マジックユーザー【ラノベ感想】

2023年1月10日

マジックユーザー TRPGで育てた魔法使いは異世界でも最強だった。
著:三河 宗平
イラスト:Ryota-H
出版:幻冬舎

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アマゾンのあらすじより

TRPG『ダンジョン&ブレイブス』のヘビーゲーマーだった男(42歳・独身)が、最強レベルの魔法使いキャラクター“ジオ・マルギルス"として、異世界セディア大陸に転生する。大商人の娘・モーラや魔術師ギルドの幹部・クローラ、ベテラン冒険者・セダムと出会い、大魔法使いとしての魔力とTRPGプレイヤーとしての知識を手にしたジオは、人類の存亡をかけた戦乱へと巻き込まれていく…。おっさん魔法使いがなんだかんだで無双する、異世界TRPGファンタジー!!

感想

平凡な中年サラリーマンがファンタジーっぽい異世界へ転生して無双するストーリーです。
一番の特徴は、TRPGのDungeons & Dragons(以降、D&D)でカンストした魔法使いを転生先のキャラとしたところです。そして本作は転生したキャラが、D&Dのルールに忠実なので元ネタをしっている人には終始ニヤっとするネタが満載です。表題のマジックユーザーもD&Dでの魔法職のクラス名のことです。カンストしたマジックユーザーは、ドラゴンも一蹴するほどの規格外キャラです。世界を救ったり、強すぎるからもう神になっちゃいなさいと神託がくだるぐらいの強キャラです。そのキャラに転生します。
 
魔法で無双したり、美女に囲まれてハーレム展開や、周囲からSUGEEと褒めくられる異世界あるあるはちゃんとあります。ただ、それが過度になりすぎないようにセーブされて、読んでいてお腹いっぱいにならない工夫がされています。
元々が日本育ちのサラリーマンなので、庶民的な発想や行動がいいアクセントとなっています。無双できる強キャラなのに強さを押しつけすぎないので、読んでいて受け入れやすいキャラになっています。あと基本的にGood属性の行動を取るのも好ましいです。
 
 
工夫なのかな?と2点感じたこととして、1つは参照元のD&Dのルールが関係しています。魔法の発動に10秒必要、1日の魔法発動回数に制限がある、事前に準備した魔法を変更できない等などゲーム的な制約をそのまま受けます。また呪文がないマジックユーザーは、ちょっとHPが多い一般人と変わらないのでアンチマジック環境では無力化されるなど弱点が多いことです。よくファンタジー小説でみる「魔法使いなんて、魔法を唱える前に首をはねれば雑魚」が脅威として存在するのです。
最強でも気を抜けないから、読んでいて戦闘での緊張感が持続します。
 
 
もう1つは世界設定がしかりしていることです。転生先は魔力が発達した世界で、主人公は魔法使いです。
魔法と魔力を別物と体系立ててデザインしているので、それぞれに長所短所があり魔法万能ながら魔法最強とならないようになっています。またD&D経験者の知識を生かしてだと思われますが、大陸にどういう街・森・山があってどんな人々が住んでいるか考えられています。あらたに主人公達が拠点を構築するにあたっては、兵士だけでなくそれを支える下働きのことや、給金のことまでしっかりと考えられています。これによりファンタジー世界にリアルっぽさが生まれストーリーが自然に見えました。
 
私が好きな領地経営要素がある異世界モノなので、3巻目まで読みました。後書きを読むと書籍版はここまでのような書き方で、続きはwebとなっています。小説家になろう、で続きを読めます。
 

3巻目の感想

主人公一行が増えてくるので、キャラ同士の掛け合いが楽しくなってきますね。メンバーを2分割して、それぞれで困難に対処するシーンもあり主人公以外の活躍も楽しみポイントとして増えています。そして戦闘シーンはより派手に、36レベルマジックユーザーが、完封するように無双します。
アリと象ぐらいの戦力差を示す戦いっぷりです。それでも元ネタのD&Dのルールに照らしあわせると、作中の描写がそれくらいできるよね…のある意味原作準拠の表現だったりします。ホントいつまで定命の存在を続けられるのでしょうかね。
 
これからどう動いていくか気になる新キャラが、新たに登場するのですけれど、3巻目は書籍版の一区切りでもあります。そのため戦い続けた暗鬼についてや見守る者について、謎の一部が明かされるシーンもあり盛りだくさんです。謎も確信にまでは踏み込んでいないので、気になった方はweb版を読んでみてください。
 
それにしてもよく3巻目がでるほど売れたと驚きます。元ネタになったD&Dのルールって、日本で最も古い1985年のルールっぽいんですよねぇ。この時代のTRPGを知っている人と、異世界小説の読者って意外と多いのでしょうか?
 
 
 

 

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Posted by kyoikyoi