腕を失くした璃々栖 【ラノベ感想】

腕を失くした璃々栖 ~明治悪魔祓師異譚~
著:明治 サブ
イラスト:くろぎり
出版:角川スニーカー文庫

  腕を失くした璃々栖

アマゾンのあらすじより

スニーカー大賞〈金賞〉悪魔祓師の少年と悪魔の少女、その出逢の果ては――

◇明治三十六年十一月一日/神戸外国人居留地
悪魔祓師の神童・皆無は、軍の任務中に心臓を貫かれ致命傷を負った。死にゆくなか、どこからか心地よい声が響く。

「人の子よ、そなたに第二の心臓を呉れてやろう。その代わり――予と煉獄の先の覇道へ、ともに征こうぞ」
現れたのは、天使とすら見紛う少女・璃々栖。「七つの大罪」に名を連ねる悪魔で――そして、彼女には腕が無かった。
悪魔の力と引換えに、璃々栖と一蓮托生の命となった皆無。二人の旅路の果ては、煉獄での終焉か、未来を掴む覇道か――

明治悪魔祓師異譚『腕を失くした璃々栖』、ここに開幕す。

感想

中二マインドを刺激してくるあらすじにひかれて読みました。期待を裏切らない中二的文字使いとゴリゴリのバトル、それからお姉さん(腕欠損)と少年のボーイミーツガールと色んなのが面白かったです。

 

まず作品舞台を明治時代として、文明開化直後な雰囲気を終始演出してくれているのは嬉しかったですね。
そういう雰囲気の世界観好きなんです。ものすごく凝っているように感じました。史実の明治時代を参考にしていそうなところもチラホラあって元ネタ探しなんかも楽しそうです。

 

それから意訳しまくりなルビで遊んでいるのも面白かったですよ。ただ言い換えているだけじゃなくてワザと遊んでいるところとか、中二っぽさを全力で出してくるところとか面白いです。怪奇ものだって雰囲気でいっぱいです。
ただその反面として文章は独特です。人を選びそうなところもあります。試し読み推奨ですね。

 

そして試し読みをして大丈夫であれば、是非怒涛の終盤まで読んでみてほしいです。
一進一退、有利と不利が、絶え間なく入れ替わって先の読めない面白さです。そうやって引き付けておいて1行だけのメッセージをドーンとぶつけてくるのは、見事な演出だなと思いました。さすが金賞受賞作品です。
改行が少なくて文字でいっぱいなページ構成だったのも終盤のための布石だったんですかね。

また作中にある時間表記から物語を追ってみると璃々栖と皆無が、ともに過ごした時間はどれほど濃密だったのかってのも良かったです。ラノベの良さとラノベっぽくない良さを兼ね備えた作品かなぁと感じました。

 

ライトノベルをある程度呼んでいる層に訴えてくるものがあるんじゃないかと思います。描写と中身の濃い作品が好きな方にオススメです。

 




 

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