全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。【ラノベ感想】

全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。
著:雨糸雀
イラスト:kodamazon
出版:KADOKAWAの新文芸

  全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。

アマゾンのあらすじより

自分を犠牲に仲間たちを救ったら――みんなの感情(おもい)が重すぎる!?

「――いやああああッ!? ウォルカ、し、死んじゃだめえええええッ!!」
日本から転生した冒険者ウォルカ。ダンジョン探索中に突如強大な魔物に襲われた彼は、仲間を庇って瀕死の傷を負ってしまう。その瞬間ようやく気づいた――ここが前世で読んだダークファンタジー漫画の世界で、自分が仲間もろとも全滅するモブキャラだったのだと。
バッドエンドを強く嫌うウォルカは、仲間のために死に物狂いで戦い奇跡的に魔物を撃破。片目片足を失いこそしたものの、パーティ全滅の運命を覆せたことに安堵していた。ところが、仲間の少女たちの様子がなんだかおかしくなってしまって――

「今度こそ絶対に守るからっ!! だからお願い、見捨てないでぇ……!!」
「わたし、ずーっと傍にいますから。――いいですよね、せんぱい?」
「キミのために死のうって……そう決めたの」

ハッピーエンド至上主義な転生者と、彼に激重感情を抱く少女たちの【曇らせ】異世界譚!

感想

パーティーの女性メンバーが病むんですって。感情が重すぎるんですって。
最高すぎました。

愛は重ければ重い方が良いんです。最初から最後までよかったなあ。

 

 

タイトルとイラストで期待値をあげまくって、それにしっかりと応えてくれるナイスヤンデレです。

web発の作品でハーメルンに掲載されていのが次のタグとなっています。
こんなんもう優勝ですよ。

  • 激重感情合法のじゃロリ魔法使い
  • 病み堕ち撫子ロリ剣士
  • エキゾチック褐色ボクっ娘バーサーカー
  • 清純派クソデカ感情聖女様

この4人がみんな違った病み方をしてくれます。ウォルカを前にして表情をくもらせまくります。

みんないいんですが、個人的にはのじゃロリ魔法使いが一番印象的でしたね。ストーリー進行上、主人公とのからみが多くて表情が豊かなんです。それから大前提として長命なのじゃロリと人間の関係性ですから。よいという感想しか出てきません。

 

さて、この世界はマンガの世界で本当は全滅するはずだったんです。でも運良く重傷で済んだと思っているウォルカとそれを知らないパーティーメンバーとの間には、温度差が生まれるのは当然でそこが際立ちますね。彼女たちからしてみれば本当は全滅だなんて知りませんし、目の前にいる不具となったウォルカだけが現実ですからね。結果への受け止め方はそりゃあ違いますよ。

 

そして元から病んでいたのでなく病むだけの事情が個々に描かれています。だから彼女は病んだのか、こんなに感情が重いのかと作品にのめり込ませてくれたのも面白かったです。

色んなところが丁寧なんですよ、この作品は。

 

女の子が魅力的なのはもちろんとして、主人公のウォルカも魅力的です。
まず自己犠牲をするぐらい仲間を大切にしています。それから剣に人生をかけていて、作中世界に存在しない「居合い」を追い求めて修めているんです。

ストイックな求道者でカッコいいんですね。しかもちゃんと強いときていますし。
ヒロインに愛されて当たり前な主人公なんですよ。

 

また主人公とヒロインという魅せ方の軸だけでなく、主人公と男性キャラという友情を軸にした魅せ方もしてくれています。

そこで登場するのがナルシスト騎士です。一見キザな三枚目でいながらウォルカのよき理解者でライバルなんです。彼はウォルカの前で表情をくもらせることこそしませんが、脚を失ったウォルカに強く憤ってくれています。
いいですよね、内心は押し殺してあえて普段と変わらないように接してくれる友って。

 

とても面白かったです。感情の重いヒロインを見たい方へは強くオススメします。
あえて欠点があるとすると1巻目は登場キャラの紹介をして、さあこれから物語が始まるぞってところで終了しています。このモヤモヤをどこにぶつければいいのやら。必ず2巻目を出してもらわないとなりませんね。

 

 

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