますしね……

親の心子知らずともいうべきノンナの奔放さに、終始ハラハラドキドキでした。
ノンナお嬢様がレディとして落ち着くのはいつになるのやら。

 

 



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