とにかく妹が欲しい最強の吸血姫は無自覚ご奉仕中【ラノベ感想】

2024年2月27日

とにかく妹が欲しい最強の吸血姫は無自覚ご奉仕中
著:緋色の雨
イラスト:シソ
出版:TOブックス

  とにかく妹が欲しい最強の吸血姫は無自覚ご奉仕中

アマゾンのあらすじより

かつてエフェニア大陸で恐れられていた吸血鬼《真祖》が姿を消して1000年。一族の才女、末姫が現代の異世界で覚醒する。《吸血姫》リスティアの願いとは──「可愛い妹が欲しい! 」
今度こそ優しく清らかな姉になるべく、彼女は人里へ急行する。
次々と出会う妹候補たちに頼られたい一心で奮起するも、その能力はドラゴンを一発で消し炭に、悪徳孤児院長を魂ごと消滅など、衝撃の規格外! 周囲に心優しい「天使」と勘違いされる中、下心いっぱいの吸血姫は晴れて立派な姉となれるのか!?
早く普通の女の子になりたい吸血鬼(規格外)の妹探しファンタジー!

感想

さぁ、悪役令嬢のお仕事を始めましょう』が面白かったので、作者である緋色の雨さんの過去作品を読みました。タイトルの吸血姫とイラストからただよう百合の波動。そして帯のあおりが秀逸でした。

”あたしと血(姉妹)の契約を交わしましょう”
”ぽんこつヴァンパイア × 無垢な少女たち!”

帯の通りで最高でした!
最強系ぽんこつお姉さん × 美少女 × 無自覚やらかし祭り。こういうライトコメディが好きな方には檄推しです。これは良かった!

 

展開は最強系主人公による無自覚やらかしです。
作者さんが、web投稿時に”普通がゲシュタルト崩壊を起こすような物語”とある通りで、終始普通とは??な展開です。

なにせ主人公 =「自称普通の女の子」が完全にギャグになってまして、作中で何人のキャラの現実と常識を破壊したことか……。
主人公の規格外っぷりが楽しく、ツッコミしまくりですよ。普通な女子はそんなこと出来ません。言いません。
読者の普通感をゲシュタルト崩壊させてくれました。

 

導入はこんな感じです。

主人公リスティアは、ヴァンパイア《真祖》の末娘。「姉たちにたくさん可愛がられたから、自分も妹が欲しい! 」、「人間を妹(眷属)にするのがダメなら妹が、生まれる時を超えよう!!」
としたら、ついうっかり1000年も過ぎてしまいました。

 

1000年後はお馴染みの世界ですね。ヴァンパイアや魔族がいなくなり、人間が大勢を占める世界。あとは強力な魔法やマジックアイテムは失われています。だからリスティアの普通が、世界の非常識です。

そもそも人間とヴァンパイア《真祖》で能力に差がありすぎるってのもありますからね。リスティアがやることなすこと「やったいましたか?」状態となってます。

それを内心あちゃぁーと思いながらもリスティアは、「普通の女の子」と押し通しちゃうんですよ。どうみたっておかしいのに。
そんな学習できないリスティアのぽんこつっぷりと、人間サイドの達観・あきらめの温度差が楽しいコメディです。

 

あとはリスティアは妹が心底欲しくて、「お姉ちゃん」と呼んで欲しいんですよね。
それで冒険者のナナミとか孤児院のマリアとか、妹候補と出会って彼女たちの信頼も得るんです。でも悲しいすれ違いで、「聖女さま」とか「院長さま」と慕ってくれて、好感度MAXまで上がっているのに「お姉ちゃん」とは呼んでくれないんです。
このスレちがいとか勘違いも楽しくて、読んでみて欲しい推しポイントです。

 

登場キャラの中では、孤児院のマリアが私は気になりましたね。
銀髪 + 褐色と最強属性のキャラなんですが、作中で一番重い背景を背負ってもいます。リスティアに救われたマリアには、なんとしても幸せになってほしいです。笑顔を見たいです。

 

これに加えてヴァンパイア要素が、きっちり描写されているのも面白かったです。
まずリスティアの思考は、強者の思考で人間とは違うんです。人間を妹(眷属)にして、いつまでも可愛がりたいって眷属にされる側からしたら、そういう理由だと……ってなりませんかね? 読者の常識が全く通じないのは、面白かったです。

そしてヴァンパイアとしての「吸血衝動」が実にいいお仕事をしてまして……、背徳的な雰囲気も堪能させてもらいました。仲良くて良きかな。

 

とても良かったです。ただ一点、残念なのは単巻作品となっています。
幸いweb投稿の方では完結しているので続きは、webでお楽しみください。

でも続きもイラスト付きで読みたかったなぁ。

 

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