死にたがりの王女 【ラノベ感想】

死にたがりの王女
著:有沢ゆう
イラスト:RAHWIA
出版:ビーズログ文庫

 

アマゾンのあらすじより

さよなら。私を“いらない王女”として忘れ去った皆様

「そなたの婚姻が決まった」

レヴァーゼ王国・第六王女ウエンディは、姉の身代わりで『野蛮』と揶揄される国へ人質のように嫁がされることになった。
生まれてから15年間、存在ごと忘れ去っていたくせに?
放置しておきながら、『呪われた子(無能の駒)』扱い?
だから前世の記憶があるウエンディは憤り、決めた――祖国をぶっ潰すと。

「これが復讐とは――誰も気づかないでしょうね」

無能王女を演じ、登場人物すべてを驚愕させる復讐譚、開幕!

感想

こんな復讐物語があったのかとお話に引き込まれ、一気読みしてしまいました。とても面白かったです。

 

お話の流れは侍女もいなければ、教育すらなし。存在を忘れられて15歳まで放置され続けれてきた第六王女ウェンディが、政略結婚が持ち上がった途端に王女として外国に送り込まれてしまう不遇なお話です。

ひどいのですよ。タイミングがわるくウェンディを放置して、半ば幽閉のような生活でした。親子や兄弟との交流なんてのもなしです。
ただ起きてしまったことは取り返えせません。酷いのは放置状態に気づいたあとです。

その時にちゃんと反省して、謝罪すればよかったですよ。

それさえあれば、こんな悲しいお話にならなかったと思います。ウェンディも反省して謝ってくれれば、政略結婚の責を果たすつもりといっているくらいですし。

それなのに王家の面々は身勝手極まりないですね。謝罪なんていっさいなし。
そのあともウェンディを姉の身代わりとして、たった1人のメイドだけを付けて送りこんだあげく、もう帰ってくるなですから。

 

レヴァーゼ王国が祖国とはいえ、こんな王家は滅んで当然ですよ。
はっきりと王国滅ぶべし、とウェンディが抱く思いに共感させてくれる過程の積み上げが素晴らしかったです。お話にぐいぐいとひきこんでくれました。

 

そこで復讐の手段です。それが自ら無能の王女を演じて、祖国は計略結婚の約束を果たしていませんよ、貴国を軽んじていますよというメッセージを伝える手段をとっています。すごく遠回りですよね。
祖国の内情をバラすとか、もっと積極的に復讐をする方法があるというのに。

 

ただそこにはウェンディの幸せを願ったある理由があります。

そしてその幸せを実現するために、復讐の最後には自らの死が必要なんです。だからタイトルの「死にたがりの王女」です。
ここがわかったときは彼女の行動と思いを理解できて、一段と本作の面白さを感じした。作中のフワフワとしてつかみ所がない感じ、手を離したらどこかに消えてしまうような感じは、自らを省みない覚悟が根底ったからだったんです。

くわえて、ある瞬間にみせるウェンディの毅然とした態度とのギャップも素敵でした。是非とも魅力的すぎるウェンディの活躍をみてみて欲しいです。

 

あとは絆です。

幼少期から唯一そばにいてくれて、輿入れ先にも唯一付いてきてくれたメイドのオリーブです。彼女とウェンディとの絆のシーンも最高によかったです。
メイドの時は王女のウェンディに触れることを許されていなかったのが、侍女となったことで触れたり会話ができるようになって、親愛の情を寄せるシーンはすごく印象的です。
もちろんラストのあのシーンのところも大好きです。

 

とても面白かったです。

 

 

 

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