狐と戦車と黄金と【ラノベ感想】
狐と戦車と黄金と 傭兵少女は赤字から逃げ出したい!
著:柳内 たくみ/
イラスト:叶世 べんち
出版:KADOKAWAの新文芸
アマゾンのあらすじより
傭兵として戦っても、赤字にしかならないことに虚しさを覚える狐娘フォクシー。大金が手に入るらしい伝説のプレートを追うフォクシーと仲間達は、交易でカネを稼ぎつつ戦車に乗って旅をしていた。訪れた街で、誘拐されていた少女レオナを偶然助けた一行は、彼女がプレートの情報を持ち、かつ商売に長けていることを知る。救出の礼としてレオナのキャラバンに招待されるフォクシー。しかし突然、傭兵集団の襲撃を受け、キャラバンが壊滅してしまう。復讐に燃えるレオナは、武力では敵わない敵をカネで倒すことを決意。商品取引所を舞台に緊迫のマネーバトルが展開されるなか、別行動のフォクシー達も、相場を動かす重要な情報を入手していて――
感想
面白かったです!
Gateの著者、柳内たくみさんの新作です。でタイトルにもカバーイラストにも戦車です。戦車アクションがたっぷりつまっていて滅茶苦茶に楽しかったです。
戦車を発掘・修理・改造しての傭兵稼業。報酬と弾代の釣り合いを気にしながら戦う懐事情。命の前にあまり引き金が軽い退廃的な倫理観。
まるで「メタルマックス」「メタルサーガ」というゲームの世界観と「ボトムズ」の傭兵稼業をミックスしたような世界だと感じましたね。血と鉄のオイルの臭いでむせかえります。だがそれが良い!
こういうの待ち望んでいた人への補給品みたいな作品です。かなりオススメです。そういう層には特に。
胸アツで濃厚なタンクバトルあり、そしてそれを支える戦車整備の描写や地形を考慮した運用の描写など、もうミリオタ歓喜な展開の数々です。さすがは柳内さん。期待以上の面白さを読ませてくれました。
あとはタイトルの狐のところです。なんとこの世界は動物の引いた獣人だらけなんです。主人公のフォクシーは、狐耳です。そのほかに猫耳にライオン耳とケモ耳パラダイスです。フォクシーたち一行は美少女ぞろいでみんなかわいい!
とくに褐色のカッフェは、クール系美人でお姉さまってかっこよさです。イラストも最高ですよ。
最後の黄金は、経済戦みたいな札束でぶんなぐる系の要素です。戦車でふっとばすだけじゃなくて札束を使った心理戦もあるんです。レオナが見せてくれた一歩も引かず札束殴りを加速させていくあのシーンは、戦車戦とはまた違った熱さで面白かったです。
「狐」「戦車」「黄金」で面白さ×3ですね。
ミリタリ、戦車好きな方には当然にオススメです。74式は怪獣相手のやられなくじゃないんです。もっと活躍できる子なんです!
そして戦車のことなんか知らないよ、という方にもまたオススメしちゃいます。かわいらしいケモ耳美女がたちが、退廃的な世界の中で熱いバトルを魅せてくれます。最高なエンタメですよ。
とにかく面白かったです。2巻目が楽しみでなりません。
2巻目の感想
賞金首を捕まえて、犯罪集団を襲ってお宝を奪い取る。荒廃した世界でのなんでもあり。ナナヨン・カンパニーの大活躍とミリタリーバトルが楽しくて、あっという間に読み切ってしまった2巻目でした。
順調に稼いでカンパニーも成長しました。こうなってくるとカンパニーを拡大してフォクシーたちは、なにをしたいのか気になります。師匠の足跡を追う……だけじゃない気がするんですよね。
2巻目で印象的だったのは、資金・能力・戦車の3つに恵まれたトップクラスといっていいナナヨン・カンパニーの傭兵生活と、その対極でどん底をさまようアマゾネス・カンパニーの傭兵生活との対比です。
捨て石の弾よけ要因として募集され、戦場で最弱のゴランド(ビッカース6tベースの豆戦車)を駆るアマゾネス。こちらが撃った弾は弾かれ、相手の弾はどれでも喰らったら貫通する。弱いから依頼人から足下を見られまくる。もう世知辛すぎます。
ナナヨンとアマゾネス、どちらも同じ傭兵なのにこうも違うかと気の毒になります。アマゾネス随一の苦労人なボーアには、幸せになってほしいものです。
今回もお金にシビアで世知辛かったです。ま、そこが面白いんですけどね!
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