魔導具の修理屋はじめました【ラノベ感想】

2022年8月20日

魔導具の修理屋はじめました
著:藤浪 保
イラスト:仁藤 あかね
出版:ドラゴンノベルス

  魔導具の修理屋はじめました 魔導具の修理屋はじめました

アマゾンのあらすじより

異世界召喚されたけど勇者の素質ナシと追放された元女子高生セツは、
誰の助けも借りず王都で暮らし始める。
仕事でやらかすわ、ご飯はマズいわ、初めての一人暮らしは色々大変……。
けれど、魔導具師の才能が発覚して人生好転!
アパート(トイレ付き)を借り、手に職をつけ、お店まで持つことに!?
頑張る女子の等身大異世界ファンタジー!

感想

異世界転生したけど使えないと追放。そっから実は有能だと判明して盛り返す系のお話みたいです。ここで「みたいです」と書いている理由は、あとで述べます。
主人公の持つ能力は、クラフト系の魔導具師です。1巻目ではドン底から心機一転、開業してのスローライフなのかな?といった転生作品です。

 

感想を一言で表すなら「見知らぬ異世界で一人ぐらいしたら、こんな過酷さがあたりまえだよね。」です。

 

主人公のセツは、ごく普通の女学生です。そしてイケメン究極超人なクラスメートと、仲良くトラックに轢かれて異世界に転生です。
で、転生してクラスメートは勇者、主人公は能力なしのいらない子として王宮生活から卒業というスタートとなっています。

その後に冒険者ギルドに登録したあたりから、異世界生活の定番から離れて暗雲が立ちこめはじめます。
特技がないと稼げる仕事はない。もちろんモンスターなんて倒せるわけがない……。まぁ平和な日本で育った女子高生なんだから、ごくごくあたりまえなんです。異世界暮らしがとってもにハードです。

宿代に食費を払いドンドンと目減りしていく資金を前にしての焦燥感とか、弱いモンスターが相手であっても流血するほどのケガをしてパニックになるとか、生身の人間らしさを強く感じました。そういった繊細な描写は秀逸です。
異世界転生する作品の中でも本作は、せまりくる生活の破綻への危機感がトップクラスのような気がします。

 

序盤に異世界で生活するのは大変なんだってのを徹底的に描写し、そしてそんな時に手を貸してくれた冒険者ギルドの暖かみに触れることで、後半に書かれる展開での自然な流れを感じました。
後半で貴族が出てきても、ホイホイと主人公がついていかないのも共感です。

 

背景の描写や人物の内面描写も丁寧で面白い作品です。でも気になるところもあります。
それは本作がどう進んでいくのか、何を描くのか見通せないことです。主人公は魔導具を修理する才能があるとハッキリするのは、250ページぐらいです。それでいてあと50ページも読むと1巻目終わりです。

 

町での生活面についての描写が多いので、生活系の魔導具開発になっていくんですかね。メシマズ発言も多いので料理改革もあるのかな?と先の展開は読めません。

加えて何かと主人公を助けてくれる、ルカって青年も謎ですね。たぶん彼の料理が今後に絡むんだろうなぁと想像しつつも、どうなるかは読めません。

このあたりが最初で「みたいです」と書いた理由です。

 

1巻目で面白いんですけど、タイトルにある魔導具の修理がどう物語として広がっていくか未知数でもある作品です。私はどうしても序盤のハードな異世界暮らし描写に目がいってしまいまいました。
魔導具の修理で活躍する話を読みたいんだって方は、そのあたり注意がいるかもしれません。




 

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