塔の諸島の糸織り乙女【ラノベ感想】

2022年12月18日

塔の諸島の糸織り乙女 ~転生チートはないけど刺繍魔法でスローライフします!
著:渡来 みずね
イラスト:チェリ子(
出版:MFブックス

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アマゾンのあらすじより

転生したお針子の少女は、刺繍魔法と前世の知識で奮闘する!

仕立て屋さんの家に生まれた少女スサーナは、六歳を迎えた年のある日に前世の記憶を思い出した。
それならばと前世の知識を活かそうとするスサーナだったが、彼女が暮らす島では食事・衛生・交易などの環境が整っており、活躍できる余地は残されていなかった。なぜなら、島に点在する「塔」には、様々な不便を解決してしまう「魔術師」が住んでいるからだった――。
スサーナは家業のお針子に専念して平穏に暮らしていこうと決意したが、穏やかな日々の生活を脅かす沢山の厄介事に巻き込まれ、幾度となく窮地に立たされてしまう。
しかし彼女は、己でも自覚していない「刺繍魔法」の力によって、そしてとある「魔術師」の助けによって、それらの厄介事を切り抜けていく――!?
魔術師が住まう「塔の諸島」と呼ばれる場所で、平穏な暮らしを目指して奮闘する少女スサーナの物語が紡がれる!

感想

世界観の描写や風景の描写が、面白くて美しい作品でした。
見ることも体験することもできない、魔法のある不思議な世界を感じさせてくれました。児童向け海外ファンタジーみたいな彩り豊かな描写を感じます。じっくり読む系のファンタジジーが好きな方には、特にオススメします。美しいです!
 
あらすじに「刺繍魔法と前世の知識で奮闘する」とありますが、チートはありませんでした。主人公も最初こそは、料理や製造で知識チートを試みてます。でもごく普通の現代人なので具体的な作り方まで分からないんです。分かりそうな石けんなんかは、転成でも普及していて……とチートは忘れてスローライフに生きる1巻目です。
 
 
 
主人公が住む塔の諸島とは、どんな島なのか。魔法は存在するとして魔術師と烏の民とは、いったいなんなのか?
歴史・宗教・文化から法制度までオリジナリティにあふれていて、最初は???の連続です。でもそこは、転生した主人公も???なのは同じです。
そのため子供に生まれ変わった主人公が、周囲の大人たちに教えてもらう流れで自然と理解していけました。重量級の世界観でも読みやすいです。
 
 
さて主人公のスサーナは、黒髪が美しい少女です。でも本作の世界だと黒髪は、漂白民の特徴で忌避される色だったりします。これはスサーナの母が、漂白民だったので受け継いでしまったのが理由です。
そのため彼女の家族は、周りから心ない言葉を投げかけられないか気にかけているのが、読んでいてよく分かるんですよ。愛されて育てられているんだぁと分かって、思わず温かい気持ちになりました。
 
 
あとは刺繍魔法です。本作のキーになるだろう魔法です。
刺繍を媒介にして魔法を発動する仕組みらしいです。ただ1巻目では、そこまで深くは分かりませんでした。
 
いくつかの魔法は出てきてその中で一番に印象的だったのが、ウサギの刺繍ですね。刺繍を生きているみたいに動かす魔法でイラスト2枚目のウサギがそうです。
こういう世界観を好きな方ならイラストも合わせて、ワクワクを感じませんかね?
 
後半になると入れ墨を入れた漂白民の子供や、魔術師様も登場してきて物語も本番か?という面白さです。
1巻目と2巻目が、同日刊行となった作品です。これは続けて一気に読めということなんでしょうね。
 

2巻目の感想

お貴族様との交わりや、魔法と接するシーンなど色々とでてきました。一気にお話が動き始めた2巻目です。
感想で語りたいシーンも色々です。お貴族様の侍女として呼び出されて、レティシアとマリアネラ(2巻目表紙にいる少女たち)と友情を通わせるところとか、仲良く島を巡るところとか素敵の一言です。まるでキャラが、意思を持って動いているみたいです。
婚約問題で胸を痛めるシーンと島巡りを楽しむシーンとの真逆な表情が、素晴らしかったです。
 
ヨティスとの予期せぬ再会、平和な島中に魔獣登場など魔法に関わるお話も動き出してます。読者視点だとスサーナは、刺繍魔法の力を秘めていると分かっています。しかしヨティスや魔術師視点だとまだまだ半信半疑なんですかね。スサーナの出自と真の力を知ったときに2人が、それぞれどう変わっていくか(変わらないのか)楽しみです。
 
他にはイケメンの魔術師様です。魔法のことを知らないレティシアを保護者然とした態度で護るんですよ。
転生者よろしくやらかすスサーナを諫める感じが良いですね。私の中だと魔術師様の声は、ついつい速水奨さんの声で脳内再生されてしまいます。きっとイケボにちがいない。
なんか大きな秘密を持っていそうなキャラで今後のお話が楽しみです。
 
 
 
 

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