さぁ、悪役令嬢のお仕事を始めましょう【ラノベ感想】

2024年2月11日

さぁ、悪役令嬢のお仕事を始めましょう 元庶民の私が挑む頭脳戦
著:緋色の雨
イラスト:みすみ
出版:PASH文庫

  さぁ、悪役令嬢のお仕事を始めましょう

アマゾンのあらすじより

妹を、そしてこの世界を救うため
庶民の私、悪役令嬢はじめます。

余命わずかな妹を持つ庶民の少女・澪。
しかし、ある取り引きから澪の人生は一変する。

「わたくしの代わりに悪役令嬢になりなさい。
そうしたら貴女の妹を助けてあげる」

財閥御用達の学園に入学し、
良心と葛藤しながらも悪役令嬢を演じると決意した澪。

ところが、自分を断罪するはずの雪城財閥の子息・琉煌には、
なぜか澪の素性がバレているようで……!?

全てはみんなの幸せのため。泥臭く走り回る澪に、
破滅の日は訪れる……のか?

感想

ツイッターで作者である緋色の雨さんを知って、気になる令嬢ものが新作で出たので読んでみました。
なんと悪役令嬢作品で乙女ゲームです。でもまさかの現代日本を舞台とした作品でした。

どういうことかというと主人公の澪が、暮らす世界は財閥が現存した現代日本です。でもそこは乙女ゲームの世界だったのです。
しかも澪はNPCで真の転生者は、悪役令嬢なんですよ。そして悪役令嬢が破滅しないと日本が、破滅するエンディングになってしまうから澪は、悪役令嬢となって破滅されてこいってお話です。

悪役令嬢のテンプレ展開を逆手に取って、結構複雑な構成になってます。でもこんな複雑なのに読みやすくてベテラン作家さんの腕ってすごいですね。令嬢ものの作品が好きな方には、新鮮な楽しさを感じられると思います。面白かったです。

 

特に面白いと感じたのが、澪はいい子だってところなんです。まず難病の妹を救うために頑張るお姉ちゃんなんです。
そんな子が一生懸命に悪役令嬢を演じているんですよ。
そして乙女ゲームのヒロインへ心を鬼にしてキツいことを言ったりするんです。この頑張りは心打たれますね。

その上、澪はいい子です。またヒロインも超がつくほどのいい子です。だからなのか澪が、悪役令嬢として破滅になるようヒロインに接しても、澪の本心が伝わったのかヒロインに懐かれてしまうんです。
狙ったように進んでくれません。この先どうなるかドキドキの展開です。

 

また澪の苦労は学園だけじゃないんです。そもそも悪役令嬢になり切るってのからしてハードモードです。社交に礼儀作法など覚えることだらけです。
加えてお嬢様のお眼鏡にかなうよう一発勝負の心理戦って激ムズイベントも満載です。お嬢様の目の前でお嬢様の意図をくみ取って動かなきゃならないってなんて無理ゲー……。澪は本当に頑張ってますよ。

 

そして気になるといえば澪と琉煌の関係ですね。乙女ゲーの展開だと琉煌に断罪されないとならないのに、どういうわけか琉煌から澪への好感度は高いんです。これは書店特典のSSで明らかになってますが、そうだとすると破滅展開と完全に真逆ですね。
妹ちゃんのためにも破滅してほしい、でも澪と琉煌と結ばれて欲しい、と相反するゴールへ向けてどうなっていくか非常に楽しみです。

 

2巻目の感想

澪が本格的に悪役令嬢のお仕事をはじめましたね。

なぜかヒロインの乃々花に懐かれてしまってツンデレお嬢様っぽかったのが、悪役に徹して本当はそう思っていないのに役目を果たすために悪意をぶつける澪。2巻目ではクラスメートからしっかりと反感を喰らうようになり、距離をとられ陰口を叩かれるようになりました。

目的通りではあるとはいえ……読んでいて心が辛くなりますね。妹を助ける契約のために自らにムチ打って「さぁ悪役令嬢のお仕事を始めましょう」とがんばる澪を心底応援したいです。

ただ澪は悪役じゃなくて意図があって悪役をやっていると悟られ、クラスメートから愛されてしまうとただのツンデレとなって恥ずかしさから澪の心がやられてしまうので難しいところ。乃々花の妹ちゃんからの「いい人」攻撃はクラス内とは、真逆の大変さで澪がかわいそうでした。

 

なにせ役に徹するだけじゃなく、紫月お姉様や琉煌といった強者たちと失敗不可な会話の応酬をきりぬけて、澪は元庶民と思えないぐらい頑張っているんですよ。どうにかして報われて欲しいです。

それから嬉しかったのが、澪の本心をある程度知りながら協力してくれるクラスメートができたことです。彼女たちの役割は悪役令嬢の取り巻き、とゲームならモブのところ作中ではスポットライトがあたっています。しかるべき過程があって悪役令嬢の取り巻きになる、澪の隣にいるようになるストーリーをしっかり魅せてくれるのが嬉しいです。

2巻目で澪に反抗するヒロインの友人、夏実ちゃんもすごく印象にのこったキャラです。ゲームならたぶんモブなんだろうなと感じる彼女も、作中では生きて動いていているように感じるんです。友人のことを心から心配して涙を流せる夏実ちゃんも素敵なキャラでした。

学園内の人間関係が動いているような気持ちになれて面白かったです。

 

これは是非とも続きを読みたいです。面白かったです。
現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢役をするのは、だいぶ大変ですね。

 

同レーベルの感想も読んでみる

PASH!ブックスの感想

 

 

Visited 24 times, 1 visit(s) today