現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変 【ラノベ感想】

2023年2月19日

現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変
著:二日市とふろう
イラスト:景
出版:オーバーラップノベルス

  現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変

アマゾンのあらすじより

2008年9月15日、リーマンショック勃発。
ある女性もまた時代の敗者となり――現代を舞台にした乙女ゲームのに転生!?
時はバブル崩壊後の金融機関連鎖破綻前。
少し違う歴史を歩んだ世界で過ごす瑠奈は、大学進学に悩むメイドをきっかけに桂華グループの財政状況を知る。このままでは破滅の一途を辿るばかり。
身内を救うべく執事の橘と向かった極東銀行で一条支店長を巻き込み、瑠奈は前世の知識を元にハイテク関連の投資を行う。そうして得た莫大な利益で、これからの生活に安堵したのもつかの間――。
「助けてください。お嬢様」
北海道開拓銀行に勤める銀行員の土下座から訪れた日本経済最大の試練――不良債権による連鎖破綻の悪夢が襲いかかる。
「ならば、手は一つしかないわ」
報われないかつての『時代』の流れに抗うため、瑠奈が打つ起死回生の一手とは……!?
「小説家になろう」発、現代悪役令嬢日本再生譚!

感想

乙女ゲーの悪役令嬢に転生する作品です。現代日本を舞台としたゲーム世界となっていて主人公は、悪役令嬢・桂華院瑠奈に転生です。そして悪役令嬢系な作品の中でもトップクラスに個性的でトガった設定でした。私にはブッ刺さる内容でしたが、読み手を相当選びます。購入前に公式でやっている試し読みを推奨します。

乙女ゲーの断罪エンドから回避するために瑠奈は、幼なじみの攻略対象と交流を深めたり手を貸したりアレコレしてます。って書くと普通の悪役令嬢転生ですよね。
でも本作は、攻略対象が大物政治家の息子、日本一の自動車メーカーの御曹司、大蔵官僚の息子と普通じゃありません。現代の権力者とガッツリ繋がっています。なんと乙女ゲーと見せかけて失われた30年から日本を救う仮想戦記(経済戦)ってのが、メインテーマな作品なんです!

転生した世界は、多少歴史の流れが変わっているものの実際の歴史と同じように歩んでいます。それに気づいた主人公が、ITバブルやリーマンブラザーズ破綻など転生前の知識を生かして財テク&経済戦で日本を破綻から救おうとするストーリーです。面白いです。面白すぎます。

経済や政治用語、史実の事件など作中には、濃い用語が多数登場します。COCOMとかチャプター11とかラノベで見かけるとは、思いもしませんでした。日経新聞を読んでたり株取引をしているとより一層楽しめるんじゃないかと思います。
用語に馴染みがない場合も作者による用語説明があります。政治・経済をベースとした唯一無二な作品が気になったら是非読んでみてください。


1巻目の冒頭は、乙女ゲーで婚約者から断罪される場面となっています。この断罪シーンがリーマンショックの起きた2008年9月頃、主人公が18才の時です。そこへ向けて幼稚園入園の頃から主人公が、破滅エンドを回避するためにやってきた歴史を読んでいくスタイルになっています。

幼女の時に拓銀や山一証券の破綻に手を突っ込んじゃうんですからね。ぶっ飛んでいて面白いですよ。平成の経済史追いかけている楽しさがあります。少々の前後はありますけれど平成出来事ビックタイトルが勢ぞろいです。

2巻目は、1998年-2001年。3巻目は2001年春~冬にかけてのお話です。主人公と主人公の資産が大きくなるにつれて流れは、ゆっくりとなってきています。ある程度主人公の資産が大きくなってくると悪い大人達が、彼女に群がってきます。経済以外の政治面も強くなってきて、乙女ゲーさながらの陰謀劇も楽しくなっています。

また実在する企業団体をパロディした名称も多く、元ネタは何だろう?も私の楽しみの1つでした。「帝都岩崎銀行」「AIRHO」「鮎川自動車」とか元ネタ分かりますか?

非常に個性的で濃い作品で面白かったです。今までにないような内政ものを読んでみたい方にオススメします。

 

 
 
 

レーベルの感想も読んでみる

オーバーラップノベルスの感想

 

Visited 17 times, 1 visit(s) today