ゴブリン令嬢と転生貴族が幸せになるまで【ラノベ感想】

2023年4月16日

ゴブリン令嬢と転生貴族が幸せになるまで 婚約者の彼女のための前世知識の上手な使い方
著:新天新地
イラスト:とき間
出版:カドカワBOOKS

  ゴブリン令嬢と転生貴族が幸せになるまで

アマゾンのあらすじより

前世知識を密かに活かし、商会経営に辣腕を振るう下級貴族のジーノ。夢は老後をともにする伴侶を得ることだが、前世では非モテだったせいで、女性に苦手意識が強く上手くいかない。

そこへ、特異な容姿のせいで<ゴブリン>と呼ばれる令嬢とのお見合いが舞い込む。容貌を意に介さないジーノは彼女の優しい人柄に深く感動し、結婚を申し込んだ!

そしてジーノは決意する。商才、魔道具、前世知識……隠してきたチート全てを使って、二人で幸せになると!!

感想

美女と野獣ですね。異種婚スキーとしては、見逃せないとばかりに発売と同時に読みました。
序盤での順を追ってのキャラ背景の説明なんて、とても分かりやすくて第1章の半ばぐらいでもう引き込まれてしまいました。非常に面白かったです。
表紙からして女性向けな純愛ストーリーでありながらも、男性向けなゲーム的な要素やSF的な要素もありました。男女問わずオススメできる作品です。

 

まず主人公のジーノです。彼は転生者でしかも交通事故じゃなく、年を取って亡くなっています。
それ故に年齢に見合わない落ち着きぶりや知識を備えています。前世知識を生かしてで商人として大成してますし、頭脳明晰。しかもイケメンと完璧なダーリンに仕上がっています。

だたその代わり前世だとキモメンとして人生を終えていて、非モテどころか異性とまともに会話もできない人生を過ごしたって辛い過去があります。その時の外見に関わる悲しい体験は、ジーノの転生後の意識と行動に繋がってきているところです。
そして転生後では、理想の結婚をするぞと願っていたところにゴブリン令嬢とのお見合いが、舞い込んでくんですよ。

 

次はヒロインのゴブリン令嬢アナです。私の事前想像と違って彼女は人間でした。呪いによってゴブリンのような醜い外見になってしまっていたんです。
このアナが天使のように心が美しい娘だったんです。外見からいじめられても屈折することなく人を思いやれる優しい娘だったです。
顔を隠すのも自分が不利益を被るからではなく自分の外見が、周囲を不快にさせないためだって言うんですよ。よくもこんな美しく育ってくれたものです。

だからこそ外見で苦労したジーノは、自分と重ねてしまうんです。そして不細工に生んだ両親に心無い言葉を吐いた自分と、なんて違うことかと気づいてしまうんですよね。
こうなったら内面を重視するジーノには、理想の伴侶です。もうなんとかアナと結婚しようとジーノにしてみたら、思いのたけをアナにぶつけるしかありません。

で、ジーノが語る言葉とか行動が、もう甘いんですわ。女性向けライト文芸並みの甘さです。ド直球です。

ちなみにこうなってしまうのは、完璧超人なジーノの弱点から来ていて対人能力・対女性能力の低さからだったりします。
ここらが噛み合わさってジーノからアナへのアタックが、とんでもなく甘くなっているんです。

まずジーノとアナの純愛。これが面白さの1つです。

 

 

別の面白さとしてアナ視点での成長です。
アナは学園でもいじめられて軽んじられています。そのため委縮してしまっていたんです。自慢できるような特技を持っていても目立たないようできない振りをしてしまうような娘です。もちろん自信なんてものもありませんからジーノの愛を受け止めきれないんです。

ここらの心理描写が巧みでした。思わずアナを応援したくなる魅せ方をしてくれるんです。
そうしてからアナの成長や克服が、やってくるシーンをドーンとやってくれるんです。本当に良かったです。エカテリーナ嬢との本音で向き合うところは、特に好きなシーンです。

 

とここまでは女性向けラノベの要素なお話です。これ以外に男性読者にもウケそうなゲーム要素もあります。

それが何かというと主人公が、転生前に過ごしていた日本に関係します。実は日本そっくりでありながら魔導・魔法が存在する世界だったです。そういうことなのでジーノは魔法を使えます。ゲームっぽい魔法とか特殊能力は、続々と出てきます。
困りごとを解決するとなると前世知識がでてくる感じですね。そのため転生先の住民から見たらチートキャラみたいにみえると俺ツエー要素もあるんです。

またラストのあたりでダンジョンアタック的な話も出てきます。非常に続きが気になるSF要素なんかも出てきます。
だからこそジーノ視点でよんでいくと男性も楽しめるラノベになっています。

 

ジーノとアナのお話、アナと母のお話、ジーノと義母のお話、アナとエカテリーナのお話。
良いエピソードだらけでとても面白かったです。2巻がでるのが待ち遠しいです。

 

2巻目の感想

相思相愛でかなり甘い2巻目でした。この甘さ最高です。

”第十章 アナは可愛い” まさにこれですよ。
ジードもアナも自分のことは、さておいて相手のために全力投球なんです。最初はあんなにおどおどしていたアナが、ジードのためになりふり構わない仕草なんて感動的です。勇気を魅せてくれた舞踏会のシーンは、とくに愛を感じられて良かったですね。

 

ちなみに相思相愛になっても2人とも恋愛経験値はミジンコ級です。だから相手のための全力投球が、みごとにスレちがっちゃいます。お互いに好きなのにスレちがってヤキモキする感じは、純愛もの楽しさの一つだなぁと感じました。

そして前世で一生をかけて拗らせたジードだから中盤にアナを悲しませてしまったアレは、まぁジードなら思いつめたあまりやりかねない……と納得しましたよ。
でもアナさん、あなたも追いつめられると斜め上にぶっ飛びますね。ジードの愛を手にするためなら念願の望みすら投げ打とうとか、案外この子も怖いところがありますよ。よくアナのお母さまは冷静にたしなめたものです。

 

1巻のラストで出てきた転生した世界と前世の繋がりについてのSF部分とか、ダンジョン要素とかありつつもお話の中心はジードとアナの恋愛です。
とても糖度の高い純愛ファンタジーでした。丁寧な作品で面白かったです。甘めの恋愛をたっぷり読んでみたい方に特にオススメします

 

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