鬼姫、異世界へ参る! 【ラノベ感想】
鬼姫、異世界へ参る!
著:ジュピタースタジオ
イラスト:あるてら
出版:Mノベルス
アマゾンのあらすじより
現代日本、古都はずれの紅葉神社のほど近くの河原に小さな祠がある。
祀られているのは、数百年前に実在したという最後の鬼──「鬼姫」。
ひょんなことから現世に蘇った鬼姫の眼前に広がるのは異世界だった!!
なぜか生前の記憶は朧気だが、持ち前の器量と威勢は健在。得物片手に妖怪…魔物退治は朝飯前、市井の難事件も解決したりとなんでもこなす。
鬼姫の珍道中は万事順調!目指す処は日が昇る国、日本。
これは、古の日ノ本にて、妖怪退治や巫女を生業とした鬼の最後の生き残りが、異世界から日出処を目指す流離の物語。現代日本から異世界に流れ着いてしまった鬼姫は、「日ノ本への帰還」のため、東の果てを目指し、異世界を駆ける。
多様な町々を巡る旅路は、一期一会の珍道中。
そんな中、東の果てには悪逆の限りを尽くした「魔王」が封印されているる城があることを耳にする。
ものはついでと物見遊山、魔王と会ってみたくなった鬼姫は、東へと歩みを進めるのだった。
そこで、自身に隠された天地を揺るがす秘密が解き明かされるとも知らずに──。
鬼の最後の生き残りが、異世界から日出処を目指す流離の物語。
感想
強くて愛にあふれた鬼姫様は、とてもかっこよく美しかったです。そして文化の差による勘違いや、鬼姫様の適当さがいい味をだしていて面白かったです。
本作のジャンルは異世界転移無双ものです。
転移するのは鬼の巫女です。長年神社で土地を護っていたので、土地神様に近い主人公です。
そんなキャラが異世界転移したら、強くてニューゲームの無双確定ですよね。
ただ転移先は剣と魔法、お馴染みのファンタジー世界だったんです。そこで鬼姫様が第一村人と遭遇したら、「オーガがでたー」とバッドコミュニケーションから始まって、いや「我は鬼じゃ」のやりとりが交わされます。和と洋のギャップ感がすごく楽しい作品でした。
ちなみにオーガ扱いされて討伐対象になったりはしません。基本的に平和で幸せな物語です。
転移先に女性型のオーガは存在しないとか、鬼姫様がオーガだったらあり得ないほど強くて敵わないとかあって、人類と敵対する方向へはいきません。鬼姫様は現地人が失礼な態度をとっても、ひょうひょうと受け流します。実力者の余裕ってやつですね。
それにそもそも鬼姫様は人間を愛していて、人間を護ろうと思っているので対立しないんです。
そこで本作は鬼姫様が日本へ帰還する方法を求めて、東国を目指すなかで立ち寄った先々で、人助けをするロードムービーとなっています。
ええみんな大好きなロードムービーですよ。色んな町村を訪れて交流&人助けです。メインクエストはモンスター退治で鬼姫様無双です。
ここで面白いのがマンティコアだキマイラ退治だと、ファンタジーのモンスター退治を想像していたら、鬼姫様は「それは鵺じゃな」と和な化物退治を披露しちゃうんです。
そんな鬼姫様が想像する和の化物が当てはまるのもあれば、全くの見当違いとなることもあります。で違っていたとしても結局倒せたからいいよね、と鬼姫様は気にしないんです。
で後に残された現地人が驚愕する展開です。こんな勘違い要素が毎回あって楽しかったです。
あと個人的にすごさを感じるところとして、お話を最後まで書かずに鬼姫様を次の街へ旅立たせるときがあることです。退治をしたらその結果どうなって……と描いて交流のシーンがあるのが多いところ、鬼姫様は退治した次!と戦利品すら放置して次へいってしまいます。思い切りよすぎです。
この思い切りのよさにより、上下巻で15話と色んなお話がテンポよく詰め込んだ構成となっています。読み応えバッチリです。
デュラハンとウイスキーを飲み交わした巫女らしいシーンとか、お腹をすかせた子どもに腹一杯食べされるため、見え見えの嘘をついて食事を振る舞う鬼姫様の優しいシーンとか、このあたりは特にみてみてほしいエピソードです。
上下巻のボリュームでハードルが高いかもしれません。でもそのボリュームに見合う面白い作品でオススメします。
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