ハズレ武将『慎重家康』と、エルフの王女による異世界天下統一【ラノベ感想】

2023年1月11日

ハズレ武将『慎重家康』と、エルフの王女による異世界天下統一
著:春日 みかげ
イラスト:ainezu
出版:電撃の新文芸
   9784049137835

アマゾンのあらすじより

天下人の徳川家康。天ぷら食べて無念の死、と思ったのも束の間、気づけば20歳の肉体で見知らぬ世界に転生していた!?
 しかもエルフの王女セラフィナを人間の暴漢から救ったことで、滅亡寸前のエルフ族が籠城する『エッダの森』の大将軍に任命されてしまう。
 小心者で節約家、敵が死ぬまで戦わずして待てばいい。およそ勇者らしからぬ思考の家康は、心配性ゆえ役に立ちそうな人材を『エッダの森』に集め始める。守銭奴のダークエルフには資金集めを。穴を掘りまくるドワーフには治水工事と抜け路作りを。果ては情報戦を制するため暗殺者一族まで起用。『エッダの森』を徳川幕府並みに改革していく家康だったがーー?
 家康が狸爺のイメージの時代は終わった!? 天下人の経験を持った、超チートな若き家康×天真爛漫なエルフの王女が贈る、異世界統一ストーリー。

感想

タイトルと帯の"土日月氏もおススメ!"とあったので読んでみました。異世界転生した徳川家康に「慎重勇者」を加えたようなコメディ色がある作品でした。上下2段組で読み応えがありますよ。

 

家康の行動は死にたくない一心で、石橋を叩いて壊すぐらい慎重です。平気でヒロインで毒味したり、魔法の実験台にしてきます。そのくせ健康・長生きに繋がるなら無茶もきにせず、薬草採取にいそしんだりします。

史実だと天下人にして長期政権の基礎を築いた有能な政治家です。海道一の弓取りな戦人と偉人なんですけど、他の武将に比べてイマイチ人気ないですし、かっこ悪いエピソードも有名だったりします。そういう家康の守銭奴エピソードとか、三方ヶ原の戦いで糞を漏らして配送したエピソードとかが何度も出てきます。

天下人・勇者なカッコイイ家康の言動と、慎重すぎ・守銭奴のおかしな家康の言動が場面場面で変わって不思議な感覚でした。固いのと柔らかいのが混在するのは、キャラ配分もそうで名門エルフの令嬢とか忍者ポジの王子とかは常識人で戦記物にいそうなキャラが主流派ででてきます。

その一方でエルフの王女とか転生時の女神とかは、アホの娘口調丸出しででてきます。しゃべるとマズイから掌底!だとかだいぶ雑に扱われるんですけど、しょうがないかぁと思ってしまうキャラなんです。女神のセリフを載せます。こんなアホさです。

 

“ギャアアア、ちょっと待ってよぅ! こんなところで放りださないで~! そんな生殺しみたいな真似、やーだー! いやぁぁぁ、最後まできっちり助けてよぅ! エルフの森にまで連れて帰って~! お願いっ、お願いしますっ! びえええええん!"

……これがヒロインです。毒味役にされても気の毒に全然みえないヒロインです。
なんか顔芸も凄いんだろうなって絵がなくても分かります。残念ヒロインです。

 

ストーリー展開としてチートは控えめです。転生チートも備わっていますが、チート感はそんなに感じません。地道な人材集めとか金策に力をいてるので、異世界での国造りが好きな方には合うんじゃじゃないかと思います。それから合戦シーンは1巻目では出てきません。戦場シーンを読みたい方は2巻目までの一気読みを推奨です。

 2巻目の感想

ついに合戦シーンに突入して王国軍や魔王軍との戦いです。慎重家康ってことで合戦前の事前準備と政治的な駆け引きがたっぷりな回でした。ちょいちょい入る家康の史実との対比が面白いです。内政重視なのは私好みです。合戦よりも戦後の論功行賞のが、大変だってシーンまであるのは新鮮でした。
あとキャラの立ち位置が固定されてきた気がします。ギャグポジションのセラフィナとかイヴァンは目立ちますね。セラフィナに至っては、キャラ紹介の"若干ポンコツ"どころではないポンコツ具合です。良い具合に緊張感をぶっ壊してくれました。
 
 
 

 

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