魔法使いの引っ越し屋【ラノベ感想】

2025年3月16日

魔法使いの引っ越し屋 勇者の隠居・龍の旅立ち・魔法図書館の移転、どんな依頼でもお任せください

著:坂石 遊作
イラスト:いちかわ はる
出版:カドカワBOOKS

  魔法使いの引っ越し屋

アマゾンのあらすじより

王国一の魔法使いが紡ぐ出会いと別れ、とある日常の1ページ。
王都の片隅で小さな引っ越し屋を営む少女ソフィは、王国一の天才と謳われる魔法使い。どんな荷物も難なく運ぶ彼女のもとには、今日も特別な客からの依頼が舞い込んでくる。
ある日やってきたのは、こっそり隠居したいという「老いた勇者」。お屋敷いっぱいの家具や宝物はミミックに収納して運び、呪われた魔剣もきっちり封印。更には、引き留める人たちとのこじれた縁も綺麗にほどいてみせて――?
剣と魔法の世界で紡がれる、出会いと別れのファンタジー。

感想

泣かされました。あとがきにあった作者の狙い通り、きっちり泣かされました。感動で涙をさそうお話で面白かったです。
外で読むときは感動の嵐にご注意を!

 

主人公のソフィは魔法使いの引っ越し屋。魔法で家具を浮かせて建物ごとだって引っ越しできてしまうなんて、とってもファンタジーなお引っ越しです。魔法を使って荷物や建物だけでなく、住人の思いまで新しい土地へ繋いでくれるお話で感動の数々でした。

引っ越しで運ぶのは、勇者、図書館、神様など実にファンタジーラインナップです。これらの引っ越しが連作短編形式になってます。

 

あらすじにある「出会いと別れのファンタジー」を噛みしめる素晴らしさでしたね。

引っ越しだからどうしたって別れの要素があります。そこをソフィーが魔法の力でとりもって、依頼人にただ別れではなくて新しい出会いへの始まりなんだよと寄り添う展開は感動でした。

私の一推しは魔法図書館の引っ越しです。ただ本を引っ越すだけでなくて図書館建設時の人々の思いまでひもといて、あんな美しい姿で繋いでいくとは思いませんでした。魔法があって異種族がいるファンタジーだから読めるお話で、ソフィーの引っ越しにかけるひたむきさが大変によく伝わりました。

 

前後編になっている勇者の引っ越しなんて、泣かせにかかってくる度合いはこれ以上だったりしますからね。すごいお話です。

 

そして感動の要素以外に味のあるサブキャラとの楽しい掛け合いも魅力的です。印象的なのはドリル金髪ですわ口調のフランシェスカです。天才のソフィを一方的にライバル視する秀才のポジションです。宮廷魔術師で本当は凄いはずなのに、ソフィの前だからなんかポンコツお嬢様にみえてしまう愛すべきキャラです。

ぼっちなソフィの世界を広げてくれる美味しいポジで、いつかソフィからフランシェスカは友人と認めてもらいたいですね。

 

2巻目の感想

またまた感動エピのオンパレードでした。1巻目を好きだった人へのご褒美ですね、これは。

思いも一緒に引っ越しするのは、2巻目も変わらずです。魔法を生かしたファンタジーなお引っ越しは、どれも絵本の中のできごとみたいに幻想的でした。まさか刻まで扱うとは思いませんでした。時を超えて願いを叶えるなんて、こんなん読んだら泣くしかありませんよ。

あと嬉しかったのは1巻目にでたキャラたちが、2巻目にも登場してソフィーの引っ越しにかかわるところです。こういうシーンがあると引っ越し終わりでなく、引っ越した先の土地での生活が続いているのを感じるんですよね。私は作品の中に世界があって営みを感じられる物語が好きなので、すごく嬉しい演出でした。

 

感動で泣ける作品を読みたいときは、まさにコレだと思います。とてもいい作品でした。

 

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Posted by kyoikyoi