悪徳令嬢はヤンデレ騎士と復讐する【ラノベ感想】

悪徳令嬢はヤンデレ騎士と復讐する
著:稲井田そう
イラスト:ふぁすな
出版:レジーナブックス

  悪徳令嬢はヤンデレ騎士と復讐する

アマゾンのあらすじより

王太子から婚約破棄された公爵令嬢・ロエルは、それを契機に地獄のような日々を強いられることになる。愛する家族を次々に手にかけられ、一人、独房で蹂躙を受ける日々。死ねない呪いをかけられ、無限に続く悪夢から彼女を救ってくれたのは見知らぬ男・ウェルナーだった。彼に殺されたはずのロエルは、目を開くと王太子と婚約破棄をする直前に逆行していた。今度こそ家族を守りぬくため、ロエルは五人の仇を自らの手で排除することを決意する。そんなロエルが向かったのは自分を殺したウェルナーの邸だった。死ねない呪いを破るため彼を利用しようと考えたのだが、再会したウェルナーは彼女への執着を露わにしていて……

感想

「ヤンデレ騎士」と「復讐」なんともヘビーなタイトルですね。
あらすじも大変に重くて思わず飛びついてしまいました。しかも作者はTOブックスから後宮花箋の刺客妃をだされている稲井田そうさんです。きっと面白いだろうの期待通り、とてもおもしろかったです。

ただ復讐の背景、復讐方法、主人公の覚悟、騎士のヤンデレ具合のどれも非常に重いです。万人にはウケないかもしれませんが、重いお話が好きな方には全力でオススメします。

 

雰囲気は婚約破棄&ざまぁのテンプレを作者さんの力量で別物に仕上げた感じですかね。

婚約破棄されて1回目の人生から死に戻って、家族を救うためにやり直しの人生に奮闘するお話です。でもですよ、1回目の人生でくらう悲惨さが重すぎるんですよ。ガチ中華後宮ものばりに陥れ方は、悪辣で悲惨なんです。
それだけの目に遭わされたので主人公の復讐も、目には目と非常な手段となります。色々とハード目なのでそういう展開に不安を感じる方は、試し読み推奨です。

 

やりなおし後の人生では1回目の人生の知識をもとにして、主人公のロエルは家族を護り、復讐を果たすべく暗躍します。理想的な王妃として生きたばかりに、利用され破滅させられた1回目を経験してロエルの覚悟は決まりきってます。文字通り復讐を果たすためなら自らの身も心も差し出す覚悟です。

どうみても2回目のロエルは完全な悪役令嬢です。

周囲を動かし自らも手を汚す。つよくてかっこいい女性ヒロインが好きな方は、たぶん好きになってしまう主人公だと思います。悲願達成のためなら手段を選ばないダークヒロインですよ。

 

その目的を果たすために手駒として引き込んだのが、ヤンデレ騎士となるウェルナーです。
もともと彼は騎士じゃありません。生家で母と姉から男娼まがいの扱いを受けていたところ、ロエルが護ってやるからウチにこいと従者として引き抜いた人材です。復讐の実行に必要だから引き抜いただけだったんですよ……

そんな出会いなのでロエルにとってウェルナーは、重要な手駒の一つに過ぎなかったんです。

対してウェルナーからすれば地獄からの救い主です。初回から好感度はメーター振り切れてしまってます。加えてウェルナーは母と姉から加えられてきた虐待から、圧倒的な女性不信という背景までありました。やり直しの人生でウェルナーを救ったところ変な化学反応が起きちゃったんです。

もうウェルナーにとって世界でゆるせる女性はロエルだけ。
ロエルが絶対。
ロエルとともに世界がある。

本気でそう考えちゃってて完全に病みきっています。さすがのロエルもウェルナーの忠誠心へは首をかしげるほどです。

しかも1人目の復讐を果たした際に、ウェルナーから求められたご褒美に対してはドン引きしてます。
わたしも引いてしまったほどですよ。それぐらいウェルナーの病みっぷりは凄かったです。あ、良い意味で。

 

こんなふうに前半はウェルナーからの一方通行なんです。ただそのうちにロエルも麻痺してきて、常識で考えたら異常なことに疑問を感じなくなっていくんです。むしろイヤじゃないとか感情がバグりだすんですよ。
このヤンデレに沼へ引きづりこまれていく感じは、たまりませんでした。シーンごとの踏み外し方の具合が絶妙です。

 

愛は重ければ重い方が良い勢であれば、是非とも読んでみてください。

いやぁよかった。

 

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