奇世界トラバース【ラノベ感想】

2022年12月18日

奇世界トラバース 救助屋ユーリの迷界手帳
著:紺野 千昭
イラスト:大熊まい
出版:GA文庫

   奇世界トラバース

アマゾンのあらすじより

神秘の巨竜が棲む“迷界”から少女を救い出せ!
知略と勇気で未知の世界を切り開く、異界探索アドベンチャー!

門の向こうは未知の世界─迷界(セフィロト)─
ある界相は燃え盛る火の山。ある界相は生い茂る密林。
神秘の巨竜が支配するそこに数多の冒険者たちが挑むが、生きて帰れるかは運次第──
そんな迷界で生存困難になった者を救うスペシャリストがいた。彼の名は「救助屋」のユーリ。

「金はもってんのかって聞いてんの。救助ってのは命がけだぜ?」

一癖も二癖もある彼の下にやってきた少女・アウラは、迷界に向かった親友を救ってほしいと依頼する。

「私も連れて行ってください!」

目指すは迷界の深部『ロゴスニア』。
危険に満ちた旅路で二人が目にするものとは!? 心躍る冒険譚が開幕!

感想

オリジナルな世界観構築が凄いよ、と聞いて読んだ作品です。
異界探訪に長けた主人公が、異界初心者の少女と異界深部を目指していきます。探検紀行っぽいラノベで面白かったです。

主人公ユーリの肩書きは、「救助屋」です。異界に潜って冒険者を救助する商売です。
敬語を使えない系の黒髪主人公で、要救助者の足下を見て費用をふっかけるなど、30-40ページぐらいまでやたらと悪党として描写されています。

ですので個人定期に最初は「うーん」でしたが、作中で根は善人と明かされてから、急に主人公の傲慢さも弱まって読みやすくなります。
旅の相方は、異界の旅なんて初めてなお嬢様です。道中の掛け合いで主人公のチョロさが見えてくるのは、楽しかったですね。

作品のメインとなる異界は、地球の常識と全く異なる舞台となっていました。そもそも人間が生息できない環境があたりまえなぐらいです。
見たことも聞いたこともない生物がいて、想像もつかない自然環境が待ち受けています。そんな異界をいくつも渡り歩いていくんです。手に汗握る冒険探索の連続です。
1つの異界で1冊のエピソードをかけてしまいそうなのに、贅沢にも多様な異界をたった1冊で見せてくれました。

 

ものすごくファンタジーでした。私が好きな海外ファンタジーで「次元界」って設定があって、そこでは次元が変わると動植物に大気・重力から物理法則まで変わるって徹底ぶりになっているんです。その凝りに凝った設定を、本作でもやってくれているんです。相当な労作だと思います。

 

星々をめぐって様々な世界を旅するSF作品も通じるものを感じました。
地球の常識が通用しない世界で、常識的でない行動で旅する冒険ものが好きな人にオススメです。

 




 

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Posted by kyoikyoi