追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。【ラノベ感想】

2023年11月8日

追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。
著:ただのぎょー
イラスト:結川カズノ
出版:アース・スター ルナ

  追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。 追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。

アマゾンのあらすじより

王妃になるべくして育てられてきたヴィルヘルミーナ。
彼女を疎ましく思う王太子の策略により、平民まで身分を落とされてしまうが、ここで泣き寝入りする彼女ではなかった。
夫アレクシの研究を支え、全力でバックアップを展開。
国家や世界をも揺るがす世紀の発明、魔素結晶化装置をひっさげ、会社まで設立してしまう。

夫を献身的に支え、うだつの上がらない研究者から
一流の実業家に変身を遂げさせる彼女の「復讐」計画とは?

 

アレクシの発明、魔素結晶化装置を用いた「簡易魔力測定所」は大盛況。
A&V社の業績は右肩上がりを続ける。
大気中魔素集積装置の完成も大詰めを迎える中、それぞれの関係性に変化が訪れる。
令嬢としての自覚が芽生えたイーナ嬢と、愚かなままのエリアス王太子。
美貌はそのままに、強くたくましく成長したミーナと自信がついて男ぶりを上げたレクシー……
二人の偉業は「復讐」にとどまらず、やがて国家や世界を変えることに!

感想

上下巻です。
面白かったです。強くてかっこいい女性主人公が好きな方は是非!

令嬢追放ものです。ただ昨今、流行している理不尽さを感じる追放ざまあではなく、正当な理由がある追放、そして身を守るためのきっちりとした復讐があるお話でした。行動に納得の理由があるのは嬉しいですね。

 

ヴィルヘルミーナは見事な貴族令嬢です。追放の理由も婚約者である王太子にすりよってきた令嬢が、いつまでも離れていかないので派閥の貴族に忖度させて嫌がらせ。手を尽くしても王太子が火遊びをやめないから、王家のメンツを保つために令嬢の暗殺を謀る……とやっていることは完全OUTです。
ではあるんですが、上級貴族のふるまいとしてどうかというと陰謀渦巻く宮廷じゃ、とりたてておかしいことじゃないんですよね。暗殺を謀った相手は下級貴族ですし……。

といった主人公なので価値観はバリバリにお貴族様です。追放されるときは「政争に敗れたから去るのは当然」と、やたらと覚悟が決まっているんですよね。たいへんにカッコよく貴族らしい主人公だったのが印象的で面白かったです。

 

そして次はヴィルヘルミーナのパートナー、アレクシの魅力です。

彼は典型的な技術オタクな研究者ですね。平民なのに叙勲されるくらい優秀な技術者です。けれど運はあまりよくないようで王太子から追放したヴィルヘルミーナを押しつけられて、強制的に結婚させられてしまうんです。
お貴族様全開なヴィルヘルミーナとの初顔合わせは、なんとも鮮烈なシーンでした。

最初は線が細そうで頼りなかったアレクシです。それがヴィルヘルミーナの支援を受けて彼もまた困難へ強く立ち向かっていく様子は楽しかったです。魔物から回収している魔石を自然界に漂う魔素から生成しようなんて、発想が化学的でとてもワクワクしてしまいました。

 

最初は無理矢理結婚させられたヴィルヘルミーナとアレクシが、互いの長所を夫婦で力合わせてステップアップしていくのが面白かったです。
あと二人とも恋愛面では、どっちも奥手で経験値ミジンコだったのもよかったですね。一緒に過ごすうちに互いの魅力に気づき、少女みたいにヴィルヘルミーナが真っ赤になって照れてたシーンはギャップ萌えでした。

 

強くてかっこいい女性主人公、ちゃんとお貴族様として悪役な追放令嬢ものを読んでみたい方へ強くオススメします。

 

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