北政所様の御化粧係【ラノベ感想】
北政所様の御化粧係 〜戦国の世だって美容オタクは趣味に生きたいのです〜
著:笹倉のり
イラスト:Izumi
出版:TOブックス
アマゾンのあらすじより
時は戦国。アラサー美容マニアの"私"は、「勝ち組大名」近江・長浜の山内家の愛娘・与祢【よね】姫として目を覚ました。人生はハイパーイージーモード! 頭には知識、親の財布もコネもある。なら、趣味に全力投球するっきゃない。だが悲しいかな、今は化粧水すらない戦国時代。「まあ、無いなら作ればいいじゃない。ただで転ぶと思うなよ?」と、なりふりかまわず好き勝手。千利休ら要人を巻き込み、芳香蒸留水【エッセンシャルウォーター】や新型の口紅【リップスティック】を次々と開発したら……北政所・寧々様の御化粧係へ大抜擢されて!? 「やっぱり、キレイが一番でしょ?」 豊臣秀吉の嫡男誕生、帝の行幸【みゆき】、関ケ原合戦と、戦国の最末期を城奥から動かし始める——能天気姫の本格歴史ファンタジー!
感想
戦国時代に転生。美容知識を生かして戦国末期を動かしていくお話です。
女性主人公で物造りがメインです。本好きとかダリアみたいな作品が、好きな方ならきっと楽しく読めると思います。
もちろん私には、ぴったりハマりましたよ。あぁ面白かった。
ハマる人にはとことんハマる系の面白さです。
物造りということで化粧水をつくって大儲け。そして権力者の目に留まって繋がりができていく……転生内政系でそこを読みたいんだよは、余すところなくカバーされています。
その上で本作は、ドラマでもお馴染みな戦国時代の有名人が多数登場して面白さをプラスしてくれています。
【1巻で登場する史実キャラ】
・山内一豊と千代
・北政所(豊臣秀吉の妻 寧々)
・芳春院(前田利家の妻 まつ)
・大谷吉継
・石田三成
・福島正則
・千利休
実在する有名人との交流が、作品に彩を与えていと思うんですよね。
ドラマとかゲームでどんな人物かを知っていると、少ない会話の裏に隠れている思いが見えてくるような気がするんです。だって大谷吉継と石田三成なんてセットで出てきたら色々と妄想してしませんかね?
読んでからwikiで経歴とか幼名なんかを調べると新たな発見もありました。歴史背景がカッチリしていて嬉しいですね。
歴女な方とか光栄テクモの歴史ゲームが好きな方にもオススメです。
あとラノベ的な展開で好きなところです。
主人公の転生先となった山内家ってのが、アットホームなところだったとこです。そして庶民感覚も持っているために与弥姫が、戦国時代の姫としてはもちろんとして娘としても愛されまくっているんです。お父様の愛と理解の深さときたらよ!
どうしても奥さんの方が有名な山内一豊ですが、本作では成り上がりを果たした実力者としての側面も描かれています。普段は娘可愛いよでデレデレなのに父として導くときは、キレ者の片りんを見せてくれてカッコよかったです。
そして続きが気になるところは、たくさんあります。中でも大谷吉継との交流は気になりますね。手紙をイメージしたページ装飾での文通シーンなんて素敵な描写もあって、彼との交流が中心となるのでしょうかね。
史実の大谷吉継をネタバレ的に知っていると1巻目の伏線が、不穏な雰囲気を醸し出しとても気になってしかたありません。
2巻目の感想
2巻目からは主人公が聚楽台にはいって、本格的に御化粧係として勤めあげていくのがスタートします。美容オタクの美容知識無双。それにとどまらずスイーツ知識まで持ち込んで宮中の話題は、きっと総ざらいですね。
面白いなぁと感じたのは、秀吉をラスボス級に恐れている理由です。それは暴君だから……ではなくて、気になった女性ならどんどん手をだしちゃうんからなんですよ。童女の主人公でも油断できないと正妻の寧々さんが、本気で心配しているほどです。
しかもあとでwikiをみると余罪だらけで史実準拠だってんだからもう秀吉ったら。
で、その秀吉はというと接してみれば、またこれが魅力的な好人物なんです。笑顔で人の懐にスルって入ってきそうな人たらしっぷりなんです。油断ならない天下人ですね。
くわえてそんな秀吉を実力行使で押さえつける寧々さんもまた素敵です。きっちりしかる姐さん女房な感じ(鉄拳制裁つき)と、信頼しているからこそ甘えている秀吉の様子でキャラが魅力的すぎました。
そして新キャラの竜子様も良かったですねぇ。優しい感じもある寧々さんとは異なり、凛としたお姫様らしいお姫様です。正統派ってかんじです。そんな彼女の悩みを主人公の知識で解決していく2巻目です。
この巻では残念なことに大谷吉継の出番はお休みです。聚楽台入りしたので出てきにくかったのかもしれませんね。3巻目に期待です。
それから3巻目は、茶々が波乱を巻き起こしそうですね。2巻ではちょっとしか出てきませんけど、どうみても波乱呼ぶでしょ。だってイラストを見たらゆるふわ天然系ですもの。ますます続きが楽しみです
3巻目の感想
化粧オタクとして腕を振るうにつれて、与弥の争奪戦が激しくなってきました。美に対する執着ですね。
与弥の手で淀君になんとかメイクをしてもらうと、淀君のお付きが無理を通そうとするシーンがあります。ここで起きてた口げんかなんて、もし自分がいたらアワアワして何も動けなくなってしまいそうなくらい激しかったです。
それとは違った意味で壮絶だったのが、帝の国母にも与弥の実力がバレて都へ連れて行かれそうになった争いのところです。高貴な身分での一見静かに見えて、バッチバチな言葉の応酬。これぞ宮中の戦いですね。これもまた怖いシーンでした。
これらの争いから与弥を助け出してくれたのは、家康の配偶者である旭殿です。
メンタルをやられて病んでいた彼女を癒やして、自信を取り戻させていく与弥のプロ意識ですよ。真摯に向き合って信頼を得て、与弥を支えてくれる強い味方を得ることになってくれました。
悪戯ごごろある旭殿はこれまで本作にいなかったタイプでとってもいいキャラしてました。
それとセットで家康との繋がりですね。以後の展開で徳川勢がどうからんでくるかも楽しみです。
そして3巻目の一大イベントといえば叙勲ですね。なんとお化粧係の童女が叙勲ですよ。
しかも娘が親より高い位はあんまりでしょと、父も繰り上げて叙勲になっちゃいました。宮家がやりたい放題ですね。
これだと昭和だと本人より「山内一豊の妻」が有名なくらいでしたが、本作の世界線だと「山内一豊の娘」の方が有名なってしまうかもしれませんね。
タイトルのお化粧係というので男性だとあまり視界に入らない作品かもしれません。でも戦国ものが好きでしたら1巻目だけでも読んでみてください。とても面白かったですよ。
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