孤独の魔女と独りの少女 【ラノベ感想】
孤独の魔女と独りの少女
著:徒然ナルモ
イラスト:霧月
出版:GCノベルズ
アマゾンのあらすじより
八人の魔女が大いなる災厄を打ち倒し、荒廃した大地を魔力で復活させてから八千年。 奴隷に生まれ名前すら持たない少女は、ある嵐の日に魔女と出会った。
かつて世界を救った魔女の一人。
七人が国を興し世界を守護する中、ただ一人姿を消した魔女。
〝孤独の魔女〟レグルスは少女に告げる。「お前さえ良ければ、我が弟子になるか?」
エリスと名付けられた少女は、魔女の弟子として世界の広さを知っていく。
これは八千年引きこもっていた孤独の魔女と、名前すら持っていなかった独りの少女の冒険譚!
感想
ほんの数ページ読んだだけで、エリスへの庇護欲をかき立てたられますね。
孤独な少女は孤独な魔女によって、与えられることをしる。孤独な魔女は孤独な少女を弟子にしたことで、8000年の孤独に終わりを告げる。
対照的な関係性が構築されていて、魔女と弟子のキャラクター性も素晴らしかったです。期待したとおりの面白さでした。
主人公のレグルスは、孤独の魔女です。
8000年前に8人の魔女と世界を救った英雄です。そして7人の仲間は国を興したのに、レグルスは行方をくらまして孤独を貫き通しました。
そんな主人公が偶然死にかけた奴隷少女のエリスと出会い、彼女を弟子にしたことで始まる成長譚です。
まずエリスの生い立ちが可哀想過ぎるんです。そりゃあレグルスが孤独を捨ててでも、護りたくなるというものです。
誰かから与えられたことがなく、名前すらも与えられていないのがエリスでした。彼女が心に負った傷は相当に深いです。それがレグルスという自らを護って与えてくれる師匠を得たことにより、お師匠様大好きと変わっていきます。元気になった姿はずっとみていたい気持ちになります。
エリスにとって奴隷だった頃と比べたら、レグルスとの生活は天国なんでしょうね。完全にエリスの精神面はレグルスに依存しています。
朝目覚めたらレグルスが出かけていたことがあり、お師匠様一人にしないでとエリスが泣いているシーンは、5歳という年齢以上に彼女の依存心を示していたんじゃないかと思います。
そしてエリスの様子から、レグルスも彼女と離れてはならない。彼女と一緒にいなければと8000年の孤独から解放されていく心情もよかったです。
エリスの感情がかなり重いのはいいですね。
魔女と弟子の深まっていく関係性に加えて、エリスの成長もまた本作の魅力です
なんとエリスは天才でした。完全記憶能力の持ち主でレグルスが、自分の全てを伝えられるかも?と感じるぐらい目覚ましい成長をします。
小さな魔女の奮闘を是非みてみてほしいです。
エリスは優秀です。きっちりと成長していきます。それと同時に成長すればするほど、人智を越えた力を手にしてしまい、エリスもまた人間から恐れられて孤独となる危険性も秘めています。
いつかエリスもレグルスの孤独に共感する時が来るのでしょうかね。
1巻目ではわずか6歳の子どもとは思えない大冒険をエリスは経験します。すでに6歳にしてエリスの心意気は、魔女なんですよ。
冒険をして成長し、最後にもらったエリスがもらった言葉は、最高の宝物だったんじゃないかと私は思います。
熱かったですし、感動でなけるお話でした。
なぜエリスは山中で遭難したのか?
他の魔女たちはどうして8000年もレグルスを孤独なママとしていたのか?
1巻目ではいくつもの謎が残っています。シリーズとして続いて欲しいです。
他にも感情表現豊かで、孤独の魔女最推し勢なメイドという愉快すぎるキャラもいました。キャラクターの魅力も抜群な本作です。
師匠と弟子がともに成長していくファンタジー作品が好きな方には、とってもオススメします。
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