退役魔法騎士は辺境で宿屋を営業中【ラノベ感想】

退役魔法騎士は辺境で宿屋を営業中
著:ユーコ
イラスト:m/g
出版:KADOKAWAの新文芸

 

アマゾンのあらすじより

元魔法騎士リーディア、27歳。美味しい辺境ライフ始めます!

「白い悪魔」と呼ばれ恐れられた王宮魔法騎士リーディア・ヴェネスカ。しかし、王太子を庇い負った怪我で退役をした彼女の、その後の行方を知る者はいない。半年後――、リーディアの姿は辺境のゴーラン領の田舎町にあった。料理が評判の宿屋『楡の木荘』の女主人として。リーディアの一日は忙しい。牛や馬の世話、畑仕事、洗濯、そして訪れる客への料理だ。だがそれらは契約した屋敷妖精や近くの子供たちが手伝ってくれる。そんなある日、明らかに同業と思われる黒髪の大柄な男と、その従者が雨宿りにやって来る。二人に料理を振る舞ったことから、リーディアの辺境暮らしに変化が訪れる――。晴耕雨読な暮らしを夢見たはずが、なぜか宿屋を営むことになった退役魔法騎士のセカンドスローライフが今始まる!

感想

上下巻あわせて800ページ超、とっても充実感してました。

上巻の表紙にある農場付の宿屋で、地産地消のスローライフ。まさにタイトルで期待していたとおりのお話で面白かったです。

なんといっても印象深いのは、ご飯のおいしさです。「黒パン」「チーズ」「カーボロネロのパスタ」「ケールとソーセージの煮込み」「キドニーパイ」「豚の丸焼き」「アップルパイ」「冬野菜のマリネ」「ハム」などなど、カラーイラストもそうですし作中の調理工程も本格的で、絶対にこれ美味しいでしょってクオリティなんですよ。

夜に読んだらまず間違いなくお腹がすくことになるでしょうね。パンですらライ麦粉からこねて、酸っぱくなりすぎないよう焼きあげる描写がありますし、きっと作者は料理上手なんどうなって気がします。食への強いこだわりを感じます。

 

さて私が本作で特に好きなところとして、主人公のリーディアが強くてかっこいい女性だったことです。女性騎士といわれて納得な強さを感じる主人公でした。

まあ強くてかわいい女性主人公も私は好きなんですが、m/gさんのイラストを先に表紙でみていたから、私の中ではリーディア = 強くてかっこいいだったんです。だからかってに自分の中でつくりあげたイメージと、作中のイメージがピッタリだったので嬉しかったですね。

中でもリーディアの強さを最も感じたのは、告白のシーンだったりします。彼女は伯爵様からの告白を待つタイプじゃないんです。リーディアの方から動いていくんですよ。
自分の手で未来を選んでつかみ取っていく主人公で、かっこよくて愛せる主人公でした。

 

それから本作はスローライフです。でも純粋なスローライフのシーンだけではなく、戦争のシーンがあります。
このあたりはリーディアが元魔法騎士なあたりからも、盛り上がる展開として欠かせないかなあと私は感じました。もしスローライフだけを読みたいんだって人は、そこだけ覚えておいてください。

 

あとは作中の精霊についても触れないとなりませんね。表紙に映っている小さいのは妖精ブラウニーです。しかも……かわいくないですよね?
海外文学のファンタジーに出てきそうなガチめのブラウニーです。頼れるちいさなおじさんって雰囲気で、ミルクや焼き菓子とかの報酬と引き換えに家事を手伝ってくれ、妖精とともに暮らす雰囲気もまた素敵でした。

 

ちゃんと世界と歴史があってリーディアが生きているのを感じられたのが、とても楽しかったです。妖精と助けあって宿屋を営んでいますし、女手ひとつで宿屋をやれる理由もちゃんとあるんです。
もともとは騎士を止めたから田舎でのんびりする予定だったんです。ところが辺境でも立ち寄る旅人が多くて、休める場所があると助かる人がいる。他にも理由があり誰かのためになるなら宿でもやるか……と、とても納得の理由です。

そこに美味しい料理があわさったら宿屋を営業するしかないでしょうね。このあたりはサイドストーリーで丁寧に語られます。

こういう背景描写が丁寧な作品は大好きで、どのエピソードも面白くてもっと読みたいと思わせてくれるお話でした。

 

つよくてかっこいい女性主人公ものが好きな人は是非読んでください。超オススメです。

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