乙女ゲー戦記【ラノベ感想】

乙女ゲー戦記 乙女ゲームを1ミリも知らない男がTS転生した結果
著:うっかり一兵衛
イラスト:天野 英
出版:ドラゴンノベルス

  otokegesenki

アマゾンのあらすじより

拳で語る乙女ゲー転生!
中世と思しき世界にTS転生した孤高の女騎士エレウノーラは、貴族の習いで王都の学園へとやって来た。
じつはそこは、とある乙女ゲームの舞台で、学友である転生悪役令嬢が原作改変の真最中!
そんなこととは知らないエレウノーラは、男とは拳で語らい、女子会には合理主義で臨んで、図らずも原作を逸脱させていく。
「何この人、課金キャラ?」と訝しむ悪役令嬢をよそに、世界観を無視したエレウノーラの言動は波乱を巻き起こして――!?

感想

表紙とタイトルのインパクトにひかれて読みました。

てっきりギャグとかコメディかなとおもったら、漢気あふれた熱い騎士の物語でした。
主人公のエレウノーラは、何よりも先祖からの領地が大事。そして自分は弟が成人するまでの代理、お家騒動になりかねないことは一切NGなんです。望めば叙勲できるのに全てを断って、一塊の騎士として清貧な日々です。

それでいて真偽に厚く、曲がったことも大嫌いですからね。加えて心の底から領民想い、理想の騎士道ですよ。
そりゃあ、みんなも惚れるってもんです。

 

そうこれで主人公が男性であったのなら、みんなハッピーだったんです。

 

タイトルにTSとありましたが、それは主じゃないように感じました。TS要素は男性的な思考をした女性キャラ付けの印象で、主人公が性別に悩む様子は、あまり感じませんでした。むしろエレウノーラの周囲がなんで男性じゃないの……とい悩んでいるほどです。

だからメインは理想の騎士が女性だったんですよ、のギャップ感を楽しむのものなのかなと感じました。

 

 

それからイラストをみてください。筋骨隆々で一見すると女装した美男騎士っぽくみえませんか?
でも主人公は完全な女性なんですよ。男性にまじって剣と拳で語りあえる筋肉を持っているんです。作中で無双のような活躍も納得の肉体です。

 

騎士として真っ直ぐな生き方を貫く、エレウノーラの活躍をながめるのが面白い作品でした。

 

あとそれ以外に複雑な要素もありまして、乙女ゲー世界の部分です。

主人公がいるのは乙女ゲーの作品世界です。でもそんなことは彼女は全くしりません。
ただ騎士として真っ直ぐに生きているだけです。

片や主人公以外にも転生者した令嬢はいて、その人物は乙女ゲー世界なのを把握しています。その令嬢たちは乙女ゲー知識を生かして、未来を変えようと奮闘しているんです。

規格外な主人公なので転生令嬢の野望に、思いっきり巻き込まれます。その未来を真っ正面からブチやぶるような主人公の強さと、主人公があずかりしらぬ中で進行していく策謀の2軸展開で、読み応えがあって面白かったです。

 

肥満令嬢は細くなり、後は傾国の美女(物理)として生きるのみ』にでてきたローズメイをかっこいいと感じたり、『7 Knights To Die』の地位や富じゃない、名誉や信念こそが重要なんだってバカな男たちに愛情を感じたなら、まちがいなく本作も楽しんでもらえると思います。
この主人公、かっこいいですよ。

 

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